ASDだと疲れやすい原因3つ

発達障害ASDと「疲れやすさ」について:原因と対策を考える

発達障害、特にASD(自閉症スペクトラム)を持つ方から、「疲れやすい」という悩みを聞くことは少なくありません。では、なぜASDの特性を持つと疲れやすくなるのでしょうか。本記事では、ASDと疲れやすさの関係、原因、そして対策について丁寧に解説していきます。


1.ASDと疲れやすさ:「二次障害」へのリスクも

1.ASDと疲れやすさ:「二次障害」へのリスクも

まず、ASDとは何かを振り返ってみましょう。ASDは「社会性の障害」と「こだわり」を特徴とする、生まれつきの発達障害です。幼少期に診断される場合もありますが、大人になってから発覚するケースもあります。ASDを持つ方の中には、日常生活や仕事の場面で疲れやすさを強く感じる方が多くいます。

主な特性

  • 社会性の障害
    非言語的なコミュニケーション、感情のやり取りが苦手なため、対人関係でエネルギーを消耗しやすい傾向があります。
  • こだわりの強さ
    変化や柔軟な対応が難しく、同じパターンに固執することがストレスになる場合があります。
  • 感覚過敏
    音、光、触覚などに対して過敏であり、小さな刺激でも大きな疲労感に繋がることがあります。

これらの特性から、ASDの方が疲れやすくなるのは自然なこととも言えます。しかし、過剰に疲労が蓄積すると、「うつ病」や「不安障害」などの二次障害を引き起こすリスクも高まるため、注意が必要です。


2.疲れやすさの原因3つ

ASDにおける疲れやすさには、特性由来のものと、無理な適応努力(過剰適応)からくるものがあり、それぞれに特徴と対策が異なります。ここでは3つの主な原因を詳しく見ていきます。

感覚過敏による疲労

① 感覚過敏による疲労

ASDの方の多くが抱える感覚過敏。小さな刺激でも強く受け止めてしまうため、日常生活や職場環境で非常に疲弊しやすくなります。

感覚過敏の例

  • 聴覚過敏:騒音や人混みの声に過敏に反応する
  • 光過敏:蛍光灯や強い自然光に対して頭痛や疲労を感じる
  • 触覚・嗅覚の過敏:衣類の感触、香水などに敏感に反応する

対策

  • ノイズキャンセリングイヤホンやイヤーマフの使用
  • サングラスや照明調整による光のコントロール
  • 服装・制服などの配慮を職場に相談する
  • どうしても難しい場合は「環境自体を変える」選択も検討する

感覚過敏への対応を適切に行うことで、日常的な疲労感を大幅に減らすことが可能です。


不適応・過剰適応による消耗

ASD特有の特性が、社会や職場環境にうまく合わない「不適応」や、逆に無理に合わせようとする「過剰適応」に繋がることがあります。

不適応の影響

  • コミュニケーションの齟齬や孤立からくるストレス
  • 叱責や失敗体験の反芻(思い出し)が長期間続くことによる精神的疲弊

過剰適応の影響

  • 無理に理論武装や行動制御を行うことで、脳や体に過大な負荷がかかる
  • 無意識に無理を続けてしまい、限界に達してから気づくことも

対策

  • 「適応しすぎず、不適応しすぎず」中間を取れる環境を探る
  • 最低限の適応を目指し、過剰な自己要求を抑える
  • 職場や生活環境を柔軟に見直す(配置転換や業務調整など)

自分の特性を把握しながら、無理のない範囲で社会との接点を作ることが大切です。


こだわりと完全主義による疲弊

ASDの方は「完璧でなければならない」という強いこだわりを持つことが多く、これが知らず知らずのうちにエネルギーを消耗させる原因になります。

完全主義のリスク

  • 求められている以上の完璧を目指してしまう
  • 目標があいまいだと、過剰に広範囲な努力をしてしまい、結果として失敗や疲労が増える
  • 「自分で自分を追い込む」形になりやすい

対策

  • 最初に「必要条件(これだけは達成すべき最低ライン)」を明確にする
  • 完璧を目指すのではなく、「最低限クリアできること」に集中する
  • 状況や体調に応じて、取り組みのレベルを調整する柔軟さを持つ

目標設定をクリアにし、完璧を求めすぎない工夫をすることが、無駄な疲労を防ぐコツになります。


3.疲れをためないためにできること

疲労を最小限にするために、日常の中で取り組める基本的な対策をまとめます。

  • 自分の疲れをこまめに観察する
    疲れを無視せず、小さなサインに気づけるよう心がけましょう。
  • 休養やリラックスを意識的に取り入れる
    休むことを「怠け」と捉えず、パフォーマンス維持のための戦略として位置づけましょう。
  • 環境調整を積極的に行う
    職場や生活環境が合わないと感じたら、早めに相談や変更を検討することが大切です。

まとめ

発達障害ASDにおいて、「疲れやすさ」は非常に大きな課題となることがあります。その背景には、

  • 感覚過敏
  • 不適応・過剰適応
  • こだわりと完全主義

という3つの大きな要因が潜んでいます。

まずは自分の疲れの原因を冷静に見つめ直し、できる対策から取り組んでいくことが重要です。そして、どうしても困難が続く場合には、環境そのものの見直しも視野に入れ、無理のない、自分に合った生き方を模索していきましょう。

疲れやすさは「弱さ」ではありません。自分を守りながら、持っている力を発揮できる場を一緒に探していけたらいいですね。