うつ病と聞くと、「気分が落ち込む病気」「やる気が出ない状態」といったイメージを持たれる方が多いかもしれません。しかし、うつ病と似た症状を示す他の精神疾患や、うつ病と併発しやすい精神障害も多く存在します。これらは診断や治療の上で混同されやすく、正確な理解と見極めが重要になります。
本記事では、うつ病と深く関連する6つの精神疾患について、それぞれの特徴や違い、共通点をわかりやすく解説します。

うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下、疲れやすさなどの症状が長期間続く脳の不調です。単なる気分の波とは異なり、日常生活に大きな支障をきたすのが特徴です。
脳内の神経伝達物質である「セロトニン」や「ノルアドレナリン」の働きが低下していることが主な背景とされており、医学的な治療が必要な病気です。
治療の基本は以下の3つです。
では、次にうつ病と関連の深い6つの精神疾患について見ていきましょう。

適応障害は、ある特定のストレス(人間関係、仕事の変化、環境の変化など)に対して過剰に反応し、気分の落ち込みや不安などの症状が現れる状態です。
うつ病との違いとしては、うつ病が脳の生物学的な不調であるのに対し、適応障害は明確なストレス要因が原因とされ、ストレスが取り除かれると比較的速やかに回復する傾向があります。
ただし、適応障害からうつ病へ移行するケースもあり、両者の見極めは非常に重要です。
不安障害とは、日常生活に支障をきたすほどの強い不安や恐怖を持続的に感じる状態で、以下のようなタイプがあります。
うつ病と不安障害は一見異なる病気ですが、どちらもセロトニンの異常が背景にあるとされ、抗うつ薬(SSRI)が治療に用いられる点は共通しています。また、うつ病と不安障害は併発するケースも多く、相互に症状を悪化させることもあります。
双極性障害は、「うつ状態」と「躁状態(気分が異常に高揚する状態)」を繰り返す病気です。うつ病とは異なるメカニズムで発症し、気分安定薬(リチウムなど)を中心とした治療が行われます。
中でも「双極性障害II型」は、躁状態が軽度な「軽躁状態」にとどまるため、うつ病との区別が難しく、しばしば誤診されることもあります。
アルコール依存症は、飲酒をやめたいと思ってもやめられず、生活や健康に深刻な影響を及ぼす状態です。
うつ病の人がその辛さを紛らわせるためにアルコールを飲み始め、依存症に至るケースも少なくありません。逆に、アルコール依存によって生活が破綻し、二次的にうつ病を発症する場合もあります。
統合失調症は、幻聴や妄想などの陽性症状に加え、意欲の低下や感情の平坦化といった陰性症状、そして認知機能の障害が現れる精神疾患です。主にドーパミンの過剰な働きが関与しているとされています。
うつ病と似た症状もありますが、抗うつ薬が効果を示さないことや、思考の混乱、現実感の喪失などが診断の鍵となります。
発達障害は、生まれつきの脳機能の特性による障害で、代表的なものにADHD(注意欠陥多動性障害)とASD(自閉スペクトラム症)があります。
これらの特性により、社会での困難やストレスが蓄積され、二次的にうつ病や不安障害を発症するケースが少なくありません。特に大人の発達障害では、発覚時にすでにうつ病を合併していることが多いです。
うつ病と似た症状を呈する精神疾患は多数あり、それぞれに異なる背景と治療法があります。以下の6つは特にうつ病と関連が深く、診断や治療において注意が必要です。
うつ病とこれらの疾患を見分けるポイントは、症状の経過や背景、薬の反応など多岐にわたります。正確な診断と多角的なアプローチによって、より効果的な治療と支援が可能になります。
精神疾患は決して「気の持ちよう」ではなく、適切な理解とサポートが必要な医療の対象です。一人で悩まず、専門家に相談することが回復への第一歩です。