ギャンブル依存症が要注意な精神疾患は?

ギャンブル依存症と要注意な精神疾患 ~ADHD・躁状態・うつ病との関係~

ギャンブル依存症と要注意な精神疾患

ギャンブル依存症は、本人やその周囲の人々の生活に深刻な影響を与える可能性のある精神的依存症の一つです。

その背景には、特定の精神疾患との関連が見られることがあります。

今回は、ギャンブル依存に特に注意が必要な精神疾患として「ADHD(注意欠如・多動症)」「双極性障害(躁うつ病)」、そして「うつ病」に注目し、それぞれとの関連や対策について解説していきます。

ギャンブル依存症とは

ギャンブル依存症とは

ギャンブル依存症は、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)において「ギャンブル障害(Gambling Disorder)」として分類されており、賭博行動に対するコントロールが失われる状態を指します。

DSM-5では9つの診断基準のうち4つ以上を満たし、かつその行動が躁状態によってのみ説明されない場合に診断されます。

ギャンブル依存が進行すると、以下のような深刻な問題が生じることがあります。

  • 金銭的な損失(借金、財産の喪失など)
  • 家族や友人との人間関係の破綻
  • 仕事や学業、社会的地位の喪失

依存が進むほど問題が複雑化し、社会的な支援や治療が必要となるケースが増えます。

ギャンブル依存に要注意な精神疾患

ギャンブル依存に要注意な精神疾患

① ADHD(注意欠如・多動症)

ADHDは、不注意、多動性、衝動性を特徴とする発達障害であり、子どもの頃に診断されることが多いものの、大人になってから発見されるケースもあります。ADHDの特性はギャンブル依存と相性が悪く、以下のような理由でリスクが高まります。

  • 衝動性:その場の誘惑に弱く、即時的な報酬に反応しやすいため、深く考えずにギャンブルに手を出してしまう可能性があります。
  • 過集中:興味を持った対象に極端に集中する傾向があり、ギャンブルに対しても一時的に強い集中力を発揮しやすい傾向があります。
  • 注意・関心のばらつき:日常生活に集中できず、刺激の強い活動(ギャンブルなど)に流れやすい傾向があります。

ADHDへの対策

ADHDが背景にある場合、薬物療法によって衝動性を抑えることでギャンブルへの衝動を軽減できる可能性があります。

特に依存性の低い薬としては以下の2つが挙げられます。

  • アトモキセチン(商品名:ストラテラ):全般的な症状に効果があり、依存性が低いですが、効果発現までに数週間かかります。
  • グアンファシン(商品名:インチュニブ):衝動性に特化した効果があり、眠気などの副作用に注意が必要です。

また、生活面でも予防的な工夫が重要です。

たとえば、ギャンブルが行われる環境を避ける、衝動が湧いたときに一呼吸置いて判断する、日常を充実させる工夫をするなどが有効です。

② 双極性障害(特に躁状態)

双極性障害は、気分が高揚する「躁状態」と落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。躁状態の際には、自分は何でもできると感じ、多弁・多動・過活動が目立つようになります。

この状態がギャンブルと結びつくと、以下のような問題が生じます。

  • 浪費行動:根拠のない楽天的な判断のもと、大金をギャンブルに投じてしまうことがあります。
  • 過度な自信:勝てるという過信のもと、冷静な判断ができなくなる場合があります。
  • 後悔と自己否定:躁状態が落ち着いてうつ状態に入った際に、金銭的損失を強く後悔し、自責感や希死念慮に至る危険もあります。

双極性障害への対策

双極性障害が疑われる場合、まずは精神科での受診と診断が重要です。

治療には気分安定薬が使用され、継続的な服薬により再発の予防が図られます。

また、躁状態を悪化させる刺激を避けることも大切です。

たとえば、クレジットカードを使用制限する、現金の管理を家族や第三者に委ねるといった予防的な対応も現実的な方法です。

③ うつ病

うつ病は、脳のセロトニン不足により引き起こされるとされる精神疾患で、気分の落ち込み、意欲の低下、興味の喪失などが続く状態です。

うつ病の中には、つらさを紛らわせるためにギャンブルに依存する「自己治療的行動」としてギャンブルを選択してしまうケースがあります。

これはアルコール依存やSNS依存といった他の依存症にも見られる傾向で、一時的な逃避行動が次第に依存に変わっていく危険性をはらんでいます。

うつ病への対策

うつ病の場合、まずは受診し、適切な抗うつ薬の処方や休養を得ることが第一です。

ギャンブル依存が自己治療的な側面で出ている場合は、うつ症状の改善とともにギャンブルへの関心が減少することが多いですが、依存傾向が強く残る場合には専門的な依存症治療の導入が必要です。

おわりに~ADHD・躁状態・うつ病との関係、できる対策として~

おわりに~ADHD・躁状態・うつ病との関係、できる対策として~

ギャンブル依存症は、本人だけでなく家族や周囲の人々の生活に大きな負担を与える深刻な問題です。

そして、発達障害や気分障害など、背景にある精神疾患によってそのリスクは高まります。

特に、ADHDでは衝動性に由来する依存リスク、双極性障害では躁状態での浪費行動、うつ病では自己治療としてのギャンブルといった形で、それぞれの疾患と特有の関係が見られます。

大切なのは、精神疾患に早期に気づき、適切な治療と生活の工夫を行うことです。

ギャンブル依存に悩む人が、少しでも早く適切なサポートを受けられるよう、社会全体での理解と支援が求められています。