うつ病は、誰にでも起こり得る身近な心の病です。
そして何よりも大切なのが、早期発見と早期治療です。症状が軽いうちに適切なケアを受けることで、重症化を防ぎ、回復のスピードも大きく変わってきます。
しかし実際には、「自分で自分の異変に気づく」ことは容易ではありません。
うつ病はじわじわと進行することが多く、自覚症状が薄かったり、感じていても「気のせいだ」と見過ごしてしまうこともあります。
ときには罪悪感から「これはうつではない」と否認し、症状が悪化してしまうケースもあるのです。
そんな中、周囲の人が変化に気づくことはとても重要な役割を果たします。
特に長い時間を共に過ごす職場の同僚や上司が、その人の行動や様子の変化を察知し、声をかけることで、早期発見につながることがあります。
今回は、職場で周囲が気づくことができる「うつ病のサイン」について、代表的な5つのポイントをご紹介します。

まず、うつ病とは何かを簡単に振り返っておきましょう。
うつ病は、脳の働きに不調が生じることで、気分が落ち込む、意欲がわかない、集中力が続かないといった症状が続く精神疾患です。
脳内の神経伝達物質、特に「セロトニン」などの不足が関与しているとされ、治療には「休養」「薬物療法」「精神療法」の3本柱が基本となります。
症状には大きく分けて以下の3つがあります。
とりわけ「行動の変化」は周囲が気づきやすく、職場でのサインとなり得ます。

それでは、具体的に職場で周囲が気づきやすい5つのサインをご紹介します。
今まで時間に正確だった人が、遅刻や当日欠勤を繰り返すようになる。これはうつ病のサインの1つです。
背景にはいくつかの要因が考えられます。
こうした遅刻・欠勤の背景には、本人も言葉にしづらい心の苦しさがあることが多いのです。
以前は気さくに話していた同僚が、挨拶も減り、人との距離を取るようになった──このような変化も重要なサインです。
会話が苦痛に感じられる理由としては、
孤立はそのまま仕事のパフォーマンスやチームワークにも影響するため、周囲の気づきが重要です。
うつ病の人は、表情や声のトーンに変化が見られることがあります。具体的には、
こうした変化は、抑うつ気分や罪悪感、そして興味・関心の低下などが影響して現れます。会話中の反応が薄くなることで、周囲は違和感を覚えるかもしれません。
「最近、ミスが増えた」「作業が遅い」「話したことをすぐ忘れる」など、仕事に影響が出てきた時も要注意です。
背景には、
といった脳機能の不調が関わっています。
うつ病は「気持ちの問題」と捉えられがちですが、実際には脳の働きが影響しているため、本来の能力が発揮できない状態に陥っているのです。
最後に、意外と見落としがちですが重要なのが「身だしなみの乱れ」です。
このような変化の背景には、
などがあり、いわば「生活能力の低下」が現れている状態です。

うつ病のサインに気づいたとき、大切なのは本人を責めないことです。
「最近ミスが多いよ」「ちゃんとしなよ」と指摘するのではなく、
「最近元気ないけど、大丈夫?」と優しく声をかけることが第一歩になります。
また、信頼できる上司や産業医、保健師などに相談し、必要であれば受診をすすめることも大切です。
うつ病は、早く気づくことができれば、回復も早く、本人の苦しみも軽減できます。そのためには、周囲が気づけることが大きな力になるのです。
今回ご紹介した5つのサインは以下の通りです。
もしこれらの変化が見られたときには、早めに声をかけ、無理をしないよう促してあげることが大切です。
「気づける職場」が、誰かの人生を支えることにつながります。