日々の生活の中で「なんだか気分が落ち込む」「疲れが取れない」「前のように物事に集中できない」といった感覚を抱いたことがある人は少なくないでしょう。このような状態は、一般に「うつ症状」と呼ばれますが、そのすべてが「うつ病」であるとは限りません。
実際、現代社会ではストレスが多く、環境や人間関係に応じて一時的に気分が沈むことは誰にでもあります。しかし、それが「病気」かどうかを見極めるには、いくつかの重要な視点が必要です。
今回は「うつ病診断の要点3つ」をテーマに、うつ症状とうつ病の違いや見極め方、他の可能性も含めて詳しく解説していきます。
まず大前提として知っておきたいのは、「うつ症状がある=うつ病」とは限らないという点です。
うつ病とは、気分の落ち込みや意欲の低下が長期にわたって続き、日常生活に深刻な支障をきたす脳の病気です。特に脳内の「セロトニン」と呼ばれる神経伝達物質の働きに不調があるとされており、休養・薬物療法・精神療法の3つを柱とする治療が基本とされています。
一方、うつ症状自体はストレスや環境要因、体調の変化などによって誰にでも起こり得る反応です。したがって、「気分が沈んだ」「疲れやすい」と感じただけで自己判断せず、まずは冷静にその背景を見極めることが大切です。

うつ症状を引き起こす精神的・身体的な原因は多岐にわたります。以下は、うつ病とよく混同されやすい代表的な疾患や状態です。
特定のストレスに反応して気分が落ち込むなどの症状が出る状態です。うつ病との大きな違いは、「脳の不調」ではなく「ストレス反応」とされている点です。そのため、ストレス源から離れると症状が比較的早く改善する傾向があります。
うつ病ほど重くはないものの、軽度のうつ症状が年単位で慢性的に続く状態です。脳の状態が関与することもありますが、性格や生活環境の影響が強いこともあります。抗うつ薬が有効な場合もありますが、性格由来の場合は治療に限界があることも。
うつ状態と、気分が異常に高揚する躁状態を交互に繰り返す病気です。うつ病とは異なり、使用する薬も「気分安定薬」が主になります。特に躁状態が目立たない「双極Ⅱ型」は、うつ病と極めて見分けがつきにくいことがあります。
身体的な要因、たとえば甲状腺ホルモンの異常や薬の副作用などによりうつ症状が現れるケースです。医学的な検査を通じて原因を特定し、適切に対応する必要があります。

では、これらの可能性を踏まえた上で、うつ病と判断するにはどのような点を見ればよいのでしょうか? ここからは、診断の際に特に重視される「3つの要点」について詳しく説明します。
うつ病の診断基準(DSM-5)では、ほぼ毎日、2週間以上にわたり気分の落ち込みや意欲の低下が続くことが求められます。休日などでストレスから離れても改善が見られない場合、単なるストレス反応ではなく、脳内のセロトニンなどに異常が起きている可能性が高まります。
うつ病は気分の落ち込みだけでなく、疲労感、睡眠障害、集中力の低下、食欲の変化、自責の念など、多様な症状が併発することが多い病気です。診断基準では9つの項目のうち5つ以上が該当する必要があります。中には「身体のだるさ」や「対人関係の変化」など、精神症状以外が目立つケースもあります。
うつ病では、脳の働きそのものが低下するため、仕事や家事、人間関係など、あらゆる場面に悪影響を及ぼします。入浴や掃除といった日常的な動作すら億劫になり、外出や人との会話が困難になることもあります。この「生活の質の著しい低下」は、うつ病を疑ううえで重要なサインの一つです。
うつ病と診断された場合、治療は長期戦になることが多いです。主に抗うつ薬が使用されますが、効果が出るまでには2〜4週間ほどかかるとされます。さらに、休養やカウンセリング(精神療法)なども併用し、再発予防を見据えた根気強い治療が必要です。
また、治療中は「自分を責めない」「回復のペースを急がない」ことが何よりも大切です。
気分の落ち込みや無気力感を感じたとき、「これはただの疲れなのか、それとも病気なのか」と悩む方は多いかもしれません。
今回ご紹介した「うつ病診断の要点3つ」は、以下の通りです:
うつ病は、進行すればするほど治療が難しくなるため、「おかしいな」と思った段階で医療機関に相談することが大切です。自己判断せず、専門家の力を借りながら、自分の心と丁寧に向き合う時間を持ってください。