感情とは、快不快を基調にした主観的な印象であり
喜びと悲しみ、苦しさと楽しさなど、相反する二極性を持つものです。
これに対して気分は、感情の持続的な状態を指し、長期間にわたって続く感情の変化を表します。
気分障害は、通常の範囲を超えて気分が高揚したり
極端に落ち込んだりする状態が、一定期間にわたって続く精神的な障害です。

気分障害には主に二つのタイプがあり、うつ病と双極性障害が含まれます。
うつ病は、健康な生活に多大な影響を与える疾患であり
年々患者数が増加しています。
一方、双極性障害はその症状が見過ごされがちで
特に抗うつ薬の使用によって症状が悪化する場合もあるため、近年注目されています。
2.1 うつ病の症状と診断
うつ病は、抑うつ気分や興味の喪失、喜びを感じにくくなるなど
感情的な変化が特徴的です。
さらに、食欲の変化や睡眠障害、集中力の低下、自殺に対する思い
身体的な不調(頭痛や便秘など)など、さまざまな症状が現れます。
これらの症状が2週間以上続く場合には、うつ病と診断されることが多いです。
うつ病の診断は、血液検査や画像検査で直接確認できるわけではなく
主に患者本人の症状や家族からの情報を基に行われます。
また、うつ病は慢性疾患に伴うことが多く
がんや糖尿病、心疾患などと合併することが知られています。
2.2 うつ病の治療
うつ病の治療には、薬物療法と心理社会療法の二つの方法があります。
薬物療法では、抗不安薬や抗うつ薬、抗精神病薬などが用いられます。
抗不安薬は比較的早く効果が現れますが、長期間使用することに問題が生じる可能性があります。
一方、抗うつ薬は服用後に数週間から数か月かかることが一般的ですが
うつ病治療における中心的な役割を果たします。
また、心理社会療法としては、認知行動療法や心理療法が有効です。
うつ病の治療においては、十分な休息をとることや重大な決断を延期することが推奨されます。
さらに、電気けいれん療法(ECT)は、薬物療法が効かない場合に選択されることがあります。
うつ病は再発しやすい疾患であり、回復後も症状が再び現れることが多いです。
薬物療法を継続することが、再発を防ぐためには重要です。
3.1 双極性障害の症状と診断
双極性障害は、躁状態と抑うつ状態が交互に現れる障害です。
躁状態では、気分が高揚し、過度な自信や興奮、睡眠不足、思考が速くなる
過剰に活動的になるなどの症状が現れます。
これに対して、抑うつ状態では、うつ病と同様の症状が現れます。
双極性障害は、躁状態や抑うつ状態が交互に現れるのが特徴ですが
混合性エピソードという、1日の中で躁と抑うつが同時に現れることもあります。
双極性障害の診断は非常に難しく、躁状態のときに本人が快適に感じることが多いため
患者自身が治療を受けようとしない場合が多いです。
そのため、周囲の人々からの情報が診断には非常に重要です。
3.2 双極性障害の治療
双極性障害の治療には、気分安定薬や抗精神病薬が使用されます。
代表的な薬剤として、リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン、ラモトリギンが挙げられます。
これらの薬剤は、躁状態を抑え、抑うつ状態を改善し、気分の安定を維持する効果があります。
しかし、リチウムやバルプロ酸は血液中の薬物濃度を測定する必要があり
一定期間ごとの採血が必要となることがあります。
双極性障害の患者が抗うつ薬を使用すると、かえって躁状態を引き起こす可能性があるため
抗うつ薬の使用は慎重に行われます。
気分障害は、生活の質に大きな影響を与える精神的な疾患です。
うつ病や双極性障害はその代表的な疾患であり、それぞれが異なる症状や治療法を有しています。
どちらも再発することが多いため、継続的な治療と早期の対処が重要です。

薬物療法や心理療法が治療の中心となりますが
治療法の選択は個々の症状や状況に応じて慎重に行われるべきです。
気分障害の診断や治療は、患者の生活に大きな影響を与えるため
早期に専門医に相談することが求められます。