発達障害の「グレーゾーン」とは、診断基準を満たすほどではないけれど、日常生活に支障を感じる発達特性を持つ状態を指します。診断がつかないことで見過ごされやすく、支援の網からも漏れがちなこの状態には、特有の特徴があります。今回は、発達障害グレーゾーンの目立つ特徴を5つご紹介します。
グレーゾーンの最も大きな特徴は、発達障害の診断基準には達しないものの、確かに特性が見られることです。たとえば、忘れ物が多い、マルチタスクが苦手、対人関係がぎこちないなど、一部はADHDやASDに似た傾向が見られます。
しかし生活の中で「何となく困っている」程度で、定型発達とされる人との線引きが難しいため、「個性」や「努力不足」と誤解されがちです。

グレーゾーンの人は、実際にはかなり多いと考えられています。診断を受けていないだけで、日々の生活や仕事において困りごとを抱え、自分なりに工夫して乗り切っている人は少なくありません。
また、統計には現れない“未診断群”の存在も含めると、発達障害の診断を受けている人よりも、グレーゾーンに該当する人の方が多い可能性もあります。
子どもの頃には「少し変わっているけれど、問題ない」とされていた人が、大人になってから職場や家庭で困難を感じ、自分の特性に気づくケースが多くあります。職場での段取りの悪さ、人間関係の難しさ、家事の段取りが苦手など、生活場面で明確な苦手さが出てきて初めて「グレーゾーンではないか」と疑うのです。
また、子どもの発達障害をきっかけに親自身が気づくこともあります。

診断がない、あるいは診断基準を満たさないために、療育手帳や福祉サービス、就労支援などの制度の対象にならないケースがほとんどです。そのため、支援の必要があっても、実際には公的サービスが受けられず、自助努力や家族の支えに頼るしかない状況に置かれることが多くなります。
こうした「支援の狭間」にいることが、当事者や家族の負担感を強める要因になります。
グレーゾーンの状態は、正しい理解と対応によって、日常生活の困りごとを軽減することが可能です。自分の特性を把握し、苦手なことを無理に克服しようとするのではなく、得意な方法でタスクを管理したり、環境を整えることが効果的です。
また、心理的支援や発達障害に詳しい専門家によるコーチングなども、本人の生活を支える大きな助けとなります。
発達障害グレーゾーンは、「診断はつかないけれど困りごとはある」という、非常に見過ごされやすい状態です。特性はあっても制度の枠外に置かれ、本人の苦労が目に見えづらいことが多いのが現状です。
だからこそ、本人の自己理解と環境調整、そして周囲の柔軟な理解が重要になります。グレーゾーンにある人が、自分らしく安心して生活できるような支援や社会の理解が、今後ますます求められています。