梅雨の季節が訪れると、多くの人が体調や気分の変化を感じやすくなります。特に「うつ病」や「適応障害」の症状が出やすくなる時期として、医療現場でも相談件数が増える傾向があります。今回は、梅雨時にうつ病・適応障害が増える背景とその対策について、丁寧に解説していきます。

日本の梅雨は、湿度の高さや日照時間の減少、気温の変化など、心身に負担がかかる要素が多く重なる季節です。このような環境の中で無意識に日々を過ごしていると、気づかないうちに心身の不調が現れてしまうことも少なくありません。
■ うつ病とは
うつ病は、脳内のセロトニンという神経伝達物質の不足などが背景とされる病気です。主な症状としては持続的な抑うつ気分や興味・関心の喪失、食欲や睡眠の乱れなどが見られます。治療には、休養・薬物療法・精神療法の3本柱が用いられます。
■ 適応障害とは
一方で適応障害は、ある特定のストレスに対して過剰な心理的反応が生じるもので、うつ病とは異なり、脳の不調があるわけではなく、ストレス反応が主な原因です。治療の中心は、環境調整やストレスマネジメントとなります。
実際の臨床現場では、5月病が言われる5月よりも、6月下旬から7月上旬にかけての相談件数が多い傾向があります。その背景には、以下の5つの悪条件が重なることが挙げられます。

① 気候変動の影響
梅雨時期は日によって気温や湿度の変動が大きく、心身に大きな負担を与えます。特に気圧の急激な変化などは自律神経のバランスを乱し、頭痛やだるさ、不眠などの症状を引き起こす要因になります。
② 通勤や日常のストレスの増加
雨の日の通勤では傘や濡れる服、混雑した公共交通機関など、通常よりも不快な要素が増えます。営業職や外出が多い職種では、雨による業務負担がさらにストレスとなります。
③ 気分転換が困難
雨が続くと屋外でのリフレッシュや運動が難しくなり、気分転換の手段が限られてしまいます。結果的にストレスが蓄積しやすくなるため、心身に不調をきたしやすくなります。
④ 業務が本格化する時期
新年度に入社した新入社員にとっては、研修期間が終わり、業務が本格的にスタートするのがちょうどこの時期です。職場環境への適応や業務の負荷が重なり、ストレスが増加します。
⑤ 祝日が少ない
梅雨の時期は、5月のゴールデンウィーク以降、7月中旬の海の日まで祝日がありません。長期間の連続勤務によって、心身ともに疲労が蓄積しやすくなります。
① 疲労やストレスへの意識的な対策
梅雨時期は、普段以上にストレスや疲労を感じやすいことを自覚し、積極的に休息やリフレッシュの時間を確保することが大切です。家でできる趣味や軽い運動など、自分なりのストレス発散方法を見つけておくと良いでしょう。
② 負荷を減らす工夫をする
可能であれば、仕事量やスケジュールに優先順位をつけて、無理のない範囲で業務を調整するようにしましょう。通勤時間をずらす、在宅勤務を活用する、雨の日の外出を控えるなど、梅雨特有の負担を和らげる工夫が必要です。
③ 不調時は早めに相談する
セルフケアだけで症状が改善しない場合は、早めに医療機関や上司に相談することをおすすめします。不眠や食欲不振などの体調不良が続く場合は、早期に専門家の助けを借りることで、悪化を防ぐことができます。
日本の梅雨は、うつ病や適応障害のリスクが高まる季節です。
その理由は、
といった、複数の悪条件が重なるためです。
このようなリスクを認識し、意識的な対策を講じることで、心身の健康を守ることが可能になります。無理をせず、自分自身の状態に気づき、必要であれば周囲の助けを求めることが、梅雨の時期を健やかに乗り切るための鍵となるでしょう。