ASD(自閉症スペクトラム障害)のある方にとって、「雑談」は非常に難しいコミュニケーションの一つとされています。ASDの特性上、対人関係全般が苦手とされることが多いのですが、中でも「雑談」はその特性が顕著に表れる場面といえるでしょう。
一方で、社会生活においては雑談が大きな意味を持つことも少なくありません。仕事でも日常生活でも、雑談が人間関係の潤滑油となっている場面は多くあります。
では、ASDの方は雑談とどのように向き合えば良いのでしょうか? 本記事では、「ASDの方にとっての雑談の難しさ」と「雑談対策3つ」について、丁寧にご紹介していきます。
ASDとは「自閉症スペクトラム障害」の略で、発達障害の一種です。主に「社会性の困難さ」や「強いこだわり」といった特徴を持ち、幼少期に診断されることもあれば、大人になってから気づかれるケースもあります。
ASDの主な特性を3つ挙げると、以下のようになります。
こうした特性の中でも、雑談の場では特に「非言語的なやりとりの多さ」「話題の移り変わりの速さ」「目的があいまいであること」がハードルになります。
雑談には、単なるおしゃべり以上の意味が存在しています。
つまり、雑談は「人とつながる」ための第一歩であり、その後の関係性や仕事の円滑さにも影響を与えるものです。
逆に言えば、雑談が苦手であることによるデメリットも考えられます。
では、どうすれば雑談とうまく付き合っていけるのでしょうか?

ASDの方は「目的が明確な行動」が得意です。つまり、雑談に対しても「何のためにこの雑談をするのか?」という目標を自分なりに設定しておくと、主体的に取り組めるようになります。
例えば、
といったように「自分にとっての雑談の意味付け」を意識的に行うことで、気持ちが少し軽くなることがあります。
また、目的意識を持つことで意欲も高まり、「雑談が苦手」という状態に向き合い、少しずつ改善していくことができるようになります。
取り組みとしては、
といった方法があります。「うまくなろう」と努力する前に「なんのために話すのか?」という目的を明確にすることが、最初の一歩です。
どうしても雑談が苦手でストレスになる場合、「無理に頑張らない」ことも大切です。嫌な場面から上手に抜ける技術も、ASDの方にとってはとても重要なスキルです。
ただし、「断る」ことにもリスクがあります。
だからこそ、「上手な断り方」を身につけることが大切になります。
断り方のポイントは以下の3つです。
「うまく断る練習」を重ねていくことで、自分のペースを守る術を身につけることができます。
雑談=誰とでも、どんな場面でも無理して話す、ということではありません。大事なのは「自分に合ったやり方」でコミュニケーションを築いていくことです。
たとえば、
といった「自分の得意な形」を把握しておくと、人との関わり方がグッと楽になります。
雑談に対して苦手意識がある場合でも、「自分らしい形」でつながる方法は必ずあります。無理せず、自分のペースで人と関わる練習をしていくことが大切です。

雑談は、ASDの方にとって難しい壁である一方、社会生活をスムーズに送るうえで大切な役割を果たしています。しかし、その壁を無理に乗り越える必要はありません。
「目標を設定する」「断る練習をする」「自分に合った方法を見つける」――この3つを意識することで、雑談に対するハードルはきっと下がります。
苦手なことに悩むよりも、「どうすれば自分らしく関われるか」を考えてみてください。あなたに合ったコミュニケーションの形が、必ず見つかるはずです。