私も子供と同じ発達障害ですか?

私も子どもと同じ発達障害なのでしょうか?――保護者の不安と向き合うために

お子さんが発達障害の診断を受けた際、「もしかすると、自分も発達障害なのではないか」と感じる親御さんは少なくありません。このような疑問や不安に対して、今回は「その可能性はあるが、必要以上に気にしすぎないことが大切です」という視点から、お話をさせていただきます。

子どもの診断をきっかけに生まれる“自分への疑問”

発達障害の診断は、本人だけでなく、その周囲にいる家族にも少なからぬ影響を与えます。特に親御さんにとっては、「我が子が発達障害だ」と医師から告げられた瞬間、驚きや戸惑い、不安など、さまざまな感情が湧き上がることでしょう。そしてその中には、「自分自身もそうなのではないか」という問いが浮かぶこともあります。

こうした疑問は自然なものであり、多くの保護者が抱く共通の感情です。「もしかして自分も同じような傾向があったのでは?」と過去の経験を思い出す方もいらっしゃいます。

自分も発達障害である可能性はあるのか?

結論から申し上げると、「その可能性はある」と言えます。実際、発達障害には遺伝的な要素が関係しているとされており、親から子へ傾向が引き継がれるケースもあります。ただし、これは「遺伝病」としての明確な遺伝ではなく、性格や認知の傾向といったレベルで、類似する特徴が見られることがある、という程度のものです。

例えば、親御さん自身も子どものころに「空気が読めない」「忘れ物が多い」「人との距離感がうまく取れない」といった経験があった場合、それが今になって発達障害の傾向として再認識されることもあります。一方で、自分では気づいていなかったものの、周囲はなんとなく「変わっているな」と思っていた、というケースもあります。また、「うすうす気づいてはいたけれど、意識しないようにしてきた」という方もいらっしゃいます。

一方で「違う可能性」もある

一方で、「自分もそうに違いない」と思い込んでしまっているだけというケースもあります。これは、お子さんの診断による心理的ショックが大きく影響していることが多いです。

「自分のせいで子どもが…」「自分がこの子に影響を与えてしまったのではないか」など、自責の念が強くなりすぎると、必要以上に自分を追い込んでしまうことがあります。こうした状態では、発達障害かどうかよりも、不安やストレスといった心理的側面のケアが必要になります。

発達障害は“スペクトラム”であるということ

発達障害は、はっきりと「ある」「ない」で線引きできるものではなく、「スペクトラム(連続体)」として捉えられています。つまり、誰もが程度の差はあれ、発達特性を持っているとも言えるのです。実際に診断されるかどうかは、その特性が日常生活や社会生活にどれだけ影響しているか、という点が判断基準になります。

そのため、「自分にも当てはまる点がある」と感じたとしても、それだけで「発達障害だ」と結論づけるのではなく、冷静に状況を見極める必要があります。

自分が発達障害かもしれないと感じたときの対応

もし「自分にもその傾向があるかもしれない」と感じた場合、まずは信頼できる家族や友人に相談してみることをおすすめします。周囲の人の目から見て、自分がどのように映っているのかを客観的に知ることは大切です。

そのうえで、「やはり気になる」「日常生活に支障を感じている」と思われる場合には、専門の医療機関を受診するのがよいでしょう。精神科や心療内科、または発達障害専門の外来などで、必要に応じて心理検査を受けることも可能です。診断がつくことで、自分の特性への理解が深まり、対処法や支援策を知ることにもつながります。

特にADHD(注意欠如・多動症)の場合は、必要に応じて薬物療法が行われることもあります。これは一つの選択肢であり、改善を目指す手段として検討してもよいでしょう。

仮に発達障害だったとしても、自己否定は不要

仮にご自身が発達障害と診断されたとしても、それを過度に気にしたり、自分を否定する必要はありません。むしろ重要なのは、「自分の特性を理解し、それに合った工夫をしながら生きていく」という視点です。

また、これまでの人生を振り返ってみることも大切です。発達障害の特性があったとしても、これまで仕事や家庭、子育てに取り組んできた実績は、何よりも大きな自信となるはずです。「自分はできていなかった」と思うのではなく、「それでもやってこられた」という事実に目を向けていただきたいのです。

発達障害ではなかった場合の心の整理

一方で、診断の結果「発達障害ではない」とされた場合でも、安心しきれるとは限りません。この場合、不安の背景には「子どもが発達障害と診断されたこと自体が大きなショックだった」という心理状態が潜んでいる可能性があります。

そのような場合には、発達障害の有無にかかわらず、心の整理やストレスへの対応が重要になります。気持ちの整理が難しいときは、カウンセリングや心理的サポートを受けることも有効です。精神的な負担が続いていると感じる場合は、無理をせず専門家の手を借りることも検討してみてください。

最後に:親として、ひとりの人として

今回は、「私も子どもと同じ発達障害ですか?」という問いについて、多角的に考えてみました。お子さんの診断をきっかけに、ご自身のことを見つめ直すのは、とても勇気がいることです。その一歩を踏み出す姿勢自体が、すでに立派な行動であり、親としての愛情の深さの表れでもあります。

自分が発達障害であるか否かにかかわらず、大切なのは「自分自身と向き合い、よりよく生きていくためにどうするか」という姿勢です。必要があれば支援を受けつつ、気にしすぎず、時に立ち止まりながら、少しずつ前に進んでいければ、それで十分なのです。