今回お受けしたご質問は「知的障害と学習障害は違いますか?」というものです。
結論から申し上げますと、両者は「苦手になる範囲が異なる」という点で違いがあります。
しかし、共通する部分もあるため、一見して区別がつきにくいことも少なくありません。
この記事では、知的障害と学習障害それぞれの特徴や、共通点、そして違いについて、できるだけわかりやすく、丁寧に解説していきます。
まずは「知的障害」について振り返ってみましょう。
知的障害とは、考えたり、判断したり、行動するなどの知的な機能全般に困難がある状態を指します。
基本的な定義としては、知能検査(IQ検査)において「IQ70未満」と測定されることが目安とされています。
この障害は、多くの場合幼少期に発見されることが一般的です。
幼い頃から学習面や日常生活での困難が目立つため、早期に支援を受けるケースが多くなります。
また、支援の内容も幅広く、教育・福祉・就労支援など多岐にわたります。
つまり、知的障害は「知能全般にわたる困難」が中心であり、特定の分野だけでなく、広範囲にわたってサポートが必要になる障害であると言えるでしょう。
続いて「学習障害」について見ていきましょう。
学習障害とは、特定の学習分野においてのみ顕著な困難が現れる状態を指します。
例えば、「読む」「書く」「計算する」といった特定の能力に限定して著しい困難を抱えますが、その他の知的能力には大きな問題がない場合が多いのが特徴です。
そのため、学習障害の場合、知能検査では全体として正常範囲(IQ70以上)に入ることがほとんどです。
知的障害とは異なり、知能の全体的な低さは見られず、限られた分野でのみ困難があるという点が大きな違いとなります。
学習障害もまた、幼少期や学齢期に気づかれることが多く、適切な支援や教育的アプローチを受けることによって、学びや生活の質を大きく向上させることが可能です。

知的障害と学習障害には、いくつかの共通点も存在します。
代表的な共通点は以下のとおりです。
どちらの障害も、学習面での困難を抱えている点では共通しています。
知的障害の場合は学習全般に、学習障害の場合は特定の分野に、苦手さが現れます。
いずれにせよ、学習において周囲の子どもたちと比べた際に、明らかな遅れや難しさを感じることが多いです。
知的障害も学習障害も、外見からは分かりにくい障害であるという共通点があります。
そのため、周囲からは「怠けているのではないか」「努力不足ではないか」といった誤解を受けることもあります。
本人にとっては大きな努力をしているにもかかわらず、理解されないことでストレスや自己否定感が積み重なってしまうリスクがあるのです。
学習面での困難が原因となり、自信喪失・うつ状態・不安障害など、精神的な二次障害を引き起こすことがあります。
このため、知的障害や学習障害が疑われる場合には、できるだけ早期に適切な支援を行うことが重要です。

それでは、両者の違いについて詳しく見ていきましょう。
知的障害は、基本的にIQ70未満という全般的な知的機能の低下を伴います。
一方、学習障害は、IQは正常範囲でありながら、特定の学習分野に限定して困難が見られる障害です。
この「IQの水準」というのは、両者を見分けるうえで非常に重要なポイントになります。
知的障害は、知能全体が影響を受けるため、苦手な範囲が非常に広いのが特徴です。
対して、学習障害は苦手な範囲が限定的であり、「読むことは苦手でも、聞く力や話す力は十分にある」など、得意な部分を生かすことができる場合が多いです。
支援方法にも違いが見られます。
また、学習障害では、特性に応じた職場環境の選択や、自己理解を深めることが、精神面の健康維持にも大きく影響します。
今回は「知的障害と学習障害は違いますか?」というご質問にお答えしながら、両者の特徴、共通点、違いについて詳しく見てきました。
知的障害と学習障害は、どちらも学習面での困難を伴うため、表面的には似ているように見えることがあります。
しかし、
といった点で、はっきりとした違いがあります。
知的障害では、生活全般にわたる長期的なサポートが必要になるのに対し、学習障害では、特性に合わせた柔軟な支援と環境調整によって、自立した生活や活躍が可能となります。
いずれの場合も、本人の努力だけではどうにもならない困難が背景にあります。
だからこそ、周囲の理解と適切な支援が不可欠です。
「努力不足」や「怠け」などの誤解をなくし、それぞれの特性に寄り添った支援が行われる社会を目指していきたいものですね。