うつ病は、ストレスが大きな要因となって発症や悪化を引き起こす疾患です。日常生活の中では、仕事や家庭、学校など、さまざまな場面でストレスを感じることがありますが、特に見落とされがちなのが対人関係から生じるストレスです。
「人と関わる」という行為は、生きていくうえで避けられないものです。しかし、人との関わりの中で無理をし過ぎたり、自分の気持ちを抑え込んだりすることによって、知らず知らずのうちに大きなストレスを抱えてしまうことがあります。
本記事では、うつ病と対人ストレスの関係に焦点を当て、どのような人間関係が心の負担になりやすいのか、またそれにどう向き合っていくべきかを詳しく解説していきます。

うつ病は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの働きの低下などが関係していると考えられている病気です。代表的な症状には、気分の落ち込み、意欲の低下、睡眠障害、食欲不振、集中力の低下などがあります。
治療としては、抗うつ薬の服用や十分な休養、カウンセリングなどが行われますが、その発症や悪化の背景にはストレスが深く関係しています。ストレスの種類にはさまざまありますが、中でも対人関係によるものは非常に多く、かつ気づかれにくいため注意が必要です。
ストレスの原因は人それぞれですが、代表的なものとして次のようなものがあります。
仕事や学業などの忙しさから十分な休息が取れず、身体的にも精神的にも疲弊してしまう。
何をすべきか迷ったり、自分に対して厳し過ぎる思考が続いたりして、自らにプレッシャーをかけてしまう。
他者とのやり取りの中で、自分を抑え過ぎたり、相手に合わせ過ぎたりすることがストレスの原因になる。
特に対人関係によるストレスは、表に出にくく、自分でも気づかないまま蓄積されてしまうことがあるため、早めの対処が求められます。
対人関係には大きく分けて以下の3つの関わり方があります。
自己主張が強過ぎて対立やトラブルを招きやすいものの、本人はストレスを溜め込みにくい。
互いに配慮しつつも、必要な主張をするバランスの取れた関係。
自分の気持ちを押し殺して他人に合わせ続けるため、内面的なストレスが溜まりやすい。
この中で、うつ病のリスクが高くなるのが「我慢し過ぎるタイプ」です。以下では、特にストレスになりやすい4つの“対人関係のくせ”について解説します。

「言わない」と「言えない」は似て非なるものです。相手のことを思ってあえて言わないことは時に必要な判断ですが、本来伝えるべきことを「言いたくても言えない」状態は、ストレスを蓄積させてしまいます。
人間関係における“信頼”と“依存”は似ているようで違います。特定の人に頼り過ぎてしまうことで、主体性を失い、自分らしさが保てなくなると、逆にストレスが強くなってしまうことがあります。
自分の意見を通すよりも、相手に合わせて波風を立てないようにする──。このような譲歩は一見平和的な選択のように見えますが、過度になると自己犠牲につながり、ストレスが蓄積してしまいます。
対人関係においては、相手の言葉だけでなく表情や態度などを読み取る必要がありますが、そこに過度な推測や不安が加わると、「嫌われたのではないか」「怒っているのでは」と悪い方向に考えてしまい、大きなストレスとなります。
うつ病の背景には、日々のストレスが大きく影響しています。そして、その中でも対人関係によるストレスは非常に大きな割合を占めます。
意見が言えない、依存し過ぎる、譲歩し過ぎる、悪い方に考えてしまう──。こうした“対人関係のくせ”は、最初は小さなストレスでも積み重なることで、心の健康に深刻な影響を与えることがあります。
人との関わりの中でストレスを減らすには、「アサーション(自分も相手も尊重した自己表現)」のようなスキルを身につけることも一つの方法です。誰かに合わせ過ぎるのではなく、自分の気持ちや立場も大切にする。それは、自分を守る第一歩になります。
無理をせず、自分のペースで。心の健康を守るための人間関係の築き方を、少しずつ意識してみてください。