精神疾患の中でも、気分の波が大きく変動することで知られている「双極性障害」。
かつては「躁うつ病」と呼ばれていたことから
今なおこの2つの言葉が混同されることが少なくありません。
しかし、現代の医学では、両者には明確な違いがあるとされています。
本記事では
「双極性障害」と「躁うつ病」の違いについて、初めての方にもわかりやすく解説してまいります。
気分が「上がりすぎる」と「落ち込みすぎる」病気
双極性障害(Bipolar Disorder)とは、気分が異常に高まる「躁状態(または軽躁状態)」と
反対に気分が極端に沈む「うつ状態」が繰り返される精神疾患です。
単なる気分の浮き沈みとは異なり、日常生活や仕事、人間関係に重大な支障をきたすのが特徴です。

主な症状
これらのエピソードは、時に数日から数週間、長いと数か月にわたって続くこともあります。
発症の背景と原因
双極性障害の発症には複数の要因が関与しているとされます。代表的なものは以下の通りです。
病型による分類
双極性障害は症状の現れ方によって以下のように分類されます。
治療法
双極性障害の治療は、薬物療法と心理社会的アプローチを組み合わせて行います。
治療は長期にわたることが多く、再発予防の観点からも継続的なケアが重要です。
双極I型障害とほぼ同義の旧称
「躁うつ病」という言葉は、かつて双極性障害を指す一般的な呼び方でした。
現在では、医学的な診断名としては使用されなくなり
主に双極I型障害を表す俗称的な表現として使われています。
症状の傾向
躁うつ病では、以下のような典型的な症状が見られます。
また、躁状態とうつ状態の両方の症状が同時に現れる「混合エピソード」も存在し
診断や治療が難しくなるケースもあります。
治療の方針
基本的な治療方針は双極性障害と共通しています。
では、改めて「双極性障害」と「躁うつ病」の違いを以下のように整理してみましょう。
| 項目 | 双極性障害 | 躁うつ病 |
| 用語の位置づけ | 精神科の正式な診断名(DSM-5などに基づく) | 古い名称・俗称。現在はあまり用いられない |
| 病型の範囲 | I型・II型・気分循環性障害なども含む | 主に双極I型障害を指すことが多い |
| 症状の幅 | 軽躁や軽度のうつも含めて幅広い | 典型的な躁病と重度のうつ病が中心 |
| 治療の対象 | 病型に応じた個別対応 | 双極I型に準じた治療が基本 |
まとめ:用語は変わっても、支援の本質は変わらない

「双極性障害」と「躁うつ病」は、現在ではほぼ同じ病気を指していますが
使用される文脈や意味合いにわずかな違いがあります。
特に医療の現場では、「双極性障害」という診断名に基づき
患者一人ひとりに合った治療が行われています。
この疾患は、再発や症状の波があるため、長期的なサポートが欠かせません。
もし自分や身近な人に、気分の大きな変動や生活に支障をきたすような症状が見られる場合は
早めに専門医に相談することが大切です。
病気に対する正しい理解と、周囲の温かな支援が、安定した日常生活の第一歩となるでしょう。