男性でも過食症になりますか!?

男性でも過食症になるの?──その実態と背景

「過食症」というと、多くの人は女性の疾患というイメージを抱きがちですが、実際には男性にも起こる可能性があります。
たしかに、発症の頻度は女性の方が圧倒的に高いものの、男性にもみられるケースがあり、特に「過食性障害(むちゃ食い症)」は男女問わず発症することが知られています。

まず過食症とは、衝動的に大量の食べ物を摂取してしまう行動が繰り返される精神的な疾患です。
これは「摂食障害」と呼ばれる一連の症状の中に含まれ、その原因や特徴、対応方法にはさまざまな違いがあります。
摂食障害には狭義のものと広義のものがあり、それぞれの枠組みで見ていくと、男女差や治療の難しさにも違いが見えてきます。


摂食障害の分類と特徴

摂食障害の分類と特徴

狭い意味での摂食障害は、大きく2つに分類されます。

1. 神経性やせ症(いわゆる拒食症)

これは、自分の体型に対する強い思い込みや誤ったボディイメージから、極端に体重を減らそうとする病気です。
体重がすでに標準以下、あるいは危険なほど低くなっているにもかかわらず、さらにやせようとする強迫的な行動が特徴です。中には、食べ物を極端に制限した結果、一時的に反動として「過食」することがあり、それを止められず苦しむ人もいます。

2. 神経性過食症

こちらは、繰り返し大量に食べる(過食)行為を行い、その後、体重が増えるのを避けるために不適切な代償行動をとるという特徴があります。
たとえば、意図的に嘔吐したり、過度な運動を行ったりするケースです。このタイプもやはり、体重や体型に対する過剰なこだわりが根底にあります。

これら2つはどちらも、女性の患者が圧倒的に多く、男女比で見ると10対1以上という報告もあります。


男性にも起こる「過食性障害(むちゃ食い症)」

男性にも起こる「過食性障害(むちゃ食い症)」

一方、広い意味での摂食障害には、上記2つに加えて「過食性障害(むちゃ食い症)」というものがあります。
これは、やはり過食を繰り返す点では神経性過食症と似ていますが、大きな違いとして、過食後の嘔吐や過度な運動といった代償行動が目立たないという点が挙げられます。

むちゃ食い症の患者は、過食に対して後悔や罪悪感を抱くことが多いものの、体重や体型に対するこだわりは比較的少ない傾向があります。
つまり、やせたいという動機ではなく、ストレスや感情の起伏によって食べてしまう「情動性の過食」が中心なのです。

このむちゃ食い症に関しては、男女比が1対2程度とされており、男性の発症例も比較的多いことがわかっています。
そのため、「男性でも過食症になるのか?」という問いに対しては、「なる。ただし主にむちゃ食い症として」という答えが適切でしょう。


各タイプの違いと予後

それぞれのタイプに共通するのは「過食」という症状ですが、その背景や治療の難しさには明確な違いがあります。

  • 神経性やせ症:ボディイメージに対する強い歪みが根底にあり、体重は痩せすぎの状態が多く、最も治療が難しいとされます。
  • 神経性過食症:体型への過度なこだわりから代償行動を伴うことが多く、体重は一般的に標準〜やや下の範囲。治療成績は中程度。
  • むちゃ食い症:体型への強いこだわりは少ないものの、肥満を伴うことが多く、比較的治療が進みやすいとされます。

このように、体重や体型に対する考え方、実際の体重、代償行動の有無などによって、それぞれの症状の性質や予後は異なります。


男性の過食症──特徴と注意点

男性の過食症──特徴と注意点

男性にみられる過食症のほとんどは、この「むちゃ食い症」に該当します。
神経性やせ症や神経性過食症は、男性には比較的まれとされており、特に神経性やせ症はほとんど見られません。

男性のむちゃ食い症は、女性ほど体型に強くこだわるわけではなく、ストレスや不安、孤独感などに起因することが多いとされます。
結果として、過食による肥満が問題となるケースが多く、身体的な健康リスク(糖尿病や高血圧など)への配慮が必要です。

精神的な治療と並行して、生活習慣の見直しや医師・栄養士の指導を受けることが、回復のためには重要になります。


まとめ

  • 男性でも過食症にはなるが、その大半はむちゃ食い症
  • **狭義の摂食障害(拒食症・神経性過食症)**は、女性に圧倒的に多い。
  • むちゃ食い症は男性にも多く見られ、予後は比較的良好だが、肥満や身体的合併症には注意が必要
  • 症状の背景にはストレスや情緒的要因があることが多く、心理的支援と生活改善の両輪でのアプローチが求められる。