仕事や人間関係の中で強いストレスを感じると、私たちの心はさまざまな形で反応します。その一つが「適応障害」と呼ばれる状態です。適応障害は、特定のストレス要因に対する強い反応として現れ、うつ症状などの精神的な不調を引き起こすことがあります。しかし、この状態は必ずしも脳の病気ではなく、あくまで「反応」である点が特徴です。
この記事では、適応障害の特徴と、休職を選んだ場合の回復プロセス、再発を防ぐためのポイントを、「3段階の休職ステップ」を軸に解説します。

適応障害は、ストレスによって心が大きく揺さぶられた結果、うつ状態や不安、不眠などの症状が現れる障害です。うつ病と症状が似ているため混同されがちですが、実は大きな違いもあります。

休職は、ストレス要因から距離を取るための有効な手段です。適応障害では、ストレスから離れることで症状が速やかに改善するため、早期の休職はうつ病への進行を防ぐ効果も期待されます。
ただし、同じ職場や状況に復帰すると、再びストレスを受けやすいため、再発のリスクは高いままです。そのため、環境調整やストレスマネジメントが非常に重要になります。

適応障害の休職は、おおよそ以下の3つの段階に分けて進めることが望ましいとされています。
休職開始直後の時期です。多くの方は休職前に強いストレスやうつ症状を抱えていますが、休職を始めると数日〜数週間で症状が和らぐ傾向にあります。ここでの改善の速さは、うつ病との鑑別にも役立ちます。
症状が落ち着いてきたら、次は生活リズムを整え、徐々に日常生活の活動量を増やすリハビリ期に移行します。読書や散歩、軽い作業などを取り入れながら、「社会との接点」を少しずつ取り戻していきます。
リハビリ期を経て、ある程度の活動が可能になったら、職場復帰に向けた具体的な準備を行います。適応障害ではこの「後期」でつまずくことが多く、再発リスクが高まるため、特に慎重な対応が求められます。

後期には以下のような取り組みが重要になります。
仕事を思い出すだけで不安や体調不良が起きる場合もあります。復職を意識した活動を通して、自分の反応を確かめながら少しずつ慣らしていきましょう。
休職前の出来事を冷静に振り返り、心理的に整理します。強い感情が湧いてくることもあるため、「割り切れるかどうか」を一つの判断基準とします。
ストレスをためにくい生活を目指します。以下は取り組みやすい方法です。
一方で、時間がかかるけれど重要なテーマもあります。
これらは、再発防止や長期的な安定においてとても大切ですが、限られた復職準備期間では一部に絞って取り組むのが現実的です。
復職には職場とのすり合わせが必要不可欠です。配慮が得られるか、異動の可能性があるかなどを話し合い、「条件が合えば復職、難しければ転職」といった判断がなされます。
どうしても「割り切れない」「元の職場では再発しそう」と感じる場合、異動や転職も前向きな選択肢です。実際、転職後に安定して働けるようになったケースも少なくありません。

休職や転職を経ても、適応障害を繰り返すことがあります。この場合は、背景にある原因を見つめ直す必要があります。主な要因は以下の3つです。
「自分に合っていると思って選んだ仕事」が実は合っていないケースがあります。仕事探しの方向性そのものを変えることも必要かもしれません。
元々ストレスに弱い気質がある人は、特に丁寧なストレスマネジメントが求められます。すぐに効果が出るわけではありませんが、時間をかけて取り組むことが大切です。
適応障害の反復の裏に、未診断の発達障害が潜んでいることもあります。幼少期からの特徴や困りごとが今も続いている場合は、専門医の受診を検討しましょう。
適応障害はうつ病と似た症状を示すものの、ストレスへの一時的な反応という側面が強く、早期の対応が回復を左右します。特に休職を選ぶ場合は、「休養期」「リハビリ期」「復帰準備期」という3段階を意識し、それぞれの時期に合った支援と調整を行うことが重要です。
復職に向けては、本人の意欲だけでなく、職場との対話や環境調整も不可欠です。適切なステップを踏みながら、「再発しない働き方」を一緒に模索していきましょう。