「お風呂に入りたいけれど、どうしても動けない」「ただシャワーを浴びるだけなのに、それができない自分が情けない」
うつ病を抱える方の中には、このように感じている方が少なくありません。入浴は清潔さを保つだけでなく、リフレッシュや体調管理にも欠かせない日常の行為です。しかし、うつ病になると、その「当たり前のこと」がとても難しくなるのです。
この記事では、「うつ病でお風呂に入れない」という悩みの背景や原因を解説しながら、実際にどう乗り越えていけるのかを考えていきます。
うつ病とは、脳の働きに不調が生じることで、心身にさまざまな症状があらわれる病気です。よく知られているのは「気分の落ち込み」ですが、それだけではありません。
うつ病の主な症状
こうした症状が続くことで、普段できていた家事や仕事、対人関係など、日常生活全般に支障が出てきます。
「ただシャワーを浴びるだけ」「服を脱いで入るだけ」──健康なときは、そう思うかもしれません。しかし、うつ病の状態では、これが非常に大きな負担に感じられてしまうのです。

入浴という行動には、実は多くの工程と判断が含まれています。
これらは一見、流れ作業のように見えて、実際には「計画」「判断」「動作の切り替え」など、高度な脳の機能が必要とされます。
うつ病になると、以下のような機能が低下します。
つまり、頭の中では「お風呂に入らなきゃ」と思っていても、それを実際に行動へ移す力が出てこないのです。この状態は、決して「甘え」や「怠け」ではなく、脳の不調によるものです。
うつ病によって入浴ができなくなると、次第に以下のような問題が現れます。
このように、入浴ができないこと自体が、うつの悪化につながってしまうこともあります。そこで重要なのが、完璧を目指すのではなく、「小さな一歩」を工夫することです。
ポイントは「工程を減らす」「ハードルを下げる」
うつ病の時には、なるべく脳や体に負荷をかけないことが大切です。入浴の工程を見直して、やることを減らすことで、実行しやすくなります。
うつ病では、入浴だけでなく食事、掃除、人との会話なども困難になります。これらの活動にも、共通して「やることを絞る」ことが有効です。
こうした方法で「動ける範囲」「できる範囲」に活動を絞ることが、回復への第一歩になります。
そして何よりも大事なのは…「できない自分」を責めないことです。
動けない日があっても、入浴できない日があっても、それは病気のせいであり、あなたのせいではありません。うつ病は、脳の働きが一時的に不調になっている状態です。風邪のときに動けないのと同じように、脳が疲れているだけなのです。

うつ病と向き合うことは、時にとても辛く、孤独に感じることもあるでしょう。しかし、入浴ひとつとっても、「なぜできないのか」を理解し、「どうすれば少しでも楽になるのか」を考えることで、自分に合った工夫が見つかるはずです。
最初の一歩は、シャワーでなくてもいいのです。顔を洗う、服を着替える、それすらできなければ、「今日は何もできなかった」と認めて休むこと自体が、回復の一部です。
うつ病は「がんばって治すもの」ではありません。
「がんばらなくても大丈夫だと、自分に許すこと」から回復は始まります。
もしこの記事を読んで少しでも気持ちが楽になったなら、あなたはすでに「自分にやさしくする力」を持っています。焦らず、ゆっくりと、一歩ずつ進んでいきましょう。