かつては子どもに特有のものと考えられていた発達障害ですが
近年では成人期にも影響を及ぼすことが広く認知されるようになってきました。
中でも「大人の発達障害」という言葉が注目されており
仕事や人間関係での困難を通して初めて診断を受けるケースも増えています。
発達障害と聞いてまず思い浮かぶのは「アスペルガー症候群」や
「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」かもしれません。
しかし実際には、それ以外にもさまざまな症状が存在し、それぞれに特有の特徴があります。
本記事では
発達障害に分類される代表的な症状を11種類取り上げ、その定義と特徴を丁寧に解説いたします。
自閉症は先天的な神経発達障害であり
決して親の育て方や教育によって引き起こされるものではありません。
現在では「自閉スペクトラム症(ASD)」と総称され
多様な症状の重なりとして理解されています。主な特徴には以下が挙げられます。
アスペルガー症候群はASDの一種とされていますが
知的発達や言語能力には大きな遅れが見られない点が特徴です。
冗談が通じにくかったり、場の空気が読めなかったりと
社会生活での「生きづらさ」を感じやすい傾向があります。
一般的な例としては以下のような特徴があります。
小児期崩壊性障害は、3歳頃までは通常の発達を示していた子どもが
徐々に言語、社会性、運動能力などの獲得したスキルを失っていく稀な障害です。
症状としては、突然の孤立行動や繰り返し行動、自閉症に似た反応が見られます。

主に女児に見られる神経発達障害で
生後7カ月ごろから症状が出現します。以下のような症状が特徴的です。
レット症候群は遺伝子異常に起因することが多く
現在のところ根治的な治療法は確立されていません。
PDDは「自閉症」「アスペルガー症候群」「小児期崩壊性障害」「レット症候群」
「特定不能の広汎性発達障害」を含む広い概念です。
DSM-5(アメリカ精神医学会の診断基準)では、これらは「自閉スペクトラム症(ASD)」に
統合されています。ただし、レット症候群はASDには含まれていません。
ADHDは以下の3つのタイプに分けられます。
大人のADHDでは、忘れ物が多い、集中が続かない
思いついたことをすぐ口にするなどの特徴がみられます。
また、二次障害としてうつ病や不安障害を発症するリスクもあります。
ADHDの診断には以下の要件が求められます。
SLDは、読み書き、計算、推論などの特定の学習分野に限定して困難が現れる障害です。
一般的な知能には問題がなく、特定の課題にのみ著しい困難がある点が特徴です。
以下のような症状が報告されています。
これらの症状は学齢期から現れ、学業や社会生活に影響を及ぼします。
DCDは、体の動きや手先の細かい操作が不器用な発達障害です。
以下のような行動が見られることがあります。
DCDは運動技能だけでなく、自己肯定感や社会的スキルにも影響を与えることがあります。
トゥレット症候群は、運動チック(まばたきや顔の動き)と
音声チック(意味のない声や言葉の発声)を伴う神経発達障害です。
発症年齢は4〜11歳頃が多く、1年以上症状が続くことが診断基準となります。
大人になると軽快することもありますが、残存するケースもあります。

サヴァン症候群は、発達障害や知的障害を持つ人が特定の分野において飛び抜けた能力を
発揮する状態です。例としては以下のようなものがあります。
サヴァン症候群のメカニズムはまだ完全には解明されておらず、研究が進められています。
吃音症は、言葉をスムーズに話すことが難しくなる症状で
「どもり」や言葉の繰り返しが見られます。発達障害に分類されることが多いですが
身体的・精神的要因との関連も指摘されています。
日本では、ドラマ『裸の大将』で描かれた山下清画伯が吃音症の例として知られています。
発達障害は一人ひとり症状の現れ方が異なり
単純なラベルではくくれない多様性を持っています。
近年は、大人になってから気づくケースも増加し
早期の理解と対応が求められています。
今回ご紹介した11種類の発達障害は、どれも社会生活に影響を及ぼす可能性があるため
正しい知識と周囲の理解が不可欠です。
自分や周囲の人に思い当たる特徴がある場合
医療機関や専門家に相談することで、適切な支援や対処法が見つかることもあります。
発達障害についての理解を深めることが、よりよい共生社会への第一歩となるでしょう。