発達障害の診断と福祉制度などの利用の流れ

発達障害に関する診断と制度の利用に関しては、診断基準や医師の診断が重要な役割を果たします。
診断の際には、主にWHOの「ICD」や
米国精神医学会の「DSM-5」といった
基準が参考にされますが、それぞれで
診断名が異なることがあります。
また、年齢や環境によって症状が変わるため、診断結果も変わる可能性があり、診断基準は必ずしも明確ではありません。そのため、診断名はあくまで一つの参考として捉えることが推奨されます。

発達障害の診断を受けるには、精神科児童精神科小児科の発達外来など、専門家がいる施設を選ぶ必要があります。すべての医療機関が適切な診断を行えるわけではないため、事前に確認することが大切です。また、専門医の数が限られているため、予約から診断までに数カ月かかることもあります。医師は患者の行動や成長の経過を問診し、診断基準に基づいて診断を行います。

診断を受けることで、必要な支援やサービスへの道が開かれます。障害者手帳の取得や福祉サービスを利用するためには診断書が必要な場合が多いです。
ただし、すべてのケースで直ちに受診が必要というわけではなく、特に乳幼児期は経過を観察することが求められることもあります。診断が将来に対する不安を引き起こすこともありますが、適切な対応策が見えるというメリットもあります。診断書がなくても利用できるサービスもあるため、保健センターや専門機関に相談することも選択肢に含まれます。

診断の流れとしては、予約を取って問診・診察を受け、子どもであれば発達の状況や行動の特徴を、成人であれば日常生活や職場での困りごとを詳しく聞き取ります。さらに、発達検査知能検査脳波検査などが行われ、総合的に判断されます。複数回にわたる診察や検査が必要になることもあります。

発達障害のある人が必要な支援を受けるためには、制度の仕組みを理解することが大いに役立ちます。
各種サービスの法的根拠事業の背景把握しておくことで、適切な支援を得る手助けとなり、支援が受けられない場合には代替策を見つけやすくなります。
重要なのは、本人が本当に必要としている支援を受けられる環境を整えることです。

障害者支援の基盤となるのは「障害者総合支援法」で、この法律は地域社会での共生を促進し、障害福祉サービスを提供する枠組みを規定しています。発達障害者への特化した支援は「発達障害者支援法」に基づいており、18歳未満の児童には「児童福祉法」による福祉サービスが提供されます。障害年金障害者手帳介護保険などの制度を通じて、該当者は福祉サービスや給付を受けることが可能です。

発達障害のある人が受けられる支援は、その状況や地域によって異なります。
同じ診断名でも必要な支援は人によって異なるため、自分や子どものニーズを明確にすることが大切です。具体的なサービス内容や手続きは自治体ごとに異なるため、まずは居住地の詳細を確認し、パンフレットや情報を入手しておくと良いでしょう。制度は毎年度変更されることもあるため、最新の情報を得ることも重要です。

障害福祉サービスを受けるためには、市区町村の窓口で申請を行います。介護給付や訓練等給付に分かれたサービスが提供され、介護給付の場合のみ「障害支援区分」の認定が必要です。発達障害がある場合は、知的障害があるかどうかで扱いが異なります。また、地域生活支援事業は自治体ごとに内容が異なるため、引越しなどで居住地が変わるとサービスが利用できなくなる可能性もあることを留意しておく必要があります。

障害者手帳には、「精神障害者保健福祉手帳」「身体障害者手帳」「療育手帳」の3種類があります。発達障害に関連して利用される手帳の中で、「精神障害者保健福祉手帳」は、発達障害による精神的な困難を抱える方に対して支援を受けやすくするためのものです。この手帳は精神疾患を持つ人を対象としており、障害の程度に応じて1級から3級までの等級が定められます。また、知的障害を伴う発達障害の方は、「療育手帳」を取得できる場合もあります。しかし、この療育手帳は各自治体で運用されているため、認定基準や取得条件が地域によって異なります。通常、知能指数70〜75程度が上限となり、重度~軽度の区分で等級が分かれます。

場合によっては、複数の障害を持つ方異なる手帳を同時に取得することができますが、それぞれの手帳には基準があり、それを満たす必要があります。
特に、療育手帳の取得は居住地の基準を把握しながら進めることが重要です。

障害者手帳は、障害者が社会でより良い生活を送るため重要な役割を果たしています。この手帳を持つことで、公的な証明書として支援を受けやすくなるほか、特別支援教育障害者雇用、交通料金の割引税金の控除レジャー施設の優待など、様々な支援や特典を得ることができます。

しかし、手帳の取得は本人や家族の意思に委ねられており、必ずしも取得しなければならないわけではありません
障害者手帳に対する抵抗感がある場合は、その利点と欠点を慎重に考えた上で判断することが大切です。また、子どもの場合、手帳がなくても児童福祉法による福祉サービスを利用できることもあり、状況に応じて更新を行わなかったり、手帳を返納することも選択肢として考えられます。

精神障害者保健福祉手帳を希望する場合、まずは市区町村の窓口で相談し、必要書類を確認します。申請には主治医による診断書が必要で、初めて精神科を受診してから6ヶ月以上経過していないと申請はできません。申請後、審査を経て手帳が交付されるまでには1~3ヶ月程度かかります。

一方、療育手帳の申請に関しても市区町村や児童相談所に相談し、必要書類を整えます18歳未満児童相談所18歳以上知的障害者更生相談所で判定が行われ、面接や知能検査を経て、手帳の交付が決定されます。