現代社会において、体の不調を訴えて病院を訪れるものの、検査では異常が見つからない——そんなケースに多く見られるのが「自律神経失調症」です。ストレス社会を生きる中で、心と体のバランスが崩れることでさまざまな不調が現れるこの状態は、誰にでも起こりうる身近なものです。
今回は、自律神経失調症とはどのようなものか、その特徴や背景、そして代表的な症状5つを中心に、丁寧に解説していきます。

自律神経失調症は、体のあらゆる部分に症状が現れる一方で、検査では異常が見つからないという特徴をもつ不調の総称です。その原因の多くは、心身のストレスや精神的な負担と深く関わっており、うつ病や不安障害、適応障害など、何らかの精神疾患が背景にあることも珍しくありません。

私たちの体には「交感神経」と「副交感神経」という2つの自律神経があり、これらがバランスを保つことで、心身の状態は安定しています。交感神経は「緊張・活動」に関わり、副交感神経は「休息・回復」を担っています。ところが、強いストレスや慢性的な疲労によって交感神経が過剰に働き続けると、そのバランスが崩れ、自律神経失調症の症状が現れてくるのです。
この疾患の大きな特徴は、「ストレスと症状が密接に関連している」点にあります。例えば、仕事のプレッシャーや人間関係のトラブルなどが引き金となって症状が出現し、ストレスが緩和されると一時的に症状も和らぐという傾向があります。また、症状の現れる場所や内容が変わりやすいというのも、体の病気とは異なる点です。
自律神経失調症の症状の裏には、以下のような精神疾患が隠れていることがあります:
治療や予防の第一歩は、緊張を和らげることです。これはすなわち、リラックスできる時間を意識的に確保し、心身の回復を図るということ。自律神経のバランスを整えるためには、以下のような生活習慣の見直しが効果的です。
特に、うつ病などの精神疾患がある場合は、その治療を行うことが根本的な解決につながります。

自律神経失調症の症状は人によってさまざまですが、特に多く見られる代表的なものを5つご紹介します。
ストレスが強くなると、まず現れやすいのが胃腸の症状です。吐き気はよくある訴えで、特に通勤前や人混みに出かける前などに強くなる傾向があります。また、以下のような症状を訴える人も少なくありません:
これらの症状が繰り返されると、日常生活や仕事に支障をきたすこともあります。
心臓に関する症状として最も多いのが「動悸」です。これは胸がドキドキと早く打つ感じや、心拍が不規則になるような感覚を指します。ストレスが溜まっているときに出やすく、不安や恐怖感を伴うこともあります。
これらの症状が繰り返される場合には、心臓の疾患との鑑別が必要なため、一度内科でのチェックを受けることが勧められます。
呼吸器の症状として、「息苦しさ」や「胸の圧迫感」が現れることがあります。緊張状態が続いて浅く早い呼吸になり、その結果として不安が高まり、さらに呼吸が乱れるという悪循環が生じやすくなります。
息苦しさが強くなるとパニック発作に近い状態になることもあり、注意が必要です。
精神的なストレスや緊張状態が続くと、頭痛として現れることがよくあります。特に、仕事が始まる月曜日の朝などに発生しやすいという声もあります。
これらの痛みは、ストレスにより筋肉が硬直することで引き起こされることがあります。
耳鼻科的な症状として、「めまい」も頻繁に見られる症状の一つです。ふわふわする、グルグル回る感覚など、その表現はさまざまです。
めまいが続くと日常生活にも支障をきたし、通勤や外出が困難になることもあります。耳鼻科を受診しても異常が見つからない場合、自律神経の影響が疑われます。
今回は、「自律神経失調症の代表的な症状5つ」についてご紹介しました。自律神経の乱れは、ストレスや精神的な緊張から引き起こされることが多く、体のさまざまな部位に症状を及ぼします。
代表的な症状は以下の通りです:
症状が多岐にわたるため、つい「気のせい」と片付けられてしまいがちですが、決して軽く見てよいものではありません。早めにリラックスや休養を意識し、必要に応じて専門家に相談することが、心と体の健康を守る大切なステップです。