発達障害のAPDの影響3つ

発達障害とAPD(聴覚情報処理障害)の関係とは?3つの影響と対策を解説

はじめに

発達障害のある方の中には、「話を聞いても理解できない」「口頭での説明が苦手」と感じている人が少なくありません。こうした背景のひとつに、「APD(聴覚情報処理障害)」という特性が関係している場合があります。
APDは「音は聞こえているのに、意味が理解できない」状態で、耳の聞こえや知的能力には問題がないにも関わらず、音声情報の処理に困難が生じる障害です。

この記事では、発達障害に伴うAPDの特徴や、実生活でどのような影響があるのか、またその対策について丁寧に解説します。


APD(聴覚情報処理障害)とは?

APDとは、「Auditory Processing Disorder」の略で、日本語では「聴覚情報処理障害」と訳されます。この障害は、耳から聞いた音を脳が正しく処理できないことによって、言葉の意味を理解しづらくなる状態を指します。

聴力や知的発達には異常がない

APDの特徴は、聴力検査では異常がなく、知的能力にも問題がないにも関わらず、聞いた言葉の意味がうまく把握できない点にあります。たとえば、静かな環境では聞き取れていても、BGMが流れていたり複数人が話していたりすると、内容がうまく理解できなくなることがあります

具体的な困りごとの例

  • 背景に音楽や雑音があると、会話の内容が把握できない
  • 複数人が同時に話すと混乱してしまう
  • 言われたことを聞き間違える、何度も聞き返す

APDは厳密な診断やメカニズムが未解明な部分もありますが、発達障害のある方に多く見られる傾向があるとされており、対人関係や日常生活において見過ごせない影響をもたらします。


発達障害におけるAPDの影響3つ

ここでは、発達障害に伴うAPDが生活や対人関係に及ぼす代表的な影響を3つに分けて紹介します。


① 口頭指示が理解できない

発達障害とAPDのある方は、口頭での説明をうまく理解できないことがあります。これは「音としては聞こえている」が、「意味としては頭に入ってこない」状態です。

実際の困りごと

  • マニュアルを読めばできる作業でも、口頭で説明されると混乱する
  • 一度の指示で理解できず、繰り返し聞いても忘れてしまう
  • 説明を理解できないため「やる気がない」「不真面目」と誤解されることがある

対策

  • マニュアルやメモなどの視覚情報を活用する
  • 要点を絞って聞き、補足は自分で調べる
  • 動画教材やチャットボットなどのツールで補う

視覚優位な情報処理に切り替えることで、理解しやすくなるケースが多くあります。事前に資料をもらえるようお願いすることも有効です。


② 会話についていけない

APDのある人にとって、複数人での会話は非常に難易度が高い場面になります。とくに3人以上の会話になると、誰が何を話しているかを把握できず、情報の整理が追いつかなくなります。

実際の困りごと

  • 会話の流れがつかめず、発言するタイミングを逃す
  • 話が理解できず、的外れなことを言ってしまい孤立する
  • 情報共有に参加できず、必要な情報が得られない

対策

  • 聞き手に回ることで場の空気を保つ
  • 雑談には無理に参加せず、情報の共有が目的ならグループチャットなどを活用する
  • 会話のあとに内容を確認できる環境を整える

無理に会話についていこうとするよりも、自分が理解しやすい方法で情報を得る手段を確保することが大切です。


③ 無礼だと誤解される

APDによって相手の話が理解できないと、「ちゃんと聞いていない」「不真面目だ」といった人格的な誤解を受けるリスクもあります。また、何度も聞き返すと「しつこい」「礼儀知らず」と捉えられてしまうこともあるため、対人関係のストレスにつながりやすいです。

実際の困りごと

  • 言われたことが分からず、能力が低いと思われる
  • 分からないのに聞き返せずに曖昧に返事をしてしまう
  • 「話を聞かない人」として信頼を損なう

対策

  • 「耳で聞くのが苦手」とあらかじめ説明しておく
  • 礼儀や雰囲気を大切にし、誠実な姿勢を見せる
  • 他の得意な部分で貢献して信頼を築く

自分の困りごとを理解してもらえる環境を整えることが、誤解を防ぎ、対人関係の負担を減らす鍵になります。


おわりに:APDとうまく付き合うために

APDは、「聞こえているのに理解できない」という見えにくい困難を伴います。発達障害のある方の中には、こうした特性により、学習やコミュニケーションで苦労している人が少なくありません。

本記事で紹介したように、APDによる主な影響は以下の3点です。

  1. 口頭指示が理解できない
  2. 会話についていけない
  3. 無礼だと誤解される

こうした困難には、「視覚情報の活用」「環境調整」「自己開示」などの工夫によって対応が可能です。無理をして「耳で理解する」ことにこだわるのではなく、自分に合った方法で情報を取り入れる姿勢が重要です。

発達障害やAPDの特性が社会でより広く理解され、一人ひとりが自分に合ったやり方で働き、生きられる環境が整うことが望まれます。