近年、成人期に初めて発見・診断される「ASD(自閉スペクトラム症)」のケースが増えています。一方で、一見ASDのように見えても、実は他の精神疾患だった、ということも少なくありません。
今回は「大人のASDとその特徴」、そして「ASDと鑑別すべき5つの疾患」について、詳しく見ていきます。

ASD(自閉スペクトラム症)は、主に「社会性の障害」と「こだわり」を特徴とする、生まれつきの発達障害です。これまでは、幼少期に発見・診断されるケースが主流でしたが、近年では、成人後に診断される例も増えています。
大人のASDでは、薬物治療は基本的に用いず、日常生活スキルの向上や環境調整を通じて、特性をカバーしていくことが主な対応となります。
成人で診断される方は、特性そのものは比較的軽い場合が多いですが、その一方で、うつ病や対人不安、ストレスによる攻撃性など、二次障害を合併しやすい傾向にあります。
大人のASDが診断される場面としては、以下が挙げられます。
また、成人後は経験の蓄積により、症状が典型的でなくなっていることもあり、他の精神疾患との鑑別が難しい場合もあります。
次に、大人のASDと症状が似ており、鑑別が必要とされる主な5つの疾患についてご紹介します。
社会不安障害は、人前や対人場面で強い不安を感じる精神疾患です。
幼少期から存在する場合と、特定の出来事をきっかけに発症する場合があります。
ADHDは、不注意・多動・衝動性を主な特徴とする発達障害です。
ASDとの重複(合併)も珍しくありません。
統合失調症は、脳内のドーパミン異常により、幻覚や妄想が生じる精神疾患です。
特に急性期において、ASDのストレス時の混乱と似た様子を見せることがあります。
愛着障害は、幼少期における養育者との不適切な関係に起因する対人関係の問題です。
強迫性障害は、「強迫観念」(不合理と自覚しつつも頭に浮かび続ける考え)と、それに基づく「強迫行為」(確認、手洗いなど)が特徴の疾患です。

今回は、「大人のASDの鑑別診断5つ」について、詳しく見てきました。
大人のASDは、近年、社会的な認知度の向上に伴い診断される機会が増えています。しかしながら、実際には他の精神疾患である場合もあり、慎重な鑑別が求められます。
ポイントとして押さえておきたい主な疾患は、以下の5つです。
正確な診断には、病歴の詳細な聴取、症状の性質の分析、心理検査など、多角的なアプローチが重要となります。
「ASDかもしれない」と感じた方は、自己判断で悩み続けず、専門機関での相談を検討することをおすすめします。