今回は、自閉症スペクトラム(ASD)の強みとコミュニケーションの秘訣についてご紹介します。

自閉症スペクトラム(ASD)の方の中には、幼少期から言葉の発達に遅れがなく、むしろ言葉が得意だったり、おしゃべり好きだったりする方もいます。
しかし、コミュニケーションがうまくいかない理由の一つに、相手の話を聞かずに自分の話ばかりしてしまうことが挙げられます。
このような場合、会話が双方向ではなくなり、情報のやり取りがうまく進まないことがあります。
積極奇異群と呼ばれるタイプの方(※状況を考えずに積極的に相手に関わろうとし、相手に迷惑をかけていることに気づかない傾向のあるタイプ)は、自分が考えていることをそのまま口に出してしまうことが多く、相手にはその言い方がきついと感じられることがあります。
会話では、すべてを正直に伝えるよりも、時には配慮して言わない方が、コミュニケーションが円滑に進むこともあります。
一方、受動群と呼ばれるタイプの方(※他人からの働きかけに素直に応じるが、自分から積極的に関わろうとしない。嫌なことも受け入れてしまい、パニックを起こすこともある)は、自分の意見や願望を言葉にするのが難しく、無理に言われると拒否することが難しいことがあります。
これにより、自分の思いや考えを伝えられず、我慢してしまうことがあります。
・人とうまく関われない
・目を合わせない
・会話が成り立たない
・表情が乏しい
・自分の気持ちや考えを表すのが苦手
・冗談を真に受ける
・他人の感情が理解できない
・曖昧な指示や、直接言葉にされない意味を理解できない
・状況(空気)を的確に読めない
・経験していないことを想像できない
・嘘をつけない
・一方的に話すなど自己中心的な傾向がある
かつて「アスペルガー症候群」や「自閉症」と呼ばれていた特性は、共通する部分があるため、連続体(スペクトラム)としてまとめて「ASD」と表現されるようになりました。
人と目を合わせるのが苦手であったり、曖昧な指示を理解できなかったりして、対人関係に支障をきたすこともあります。
主な特性として「コミュニケーションが苦手」「強いこだわり」などがありますが、感覚過敏を持つ方も多くいらっしゃいます。
ASD(自閉症スペクトラム)の方々は、思ったことをそのまま口にしてしまうことがあります。
例えば、相手が太っていることを指摘してしまうこともありますが、そのような発言は相手を傷つけたり、不快にさせたりすることがあります。
彼らがこうしたことを言ってしまう理由として、以下の点が考えられます。
ASDの方々は非常に正直で、嘘をつくことを嫌います。
相手がどのように感じるかを考えずに、自分の思ったことをそのまま話してしまうことがあります。
感情的になると、普段は言わないようなことを口にしてしまうことがあります。
これらの理由から、ASDの方々が適切なコミュニケーションを取ることが難しくなることがあります。自分が言おうとしていることが相手にどのような影響を与えるかを考える習慣を身につけることが大切です。
同じ内容でも、適切な言葉選びや表現方法を工夫することで、相手により良く伝わることがあります。

人とトラブルになることが多い場合、なぜ人とうまくいかないのかを自分で理解するのは難しいことがあります。
ASDの方々は、自分の行動が他人からどう見られているのか、他者の視点を持つことが難しいのです。
子どもの頃は周りの人がいろいろ教えてくれますが、大人になると率直に意見を言ってくれる人は少なくなります。時には、周りの人がさりげなく忠告してくれることもありますが、ASDの方々はその忠告に気づかないこともよくあります。
その結果、長く付き合ってきた人が離れていったり、逆にASDの方が被害的に受け止めてしまうことがあります。
可能であれば、親しい同僚や友人に具体的な場面を伝えてアドバイスをもらうとよいでしょう。
そういった人がいない場合には、発達障害に詳しい専門家からカウンセリングを受けるなどの援助を受けることが必要です。
自閉症スペクトラム(ASD)の方々は、他人の感情を理解するのが難しいと言われています。
自分が嫌な思いをしたり、傷ついたと感じたりした時には、自分の気持ちを表現できるかもしれませんが、相手の感情や考えを理解することが非常に難しいことがあります。
恋人や家族との関係では、相手の希望や予定を考慮し、会う頻度や場所を決めることが大切です。
自分の気持ちだけでなく、相手の都合も尊重することで健全な関係を築くことができます。
たとえ自分が会いたいと思っていても、相手に予定がある場合は我慢することも重要です。
お互いに配慮し合うことで、関係が深まっていくでしょう。
子どもは、ルールや指示を思っている以上に理解していないことがあります。
具体的な手順やスケジュールを書き出し、可視化することで、少しずつ取り組みやすくなります。
また、進行状況を確認し、学習量を適切に調整することで、成し遂げたことを認めて褒めることも大切です。怒鳴ったり体罰を与えたりしても、子どもにはその意図が伝わりにくいことがあります。
子どもが恐れて従うことがあっても、その方法は長続きしません。
むしろ、反抗的な態度を強めたり、他の人に同じことをするようになることもあります。
さらに、抑うつ的な感情に囚われたり、問題行動が増えることもあります。
穏やかに、子どもが理解できる言葉で指示を繰り返すことが重要です。
また、親が求める水準が高すぎると、子どもにとっては大きな負担になることがあります。
適切なレベルで子どもの成長を支え、達成感を感じられるよう心掛けましょう。

