うつ病治療においては、「休養」「薬物療法」「精神療法」の三本柱が基本とされています。
この中でも、薬物療法は非常に重要な役割を果たします。では、実際にうつ病ではどのような薬が使われているのでしょうか?
今回は「うつ病で主に使用される薬3種類」について、できるだけわかりやすく、丁寧に解説していきます。

まず、うつ病における薬物療法について見ていきましょう。
うつ病は、単なる気分の落ち込みではなく、脳の働きに不調が生じた状態と考えられています。
特に、脳内物質である「セロトニン」が不足していることが、症状に深く関わっているとされています。
そのため、うつ病治療では、休養や精神療法に加え、脳の働きを整えるために薬物療法が必要となることが多いのです。
薬物療法の役割は主に2つあります。
まず、脳の状態を改善するためには、セロトニンなどの脳内物質を増やす必要があります。
これには「抗うつ薬」が用いられ、特にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が代表的です。
また、休養をサポートする目的では、不安を和らげたり、不眠を改善するために「補助薬」として睡眠薬や抗不安薬が使われることもあります。
ただし、薬物療法単独では治療効果が限定的な場合も多く、休養や精神療法と組み合わせることが非常に重要です。

うつ病の治療で使われる薬には、主に次の3つのカテゴリーがあります。
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
抗うつ薬は、うつ病の「本体」にアプローチするメインの薬です。
主に、脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどを増やし、気分の改善を図ります。
いくつか種類がありますが、共通して「効果が出るまでに2〜4週間程度かかる」ため、継続的な服用が大切です。
■ SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
SSRIは、セロトニンを増やすことでうつ症状を改善する薬です。
不安障害にも使用されることがあり、うつ病治療ではよく第一選択薬となります。
【代表的なSSRI】
副作用として、服用初期には胃腸症状(吐き気・下痢など)が出ることがあり、また、急な中断で「離脱症状(めまい・吐き気など)」が起こることもあります。
このため、薬の量は医師の指示のもと、徐々に調整しながら服用を続けることが大切です。
■ SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
SNRIは、セロトニンだけでなくノルアドレナリンも増やします。
ノルアドレナリンが意欲の改善に関与しているため、やる気が出ないタイプのうつ病に効果を期待することがあります。
【代表的なSNRI】
副作用はSSRIと似ていますが、頭痛や血圧上昇などがやや多めに見られることがあります。
■ その他の抗うつ薬
うつ病に伴う不眠を改善し、休養を助けるために使われるのが睡眠薬です。
睡眠障害が改善されることで、回復への道のりが大きく変わります。
■ 依存が少ない新しい睡眠薬
比較的新しいタイプの睡眠薬で、依存性が少ないため、第一選択となることが多いです。
【代表的な薬】
効果が穏やかで安全性が高い反面、効き目が弱めだったり、日中に眠気が残ることもあります。
■ ベンゾジアゼピン系睡眠薬
伝統的な睡眠薬で、効果が強く、短時間型・中間型・長時間型とバリエーションが豊富です。
ただし、依存のリスクがあるため、必要最小限にとどめることが大切です。
【代表的な薬】
■ 補助的な睡眠薬
もともとは他の薬(抗うつ薬や抗精神病薬など)ですが、副作用として眠気を引き起こすため、睡眠補助に使用されることもあります。
【例】
うつ病に伴う強い不安感を和らげ、休養をサポートするために使われるのが抗不安薬です。
特に、不安が強すぎて眠れない、食欲がわかないなど、日常生活に支障をきたしている場合に有効です。
■ 抗不安薬の特徴
多くの抗不安薬は、ベンゾジアゼピン系に属し、即効性があるのが特徴です。
しかし、こちらも依存性のリスクがあるため、長期連用は避け、必要最小限の使用にとどめることが推奨されています。
【代表的な抗不安薬】
症状に応じて適切に使い分けられます。
うつ病の治療において薬物療法は重要な位置を占めますが、薬だけで完結するものではありません。
しっかりと休養を取り、ストレスへの対処方法を身につける精神療法も大切な要素です。
また、薬には効果だけでなく、副作用やリスクもあります。必ず医師と相談しながら、自分に合った治療を続けていくことが大切です。
焦らず、一歩ずつ、回復を目指していきましょう。