多動性や衝動性の特性が関わる症状としては、静かにしているのが苦手で、じっとしていることが難しいといった特徴が見られます。
手足や体を常に動かしていたり、貧乏ゆすりやペン回しといった癖があることもあります。
さらに、話の途中で相手の言葉を遮ったり、失言やおしゃべりが多い、早口で話す、大げさな言動を取ることもあります。
また、順番を待つのが苦手でせっかちになりやすく、仕事を過剰に引き受けてしまう傾向もあります。
感情の起伏が激しく、すぐにカッとなってしまったり、衝動買いをすることも多動性・衝動性によるものです。

注意欠如多動症、ADHDは発達障害の一つであり、主な特性として不注意、多動性、衝動性が挙げられます。これらの特性は人によって異なる強さで現れ、仕事や日常生活において大きな影響を与えることがあります。
たとえば、忘れ物が多かったり、計算ミスが頻発することで周囲から「やる気がない」と誤解されることもあります。また、落ち着きのなさや失言などは、上述の通り、多動性・衝動性に関連した症状です。
さらに、ADHDの人々の中には、ASD(自閉症スペクトラム障害)やSLD(学習障害)など、他の発達障害の特性を併せ持っている場合も多くあります。
不注意に関する症状としては、外部の音や刺激に簡単に反応してしまい、目の前のことに集中できないことが挙げられます。
集中しているときは周囲の声かけに気づかず、逆に集中力が持続しないために、途中で物事を中断することが難しい場合もあります。漢字やひらがなの書き間違い、文章作成時に文字が抜けてしまうこと、計算ミスなどが典型的な症状です。
さらに、物を忘れたり、どこに置いたか忘れてしまうといった問題も多く見られます。
不注意の症状が6カ月以上続く場合、ADHDの可能性が考えられます。
また、感覚過敏による集中困難が生じることもあり、これが原因でASDの特性が一部重なることもあります。

ADHDには3つのタイプがあり、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)によって以下のように分類されています。
不注意優勢型:不注意の症状が目立つが、多動性や衝動性はあまり見られないタイプ。
このタイプの人は、集中できずケアレスミスが多い、物をなくしやすい、スケジュール管理が苦手といった特徴を持っています。
多動性-衝動性優勢型:多動性や衝動性が目立つが、不注意の症状は少ないタイプ。
このタイプの人は、落ち着きがなく常に動いていたり、一方的におしゃべりをしたり、感情が高ぶりやすく、金銭管理が苦手といった行動が見られます。
混合型:不注意、多動性、衝動性のいずれの症状も目立つタイプです。
このタイプの人は、上記の特徴を組み合わせた症状を持ちます。
ADHDの原因はまだ完全には解明されていませんが、脳機能の偏りが影響していると考えられています。感情のコントロールが難しい場合もあり、特に衝動性が強い人は、怒りの感情を抑えるのが苦手で、感情を相手にぶつけてしまうことがあります。
このような行動は対人関係に悪影響を与え、後に後悔することが多いですが、アンガーマネジメントなどの心理的トレーニングを通じて感情のコントロールを学ぶことが推奨されています。
また、ADHDの特性は成長と共に軽減することがありますが、大人になってから初めて診断されるケースもあります。
特に、社会的なプレッシャーや仕事上の責任が増えると、ミスや対人関係での問題が顕著になり、自信喪失やストレスを引き起こしやすく、うつ病や適応障害などの二次障害につながることもあります。

仕事においては、ADHDの人は優先順位をつけるのが苦手で、複数の業務を同時に進めることに困難を感じることがあります。好きなことに没頭し、重要な業務を後回しにすることや、段取りが悪く効率が上がらないこともあります。
結果的に納期に間に合わないことや、作業が滞ってしまうことが多く、そうした状況を改善するためには、外部からのサポートや自己管理の工夫が重要です。
大人のADHDの特徴や症状は、不注意、多動性、衝動性の3つの要素が絡み合っており、これが仕事や日常生活に影響を与えることがあります。
ADHDの特性は、子どもの頃に比べて大人になると不注意の症状が目立つことが多いですが、その特性の現れ方は個人によってさまざまです。
大人のADHDの典型的な特徴には、先程も述べた部分もありますが、主に以下のようなものがあります。
優先順位付けが苦手:どの作業を先にやるべきか判断が難しく、計画を立てて順序良く物事を進めることが困難。
時間管理の難しさ:約束や期限を忘れやすく、時間に遅れたり、締め切りに間に合わないことが多い。
集中力の維持が困難:集中する作業を後回しにしがちで、長い説明や多くの指示に対応するのが苦手。
整理整頓が苦手:物を片付けることができず、家や職場が乱雑になることが多い。
衝動性:衝動的に物事を決めたり、衝動買いをしてしまう。思いついたらすぐ行動してしまうこともあります。
感情のコントロールが難しい:怒りや不満が抑えられず、感情的な反応が強く出やすい。
多動性:長時間じっと座っているのが苦手で、手足を動かしたくなる衝動に駆られることがあります。
大人のADHDは、特に職場や日常生活での困難が目立ちやすく、周囲から理解されにくいために苦しむことがあります。
例えば、マルチタスクが苦手で、同時に複数の仕事をこなすのが難しくなります。
また、目の前の仕事に集中できず、何度もミスを重ねてしまうこともあります。
物を忘れやすかったり、無くしたりすることも頻繁に起こります。
こうした困難が続くと、社会的な評価が下がり、自己肯定感が低くなってしまうことがあります。
職場でのミスが多いために叱責を受けると、自信を失い、ストレスを抱えやすくなり、うつや適応障害などの二次障害につながることもあります。
ADHDの特性は、時にASD(自閉症スペクトラム)と似た結果をもたらすことがありますが、その原因は異なります。
例えば、仕事が終わらないという困りごとは、ADHDの場合は優先順位を決められないことや不注意が原因で、ASDの場合は細部にこだわりすぎて作業が進まないことが原因です。
また、コミュニケーションにおいても、ADHDは注意散漫や衝動的な発言が原因で会話がうまくいかない一方、ASDは非言語的なコミュニケーションの理解が難しいという特徴があります。
自分に合った対策を見つけることが大切ADHDの特性を理解し、それに基づいて対策を立てることが、日々のストレスや生きづらさを軽減するための第一歩です。
特性を把握し、適切なサポートや環境を整えることで、ADHDの影響を最小限に抑えることができます。
また、医療機関での診断を受けることも、困難を乗り越えるための有効な選択肢です。
発達障害は特別なものではなく、個性の一部として捉えることが大切です。特性を理解し、適切な環境や支援を整えることで、ADHDのある人がより快適に生活できるようになります。