うつ病に合併しうる精神疾患3つ

はじめに

うつ病とは、気分の落ち込みや意欲の低下など、様々な心と体の症状が長期間にわたって続く「脳の不調」です。それだけでも非常に辛いものですが、うつ病にかかると時に、他の精神疾患を合併してしまうことがあります。

今回は「うつ病に合併しうる精神疾患3つ」について、それぞれの特徴と対策を丁寧に解説していきます。

うつ病の特徴と、他の精神疾患を合併する背景

まずは、うつ病とはどのような病気なのかを簡単に振り返りましょう。

うつ病とは、気分の落ち込みをはじめとする「うつ症状」が続く脳の不調です。主な原因としては、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」の不足が挙げられています。この脳の機能不全が、心身に様々な不調を引き起こしてしまうのです。

うつ病の主な症状は、大きく3つに分けられます。

  • 心の症状
    落ち込み、無気力、強い罪悪感、興味や喜びの喪失など。
  • 体の症状
    食欲低下、倦怠感、睡眠障害、吐き気や動悸といった自律神経の不調。
  • 行動の変化
    イライラしやすくなる、声が小さくなる、表情が乏しくなるなど、外から見てもわかる変化。

また、うつ病の特徴には以下の3点もあります。

  1. 脳内のセロトニンが不足するという生物学的背景がある
  2. 心身に幅広く症状が現れ、しんどさが持続する
  3. 食欲にも大きな影響が及ぶ

このような幅広い影響をもたらすうつ病ですが、実はこの脳の不調を背景に、他の精神疾患を合併することがあるのです。
うつ病そのものの治療はもちろん重要ですが、合併症がある場合はその存在にも目を向け、適切な対策を取ることが大切になります。

うつ病に合併しうる精神疾患3つ

それでは、うつ病に合併しやすい精神疾患を3つ紹介し、それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 不安障害

まず1つ目は、「不安障害」です。
不安障害とは、過剰でコントロールが効かない不安が長期間続き、日常生活に支障をきたす精神疾患です。症状の現れ方によって、パニック障害、社会不安障害、全般性不安障害などに分類されます。

うつ病と不安障害は、どちらも「脳内のセロトニン不足」が関与しているため、メカニズムが共通していることから合併しやすいと考えられています。
また、一方の症状が悪化することで、もう一方の発症を引き起こすこともあります。

特に注意が必要なのは、不安症状が強いと、うつ病の治療において非常に大切な「十分な休養」が取りづらくなることです。そのため、双方を同時に意識した治療が必要になります。

治療と対策
基本的には、うつ病と不安障害に共通して効果のある薬(抗うつ薬)を使用し、症状の改善を目指します。
うつ病の治療が進むと、不安症状も同時に改善することが多いですが、不安だけが残る場合には、「脱感作(だっかんさ)」と呼ばれる不安に徐々に慣れていく訓練(認知行動療法)を併用することもあります。

2. アルコール依存症

2つ目は、「アルコール依存症」です。
アルコール依存症とは、飲酒がコントロールできず、心身ともにアルコールに依存してしまう状態を指します。進行すると、生活全般に深刻な影響を及ぼします。

うつ病を抱える人の中には、精神的な苦しみから逃れるため、「自己治療」としてアルコールに頼り始める方が少なくありません。しかし、アルコールは一時的に気分を良くするものの、長期的には脳の機能をさらに低下させ、結果的にうつ病を悪化・慢性化させるリスクを高めます。
また、もともとアルコール依存症がある方が、後からうつ病を発症するケースもあります。

治療と対策
まずは、比較的治療方針が立てやすいうつ病の治療を優先します。
うつ病が改善しないままでは、断酒の取り組みも成功しにくいためです。うつ病の治療を進めつつ、並行して「断酒」(完全に酒を断つ)を目指しますが、断酒がどうしても難しい場合には、飲酒量を減らす「減酒」も一つの方法となります。

依存症の治療は長期戦になることも多いため、根気強く、医療機関や支援団体のサポートを活用しながら進めていくことが大切です。

3. 摂食障害

3つ目は、「摂食障害」です。
摂食障害には、大きく分けて「拒食症(神経性無食欲症)」と「過食症(神経性過食症)」があり、食行動に著しい異常が生じる病気です。
重症化すると、生命の危機に直結することもあるため、注意が必要な疾患です。

うつ病においては、食欲低下や過食が症状として現れるため、これをきっかけに摂食障害を合併することがあります。特に、女性ではそのリスクが高いとされています。
また逆に、摂食障害が続く中で、孤独感や絶望感からうつ病を発症することもあります。

治療と対策
合併した場合は、基本的に「うつ病の治療」を優先し、まずは心の状態の回復を目指します。
しかし、体重の著しい減少など、生命に危険が及ぶような場合には、緊急的な入院治療が必要になることもあります。

長期的には、考え方のクセ(ボディイメージへのこだわりや食に対する衝動)にアプローチすることが重要です。認知行動療法などを通じて、少しずつ歪んだ認識を修正し、心身のバランスを取り戻していきます。

まとめ

今回は、「うつ病に合併しうる精神疾患3つ」として、

  • 不安障害
  • アルコール依存症
  • 摂食障害

を取り上げ、それぞれの特徴や対策を解説しました。

うつ病が続く中で、これらの疾患を合併することは実際によくあります。基本的には、もとのうつ病の治療を最優先し、必要に応じて合併症にも個別の対策を行う流れになります。

早期発見・早期治療がとても大切です。
うつ病に限らず、心や体の不調を感じたら、どうか一人で抱え込まず、医療機関や専門家に相談してみてください。
適切なサポートを受けることで、少しずつでも、確実に回復に向かうことができます。