発達障害に対する理解と支援は、社会全体の重要な課題です。今回は、発達障害を抱える方々が支援を受けつつ柔軟に働ける方法について紹介します。また、「障害を理由とした差別は禁止」されており、全員が平等に尊重されるべきであることも強調します。発達障害かもしれないと感じたときの相談先についても触れていきます。
発達障害のある人が生活のサポートを受ける際、卒業前の学校が通常その窓口となります。学校内での相談が一般的であり、外部機関と連携する場合でも、まずは学校での相談が先になることが多くあります。しかし、卒業後はどこに相談すべきかわからず、不安を抱く方もいるでしょう。そうした方は、発達障害者支援センターの存在を覚えておいてください。このセンターは年齢制限がなく、生活の悩みから就労、福祉サービスまで包括的に相談し支援を行っています。もし、発達障害者支援センターが自宅から遠くて利用しにくい場合は、地元の市区町村で障害に関する相談窓口を探してみましょう。他にも、保健所や保健センターも相談を受け付けています。保健所は都道府県や政令指定都市などに設置され、広域をカバーしますが、市区町村の保健センターは、より身近な場所にあります。
大人になるまで特に支援を受けてこなかった場合、相談先を見つけるのが難しく、実際に相談することにためらいを感じるかもしれません。例えば就労後に、「自分は発達障害かもしれない」と不安を抱いた場合でも、まずは相談しやすい窓口に電話してみるのが良いでしょう。発達障害者支援センターでは、まだ診断を受けていない方からの相談も積極的に受け付けています。行政の相談窓口や保健所、保健センターも同様です。こうした相談窓口で、自分の悩みや困りごとを話すことで、保健・医療・福祉・労働などに関連する機関と連携し、適切なサポートや支援を受けることができます。多くの人が初めて困難に直面し、助言を求めることはあります。会話の中で、自分が他の人とは異なる側面を感じ、理解し、支援を受ける気持ちになる方や、疑問や悩みの答えを見つけ、安心する方もいます。一方で、自分が発達障害であることを受け入れたくない気持ちが強い場合、特定の発達障害者支援センターには踏み込みづらいかもしれません。そういった方は、身体や心の悩みを包括的に相談できる保健センターなどを利用することをお勧めします。相談機関は診断を下す場所でもありませんし、何かを強制することもありません。一人で抱え込むよりも、早めに相談することをお勧めします。様々な対応策や予防策を考え、望ましい方向に進むことができます。
卒業後に就職先で困難に直面して悩んでいる方や、休職や退職後に再び働くことに対する不安を感じている方々は、働き方は一つではないことを心に留めておきましょう。個々の特性やその時々の状況に応じて、異なる就労形態を選択することが可能です。障害を持つ人々の就労形態として、一般的な就労と福祉的な就労があります。一般的な就労は、企業などで通常の就労形態で働くことを指します。それに対し福祉的な就労は、通常の就労が難しい障害者を支援する就労形態です。障害者福祉サービスの一環として、トレーニングを受けながら働く機会が提供されます。個々の障害の特性やその時々の状態、体調に合わせて柔軟にサポートを受けながら働くことができます。一般就労には、一般雇用と障害者雇用の2つの選択肢があります。一般雇用は、障害の有無に関わらず同じ条件で働くことを指し、一般的な働き方です。職種に制限はなく、高収入や好待遇の仕事を見つけることができますが、障害のない人と同じ労働環境での勤務になるため、状況や体調によっては負担が大きくなることがあります。障害者雇用は、発達障害の場合、療育手帳または精神障害者保健福祉手帳を持っている人が対象です。この形態では、職場で特性に対する配慮やサポートを受けやすい利点がありますが、一般雇用と比較すると、求人数が制限される傾向があります。
障害者雇用促進法は、障害がある人とない人が共に社会に参加し、共生社会を実現することを目指しており、差別的な取り扱いを禁止しています。この法律の正式名称は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」です。この法律は、事業主に障害者を雇用することを義務付けており、身体障害者や知的障害者だけでなく、精神障害者の雇用も2018年に法的に義務付けられました。この法律のもとでは、募集や採用から始まり、配置・昇進・賃金・雇用形態の変更・福利厚生など、あらゆる段階で差別が禁止されています。障害者であることを理由に、その人の労働能力を公正に評価しない、あるいは差別的な扱いをすることは違法です。例えば、障害のある人に対して健常者よりも不利な条件で資格取得を求めたり、障害者を管理職に就かせないようにすること、あるいは障害者に対して辞めるように勧めることは、はっきりとした差別行為に該当します。
たしかに、違法とされる明白な差別行為は避けられる一方で、障害者が自らが差別を受けていると感じる処遇を受けることはしばしばあります。例えば、業務上の理由を主張して本人の希望に反する異動を命じたり、実質的な降格を強いたり、賃金に不公平をもたらすケースがあります。さらに、上司や同僚からの態度や対応によって職場での居心地が悪くなり、最終的には退職を余儀なくされる場合もあります。障害に基づく差別かどうか、実際には判断が難しい場合も存在します。法的な基準と、実際の感覚や状況のギャップは現実です。時には、差別の証拠を押さえるのが難しいため、障害者が適切な支援や保護を得られないこともあります。このような問題を解決するためには、社会全体での教育と意識改革、そして法的な保護の強化が必要と思われます。
障害を持つ人が就労する際には、企業に対して合理的配慮を求めることができます。これは学校教育において子どもたちが必要とする合理的配慮を求めるのと基本的に同じです。先ほど述べた「障害者の雇用の促進に関する法律(障害者雇用促進法)」や、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」において、全ての事業主に、障害を持つ労働者に対する合理的配慮を提供する義務が記されています。この合理的配慮は、入社後に限らず採用の際から求められます。そして採用後には、個々の特性に応じて問題に対処し、適切な配慮をすることが法的に義務付けられています。事業主は、障害に関する事情が働き始める前に把握している場合、職場での支障がないかどうかを確認する責任があります。もし、雇用してから障害が明らかになった場合や、働いている間に障害が発生した場合は、事業主は迅速にそれを把握し確認することが求められます。もちろん、本人が自ら支障を報告することも可能です。事業主は、その支障を改善するためにどのような対策を望むのかを本人に確認し、話し合いを行います。この話し合いを基に、本人の意向を尊重しつつ、状況に応じた判断が行われます。ただし、企業に過度な負担がかかる場合、希望通りに対策が実施されないこともありますが、別の方法について協議することが可能です。障害の状態や職場の状況は変化する可能性があるため、定期的な見直しが行われることが重要です。
以上が、発達障害や知的障害のある人が支援を受けながら働くこと、就職・職場での合理的配慮などについての説明でした。