見落とされやすい5つの特徴とその背景
発達障害はこれまで「男性の障害」というイメージが強くあり、実際に受診・診断される人の多くも男性でした。しかし近年、成人女性においても発達障害の診断が増加してきています。これは、これまで見過ごされてきた女性の発達障害の実態が、ようやく注目され始めた結果ともいえるでしょう。
本記事では、「女性の発達障害」がなぜ見つかりにくいのか、そしてその特徴について、丁寧に解説していきます。
女性の発達障害が増えている理由
発達障害とは、生まれつきの脳の特性により、認知や行動、コミュニケーションにおいて困難が生じやすい状態を指します。代表的なものに、注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)などがあります。
これまで、ADHDの男女比は「3:1」、ASDでは「4:1」と、圧倒的に男性の割合が高いとされてきました。しかし近年では、特に成人女性において発達障害の診断が増えており、実際にはそこまで大きな男女差はないのではないか、という指摘もあります。
それではなぜ、これまで女性の発達障害は見落とされてきたのでしょうか?

女性の発達障害が見落とされる3つの理由
1. 明確な不適応が少なく、「調べる対象」になりにくい
男性の場合、行動面での目立つ問題(授業中に歩き回る、衝動的な言動など)が多いため、周囲の目に留まりやすく、早期に検査や診断につながるケースが多く見られます。一方、女性の場合はそうした“目立つ不適応”が少なく、静かでおとなしく見えることから、問題があっても気づかれずに時間が過ぎてしまう傾向があります。
2. 診断基準が男性を中心に作られている
現在使われている多くの発達障害の診断基準は、長年の研究の中で主に男性の事例をもとに作られてきました。そのため、女性特有の症状や表現の仕方が反映されにくく、女性が診断されるには、かなり重度の症状が現れている必要があるといわれています。
3. 症状の出方に男女差がある
発達障害の女性は、症状を“外に出す”というよりも“内に抱え込む”傾向があります。そのため、うつ病や不安障害といった二次障害として表面化しやすく、発達障害とは気づかれにくいのです。
女性の発達障害に見られる5つの特徴
1. 目立ちにくい
発達障害は、「目立つ」ことが診断のきっかけになることが多いのですが、女性の場合、その特性が目立ちにくく、見過ごされやすい傾向があります。例えば、男性なら「孤立」「トラブル」「多動」といった特徴が強く出ることが多いのに対し、女性は「ぼーっとしている」「口論が多い」「存在感が薄い」など、周囲に与えるインパクトが比較的弱いため、発達障害だと気づかれにくいのです。

2. トラブルが少ない
女性の場合、困難を感じながらも周囲に迷惑をかけないよう配慮し、内にこもる傾向が強いため、トラブルとして表面化しにくいのです。結果として、問題があっても受診に至らないケースが多くなります。たとえば、男性では「暴言」「衝動的な行動」などが目立つことが多いのに対し、女性では「雰囲気を乱す」「独特な言動」など、周囲が“違和感”として感じる程度にとどまることもあります。
3. 見つかりにくい
症状が目立たず、トラブルも少ないとなると、当然ながら診断には至りにくくなります。実際には、本人の中で非常に大きな困難を抱えていても、それを周囲に伝えられず、あるいは理解されずに時間だけが経過してしまうこともあります。
10代の頃は「ちょっと不器用な子」として見過ごされ、社会に出たあとに不適応(仕事のミス・遅刻、対人トラブルなど)を繰り返す中で、ようやく発達障害の診断につながるという例も多いです。
4. 二次障害を合併しやすい
発達障害が見過ごされることで、本人は知らず知らずのうちにストレスをため込み、うつ病や不安障害といった二次的な精神疾患を発症しやすくなります。

特に女性では、自分を抑えて周囲に合わせる「過剰適応」の傾向が強く、それが長期的に心身の限界を超えてしまうことで、不調をきたすことがあります。こうした場合、最初はうつ病として治療を始めたものの、改善せずに再発を繰り返す中で、背景にある発達障害が明らかになることも少なくありません。
5. 利用されやすい
女性の発達障害では、「他人に合わせすぎる」「自己肯定感が低い」「ノーと言えない」といった特性から、他者に利用・搾取されやすい傾向があります。例えば、悪意ある相手からお金をだまし取られたり、心理的な支配を受けたりするケースもあります。
本人が「おかしい」と感じていても、適切な距離を取れず、長期間そのような関係に巻き込まれてしまうことも。自立して生きる力を育て、信頼できる相手とだけ関わることが重要な予防策になります。
まとめ:女性の発達障害を早期に理解するために
女性の発達障害は、以下のような特徴から発見が遅れやすく、結果として慢性的な困難を抱えがちです。
これらの特徴を知っておくことは、本人だけでなく、周囲の人にとっても重要です。発達障害そのものは「特性」であり、適切な理解と支援があれば、本人がより自分らしく生きていくことが可能になります。
見落とされやすい「女性の発達障害」に光を当て、早期発見と適切な支援へとつなげていくことが、私たち社会に求められています。