近年、メディアや書籍などで取り上げられる機会が増えた
「アダルトチルドレン(AC:Adult Children)」という言葉。
クリニックでも、患者さんから「自分はアダルトチルドレンだと思う」
と、相談されることが増えてきました。
しかし、その一方で、アダルトチルドレンという言葉の意味を正しく理解していないケースも
少なくありません。
今回は、アダルトチルドレンとは何か、その特徴、抱えやすい問題
そして治療について、わかりやすく解説していきます。
アダルトチルドレンとは、「機能不全家庭」で育ったことにより
成人してからも心に深い傷を抱えている人を指します。

「機能不全家庭」とは、子供が安心して成長するために
必要な役割を十分に果たしていない家庭のことを言います。
本来、家庭は子供にとって絶対的な安心の場であり
無償の愛を通して、愛情や自立を学んでいく場所です。
親から大切にされることで、子供は自己肯定感を持ち
社会に出るための準備をしていきます。
しかし、機能不全家庭ではこのプロセスが正常に行われません。
機能不全家庭の例としては、
このような環境で育った子供は、十分な愛情を受けることができず
必要な教育も欠如したまま成長します。その結果
成人しても人間関係に苦しんだり
心に深い孤独感や自己否定感を抱え続けることになるのです。
これがアダルトチルドレンの状態です。
アダルトチルドレン(Adult Children)という言葉は
直訳すると「大人の子供」となり、「精神的に未熟な大人」という誤解を受けやすいですが
そうではありません。
子供時代に受けた心の傷が大人になっても癒されずに残っている人を
表しており、決して本人の努力不足や未熟さの問題ではないのです。
なお、アダルトチルドレンは病名ではなく、正式な診断基準もありません。
そのため、医師による診断を受けるわけではなく、状態像を表す言葉として用いられます。
アダルトチルドレンは
家庭内で生き延びるためにとった行動パターンにより、いくつかのタイプに分けられます。
アダルトチルドレンの根本的な問題は
「無償の愛を受けられなかった」ことにあります。機能不全家庭では、子供は常に親の顔色を伺い、愛されるために「良い子」を演じたり、逆に「悪い子」になることで
関心を引こうとします。
つまり、愛情が無償ではなく、条件付きになってしまうのです。
このような家庭環境で育った結果、成人後も以下のような問題を抱えやすくなります。
このような心理状態は、うつ病、パニック障害、パーソナリティ障害など
他の精神疾患を引き起こすリスクも高めてしまいます。
アダルトチルドレンの影響は、単に「生きづらさ」だけではなく
心身の健康にも深刻な影響を与えるのです。
アダルトチルドレンの苦しみの原因は、子供時代の家庭環境にあります。
過去をやり直すことはできませんが、今から「自分を取り戻す」ことは可能です。
ただし、アダルトチルドレンの回復には時間がかかります。
一朝一夕で治るものではなく、丁寧に、自分自身と向き合っていく必要があります。
アダルトチルドレンは、過去の環境によって生まれた苦しみです。
しかし、時間と努力をかければ必ず乗り越えることができます。

「自分は悪くなかった」「これからの人生は自分で選び取れる」と信じて
少しずつ自分自身を取り戻していきましょう。
あなたが自分自身を理解し、大切にできるようになる日を、心から応援しています。