
ギャンブル依存症は、本人やその周囲の人々の生活に深刻な影響を与える可能性のある精神的依存症の一つです。
その背景には、特定の精神疾患との関連が見られることがあります。
今回は、ギャンブル依存に特に注意が必要な精神疾患として「ADHD(注意欠如・多動症)」「双極性障害(躁うつ病)」、そして「うつ病」に注目し、それぞれとの関連や対策について解説していきます。

ギャンブル依存症は、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)において「ギャンブル障害(Gambling Disorder)」として分類されており、賭博行動に対するコントロールが失われる状態を指します。
DSM-5では9つの診断基準のうち4つ以上を満たし、かつその行動が躁状態によってのみ説明されない場合に診断されます。
ギャンブル依存が進行すると、以下のような深刻な問題が生じることがあります。
依存が進むほど問題が複雑化し、社会的な支援や治療が必要となるケースが増えます。

ADHDは、不注意、多動性、衝動性を特徴とする発達障害であり、子どもの頃に診断されることが多いものの、大人になってから発見されるケースもあります。ADHDの特性はギャンブル依存と相性が悪く、以下のような理由でリスクが高まります。
ADHDが背景にある場合、薬物療法によって衝動性を抑えることでギャンブルへの衝動を軽減できる可能性があります。
特に依存性の低い薬としては以下の2つが挙げられます。
また、生活面でも予防的な工夫が重要です。
たとえば、ギャンブルが行われる環境を避ける、衝動が湧いたときに一呼吸置いて判断する、日常を充実させる工夫をするなどが有効です。
双極性障害は、気分が高揚する「躁状態」と落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。躁状態の際には、自分は何でもできると感じ、多弁・多動・過活動が目立つようになります。
この状態がギャンブルと結びつくと、以下のような問題が生じます。
双極性障害が疑われる場合、まずは精神科での受診と診断が重要です。
治療には気分安定薬が使用され、継続的な服薬により再発の予防が図られます。
また、躁状態を悪化させる刺激を避けることも大切です。
たとえば、クレジットカードを使用制限する、現金の管理を家族や第三者に委ねるといった予防的な対応も現実的な方法です。
うつ病は、脳のセロトニン不足により引き起こされるとされる精神疾患で、気分の落ち込み、意欲の低下、興味の喪失などが続く状態です。
うつ病の中には、つらさを紛らわせるためにギャンブルに依存する「自己治療的行動」としてギャンブルを選択してしまうケースがあります。
これはアルコール依存やSNS依存といった他の依存症にも見られる傾向で、一時的な逃避行動が次第に依存に変わっていく危険性をはらんでいます。
うつ病の場合、まずは受診し、適切な抗うつ薬の処方や休養を得ることが第一です。
ギャンブル依存が自己治療的な側面で出ている場合は、うつ症状の改善とともにギャンブルへの関心が減少することが多いですが、依存傾向が強く残る場合には専門的な依存症治療の導入が必要です。

ギャンブル依存症は、本人だけでなく家族や周囲の人々の生活に大きな負担を与える深刻な問題です。
そして、発達障害や気分障害など、背景にある精神疾患によってそのリスクは高まります。
特に、ADHDでは衝動性に由来する依存リスク、双極性障害では躁状態での浪費行動、うつ病では自己治療としてのギャンブルといった形で、それぞれの疾患と特有の関係が見られます。
大切なのは、精神疾患に早期に気づき、適切な治療と生活の工夫を行うことです。
ギャンブル依存に悩む人が、少しでも早く適切なサポートを受けられるよう、社会全体での理解と支援が求められています。