近年、日本国内においてうつ病患者の増加が社会問題となっています。
「うつ病1000万人時代」ともいわれ、家族や友人、同僚など、身近な人がうつ病を患っているケースも珍しくなくなりました。
それに伴い、「うつ病」や「気分障害」という言葉を耳にする機会も増えていますが、この2つの言葉の違いについて、正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。
また、「躁うつ病」という病名も聞くことがありますがこれは一体どのような位置づけになるのでしょうか。
本記事では、気分障害とうつ病、そして躁うつ病の違いについて詳しく解説しそれぞれの特徴や原因についても丁寧にご紹介していきます。

まず、「気分障害」と「うつ病」の違いについて整理しましょう。
「気分」という言葉は、「感情」に比べて持続時間が長く、比較的変化しにくい心の状態を指すとされています。
したがって、「気分障害」とは、この気分に関連するあらゆる障害全般を指す総称です。
代表的なものに、うつ病と躁うつ病(双極性障害)があります。
つまり、
という関係性になります。
「気分障害」という言葉は、うつ病単独を指しているわけではなくうつ病を含む広い意味合いを持っていることを押さえておきましょう。
気分障害に分類される代表的な疾患であるうつ病と躁うつ病について、それぞれの特徴を具体的にみていきます。
うつ病は、持続的な抑うつ気分と興味や喜びの喪失を主な症状とする精神疾患です。
具体的な症状としては、次のようなものが挙げられます。
うつ病は、単なる「気分が落ち込む」というレベルを超え日常生活に著しい支障をきたす重大な疾患です。
適切な治療を受けることが非常に重要となります。
一方、躁うつ病は、躁状態とうつ状態を周期的に繰り返す病気です。
躁状態では、次のような症状がみられます。
これに対して、うつ状態では前述したうつ病の症状と同様に、気分の落ち込みや無気力、自殺念慮などが強く現れます。
躁うつ病では、躁状態とうつ状態の両方を経験する点が大きな特徴であり治療法やケアのアプローチも単純なうつ病とは異なります。

気分障害がなぜ発症するのか、その原因についても触れておきましょう。
一般的には精神的ストレスや重大なライフイベント(例えば、失恋、失業、愛する人の死など)が発症の引き金になることが多いとされています。
また、次のような要因も関連していると考えられています。
さらに、心理学の観点からは、次の2つの理論が有名です。
精神分析学者メラニー・クラインによる理論では
気分障害の根本には幼少期に経験した不安の克服失敗があるとされています。
幼児期の深い不安が、心の中に未解決のまま残り
成人後にさまざまなストレスが加わることで発症する、という考え方です。
認知療法の創始者であるアーロン・ベックによる理論では、
このような歪んだ思考パターンを認知の歪みと呼び認知行動療法などでの修正が重要視されています。
気分障害には、実に幅広い状態が存在しています。
一般的には、うつ病というと「病気」としてのイメージが強いですが
実際には次のように段階が分かれます。
このように、軽度なものから病的な重度のものまで幅広いスペクトラムが存在していることを理解しておくことが大切です。
状態に応じた適切な対応や治療が必要になるため自己判断せず、専門医に相談することが推奨されます。
ここまで、気分障害、うつ病、躁うつ病の違いについて詳しくみてきました。
改めて、ポイントを整理しておきましょう。
気分障害は、誰にでも起こりうるものです。
「気分の問題だから」「甘えているだけだ」などと軽視せず正しい知識を持って適切に対応することが、本人にも周囲にも求められています。
少しでも違和感を覚えたら、専門機関に相談することをためらわないようにしましょう。