パニック障害は、予期しないパニック発作の再発を特徴とする精神疾患であり多くの人の生活に大きな影響を及ぼします。
本記事では、パニック障害の症状、原因、治療法について詳しく解説します。
パニック障害(またはパニック症)とは不安障害(不安症)の一種で、予期しないパニック発作が繰り返し起こることが特徴です。不安障害とは過剰な不安や恐怖が日常生活に支障をきたす精神疾患の総称を指します。
パニック発作は激しい恐怖とともに動悸、息苦しさ、死への恐怖などの症状が突然現れ、短時間で自然に収束する発作です。発作を何度も経験することで、「また発作が起きたらどうしよう」と強い不安に駆られ外出や活動を避けるようになるため、生活の質が大きく低下してしまいます。学校や仕事に通えなくなるケースも少なくありません。

パニック障害に見られる症状は、大きく3つに分けられます。
パニック発作とは、突然激しい恐怖に襲われ、さまざまな身体症状が現れる現象です。アメリカ精神医学会(APA)によると、以下の13項目のうち4つ以上の症状が現れるとされています。
発作は通常数分から30分以内に収束、長くても1時間以内に自然に消失し、発作後に疲労感や倦怠感を伴うことが一般的です。
発作を繰り返すうちに、「また発作が起こるのではないか」という強い不安(予期不安)が生じます。発作そのものだけでなく、発作に伴う転倒、失禁、正気を失うといった結果を恐れることも含まれます。
予期不安により、発作を避けるための行動制限が現れます。運動を控えたり、人混みを避けたり、発作に備えて生活の幅を狭めるような行動が見られます。さらに、発作が起きた際に逃げ場がないと感じる場所(例:公共交通機関、トンネル、エレベーター、行列など)を避ける広場恐怖が併発することもあります。
パニック障害の明確な原因はまだ解明されていませんが、いくつかの要因が重なり合って発症すると考えられています。
また、10代後半から成人初期に発症することが多く、女性は男性に比べて2倍ほど発症しやすい傾向にあります。
パニック障害のリスクが高まる背景には、以下のような要因があります。
これらのリスクを複数抱えている場合、注意が必要です。

パニック障害は、適切な治療によって改善が期待できる疾患です。主な治療法は次の通りです。
認知行動療法は、パニック発作時に生じる破滅的な思考パターン(例:「息が苦しい=死ぬ」)を修正し、恐怖感を和らげることを目指します。安全な状況で身体症状を再現し、発作が危険ではないことを学習する「曝露療法」も有効です。
パニック障害に対しては、主に以下の薬が使用されます。
近年注目されている治療法で、磁気刺激により脳の特定部位を活性化させるものです。副作用が少なく、外来で安全に受けることが可能です。パニック障害への効果も報告され始めていますが、まだ研究段階です。
パニック障害は、気分障害(特にうつ病)と非常に併存しやすいことが知られています。ある研究では、パニック障害患者の約57.6%が何らかの気分障害を併発していたと報告されています。広場恐怖を伴うケースでは、併存率はさらに高まります。パニック障害とうつ病の症状は重なり合うことも多く、注意が必要です。
気分の落ち込みや趣味への興味喪失などが見られる場合、うつ病を併発している可能性があるため、早期受診をおすすめします。
パニック障害は、予期せぬパニック発作の再発と、それに続く予期不安行動変化を特徴とする精神疾患です。原因は複合的であり、治療には認知行動療法や薬物療法が主に用いられます。近年はTMS治療といった新たな選択肢も登場しています。
発作が1回でも起こった場合、不安があるなら早めに医療機関を受診することが大切です。日常生活に支障が出る前に、専門家のサポートを受けることで、症状の改善が期待できます。