統合失調症は、早期の治療と継続的な支援によって、大きく改善が期待できる精神疾患です。適切な治療を受けながら日常生活を送ることで、再発を防ぎ、本人の生活の質を高めることも可能となります。
しかし、その一方で、治療によって多くの症状が和らいだとしても、一部の症状が残ることがあります。今回は、「統合失調症治療後にも残る可能性のある4つの症状」とその症状と上手に付き合うための方法について、詳しく解説します。

統合失調症は、脳内の情報伝達の不調によって起こる疾患であり、特にドーパミンという神経伝達物質の過剰な働きが関与していると考えられています。主な症状には以下のようなものがあります。
統合失調症の主な症状
主な治療法
治療を継続し、症状が落ち着いてくると、「回復期」に入り、社会復帰や自立に向けた生活を目指すことができるようになります。
治療によって多くの症状が改善しても、一部の症状は治療後も残ることがあります。その程度には個人差があり、生活への影響もさまざまです。以下に、代表的な4つの残存症状とその対処法をご紹介します。
統合失調症では、治療の中断が最大のリスク要因とされており、特に服薬をやめてしまった場合、再発率は非常に高くなることが知られています。研究によると、治療中断後2年以内に約80%が再発するとも言われています。
再発すると、症状の強さが増し、次回からの回復にも時間がかかることが多くなります。また、繰り返しの再発によって他の症状が慢性化する可能性もあるため、継続的な治療と服薬の重要性は非常に高いといえます。
対策:
抗精神病薬によって幻聴や妄想などの症状は改善しますが、軽度の症状が継続する場合もあります。完全に消えることはなくても、生活に大きな支障をきたさないレベルに落ち着いていれば、日常生活は十分に可能です。
幻聴への対応:
妄想への対応:
これらの対処法は、認知行動療法などの心理療法によって学ぶことができます。
陰性症状とは、意欲の低下、感情の乏しさ、人間関係の回避傾向などで、陽性症状が落ち着いた後に強く目立つことが多いです。
薬物療法だけでは効果が薄く、リハビリや日常生活での活動の積み重ねによって改善を目指す必要があります。陰性症状は改善までに時間がかかりやすく、なかには長く残ってしまう方もいます。
対策:
どうしても改善が難しい場合は、精神科訪問看護など、福祉の支援も積極的に活用しましょう。
症状が落ち着いてきた回復期以降に目立つことがあるのが、記憶力・注意力・思考力の低下などの認知機能障害です。この症状は、就労や社会生活において支障が出やすいため、本人や周囲が気づきにくいながらも、重要な課題です。
認知機能障害の例:
対策:
統合失調症では、治療の開始が早ければ早いほど、残る症状が少なく、再発のリスクも下がることがわかっています。
DUP(Duration of Untreated Psychosis)とは、症状が出始めてから適切な治療を受けるまでの期間を指します。DUPが長くなるほど症状は慢性化しやすく、残る症状も多くなる傾向にあります。
また、治療の中断もDUPと同様の悪影響を及ぼすとされています。

統合失調症は、適切な治療と支援により、改善と安定が十分に期待できる病気です。しかし、治療後も以下のような症状が残ることがあるため、慎重な対応が求められます。
治療後にも残りうる4つの症状:
これらの症状に対しては、「早期治療・継続治療・リハビリと福祉の活用」が鍵となります。病気と上手に付き合いながら、自分らしい生活を築くために、必要な支援を活用していくことが大切です。