「人間関係や仕事がうまくいかない」「自分だけなぜかうまく適応できない」――このような生きづらさを感じ、「もしかして発達障害では?」と心療内科を訪れる方は近年少なくありません。ご自身で調べたり、SNSやメディアで情報を目にしたことで、そうした可能性に気づくきっかけがあったという声も多く聞かれます。

しかし、実際には発達障害以外の理由、たとえばうつ病や適応障害などが原因で、似たような症状が出ている場合もあります。今回は、医療機関で発達障害が疑われる際に注目される「診断のための4つのポイント」について、わかりやすく解説していきます。
発達障害とは、脳の発達における特性によって日常生活にさまざまな影響をもたらす状態を指します。その代表的なものに、「ADHD(注意欠如・多動症)」と「ASD(自閉スペクトラム症)」があります。
ADHDは「不注意」「多動性」「衝動性」が特徴で、例えば以下のような傾向が見られます。
一方のASDは、以下のような「社会性の障害」と「こだわりの強さ」が主な特徴です。
これらの特性は、子どもの頃から見られることもありますが、大人になってから初めて生きづらさの原因として浮かび上がることもあります。
大人になってから発達障害が疑われるのは、次のようなケースが多くあります。
ただし、上記のような生きづらさが、必ずしも発達障害に起因するとは限りません。では、どのような点に注目して診断の参考とするのでしょうか?
医師が診断を行う際、特に重視するのが以下の4点です。
ADHDやASDの特性が現在も明らかに見られ、生活に支障をきたしている場合は、診断の可能性が高まります。たとえば、工夫してもうまく集中できない、対人関係で繰り返しトラブルになるなどが該当します。
逆に、過去に似た傾向があっても、現在では支障がなく適応できている場合は、診断には至らないこともあります。
発達障害は「生まれつきの特性」であるため、基本的には子どもの頃からその傾向があったはずです。たとえば小学校の通知表で「落ち着きがない」「友達とうまく関われない」といった記載がある場合、診断の参考になることがあります。
子どもの頃を振り返る方法としては:
が有効です。
発達障害は、単なる個性ではなく「障害」として扱われるのは、生活に明確な困難がある場合です。たとえば、仕事で何度も同じミスをして注意される、友人関係を築けず孤立しやすい、生活リズムが極端に乱れがちなど、「努力しても改善しにくい困難」が続くことが大きなポイントです。
また、こうした困難が原因でうつ状態に陥ることも珍しくありません。
職場では困るけれど、家庭や趣味の場では問題ないという場合、単なる環境のミスマッチである可能性もあります。発達障害の特性は「どの場面でも一貫して見られる」ことが特徴です。
例えば:
といった場合には、診断がより確かなものになります。
一方で、次のようなケースでは発達障害以外の要因が疑われます。

発達障害の診断は一つのラベルであり、それがすべてを決めるものではありません。重要なのは「自分の特性を正しく理解し、それに合った対応策を見つけていくこと」です。
近年では、発達障害の特性を持ちながらも、環境を工夫したり、支援を受けながら自分らしい生活を実現している方が数多くいます。診断はそのための一つの手段であり、目的ではありません。
もし「もしかして…?」と感じたなら、ひとりで悩まず、専門家へ相談することをおすすめします。そして、あなた自身の特性に合った「生きやすい暮らし方」を少しずつ見つけていきましょう。