言葉の表出が見られる自閉症スペクトラムの子どもの少なくとも85%が「エコラリア」(反響言語)を行うと言われています。
エコラリアには以下のような特徴があります。
自閉症の子どもは、同じ質問や話題を何度も繰り返すことがあります。
例えば、同じ質問に何度も同じ答えを返すことがあります。
相手が言った言葉やフレーズをそのまま返事として使うことがあります。
これは相手の言葉をエコーのように繰り返すことから「エコラリア」と呼ばれます。
質問に対して同じ答えを何度も求めることがあります。これは彼らのコミュニケーションスタイルの一部です。「即時型エコラリア」は、質問に対してその場で同じ言葉を返すことを指し、「遅延型エコラリア」は、数時間や数日後に以前に聞いた言葉やフレーズを繰り返すことを指します。
たとえば、以前に聞いたCMの一部を、時間をおいて繰り返すことなどがこれに該当します。
自閉症スペクトラム(ASD)は、複雑な遺伝的要因に関連する神経発達障害の一つです。
この障害は、単一の遺伝子変異だけでは説明できず、多くの遺伝子の相互作用と環境要因が影響を与えると考えられています。
家族内に自閉症スペクトラムの児童がいる場合、兄弟姉妹の中で同じ特徴を持つ子どもが生まれる確率は、一般の人口よりも高いことが示唆されています。
次の子どもが自閉症スペクトラムの特徴を持つ確率は約3%~8%とされています。
また、一卵性双生児の一方が自閉症スペクトラムの特徴を持つ場合、もう一方が同じ特徴を持つ確率が非常に高く、36%~91%という幅広い確率が報告されています。
これにより、遺伝的要因の重要性が示唆されています。
親が自閉症スペクトラム障害(ASD)を持っている場合、子どもも同じ障害を持っていることがよくあります。発達障害は子どもの個性の一部ですが、子育ての方法によって子どもの未来に大きな影響を与えることができます。ASDの特性を持つ親は次のように考えることがあります。
「自分は問題なく生きているから、子どもも特別な支援は必要ないはず」。
しかし、子どもが育つ環境や状況は、あなたが子どもの頃とは異なるかもしれません。
あなたが受けた支援が、子どもにも同じ効果をもたらすとは限りません。
また、「自分は親から十分なサポートを受けなかったので、子どもには特に気を使いたい」という考え方もあります。
ちょっとした変化や配慮が、子どもの日常生活や学校生活を大きく改善させることがあります。
適切な支援や理解が、子どもの成長を支える重要な要素となります。

自閉症スペクトラム(ASD)の専門性を持たず、他の知的障害と同様の支援を行うと、どのような結果になるのでしょうか。現在、自閉症スペクトラムの方々の中には、行動上の問題を「二次障害」として身につけてしまった方が多くいます。
これらの行動は、非社会的行動や反社会的行動を含み、「強度行動障害」として知られています。
こうした強度行動障害に関する事業や補助制度が急務となった後でも、自閉症スペクトラムに対する支援の考え方は変わっていません。
しかし近年、高機能自閉症やアスペルガー症候群の人々がメディアや各機関で注目され始めた影響もあり、国は2002年に「自閉症・発達障害支援センター」を設置しました。
さらに2004年には「発達障害者支援法」を施行し、自閉症スペクトラム障害の特性と専門的支援の必要性が認識されるようになりました。
ASDの特性を理解する際には、3つの主要な要素があります。
1つ目は「社会的相互作用の障害」で、人との対話やつながりを築く難しさを指します。
2つ目は「コミュニケーションの質的な障害」で、言葉や非言語的なコミュニケーションに関する困難を表します。
そして3つ目は「想像的活動の障害」で、創造的な遊びや想像力の発展が制約されることを示します。
これらの特性に伴い、反復的な行動パターンもよく見られます。
キャンバーウェル調査に基づき、ローナ・ウィングとジュディス・グールド(ローナの同僚)は、ASDの個々の特徴を「カナー型自閉症」や「アスペルガー症候群」といった特定のカテゴリーに分けるのは難しいと結論しました。
その代わりに、これらの特性を連続的なスペクトルとして捉え、それが「自閉症スペクトラム障害」という名称の由来となりました。自閉症スペクトラム障害を理解する際には、この「三つ組み特性」が中心的な要素であることが重要です。
ASDには、困難な点だけでなく、良い面もたくさんあります。
・ものごとを筋道立てて考え、論理的な思考ができる
・嘘をつかず、正直で正義感が強い
・真面目で、ルールを守る
・数学や音楽、美術などに才能を発揮する人もいる
・単調な作業も嫌がらずにやり抜く
・生真面目に物事に取り組む
・記憶力が良い
・知識が広い
・関心のあることには集中力を発揮する
興味や関心が限定されがちなため、職場では「融通が利かない」と思われることもありますが、特定の分野で深い知識を持つなど、プラスの面も多くあります。
ASDの長所や強みに目を向けることが非常に重要です。