私たちが日々感じる「ネガティブな気持ち」。誰しも時には落ち込んだり、不安になったりするものですが、その「ネガティブさ」が長く続いたり、日常生活に影響を及ぼすほどになった場合、それは単なる気分の問題ではなく、精神的な疾患のサインである可能性もあります。
今回は、心療内科や精神科の観点から「ネガティブになりやすい精神疾患5つ」について、その特徴と対処法をご紹介します。

まず前提として、「ネガティブになること」は必ずしも悪いことではありません。物事を慎重に見極める力や、失敗から学ぼうとする姿勢には、ある程度の否定的視点も必要です。
しかし、それが日常生活に支障をきたすレベルになると、注意が必要です。ネガティブ思考は時に「症状」として現れることがあり、また「慢性的な考え方のクセ(認知のゆがみ)」として固定化されると、心身に悪影響を及ぼすこともあります。
精神的な不調の結果として現れるネガティブさもあれば、その逆に、ネガティブ思考が原因となって心の病気を悪化させることもあります。原因と結果が複雑に絡み合っているため、適切な対応を見極めることが大切です。
ネガティブな状態が続くと、次のような影響が出ることがあります:
このような状態を防ぐためには、ネガティブ思考の背景にある「原因」を正しく理解し、それに合わせた対処をすることが重要です。

適応障害は、日常生活の変化や環境ストレスに過敏に反応する疾患です。強いストレスにさらされたときに、抑うつや不安、過剰な心配といったネガティブな感情が噴き出すことがあります。
特徴的なのは「ストレス源から離れると回復しやすい」という点です。
対策:
うつ病では、ストレスを取り除いても気分の落ち込みが続き、自己否定的な思考(「自分は価値がない」「何をやっても無駄」など)が強くなります。
これは脳の働きそのものが低下している状態であり、単なる「気持ちの問題」ではありません。
対策:
不安障害では、未来に起こるかもしれない不都合を先読みし、最悪のケースばかりを想像してしまう傾向が強まります。
このような思考パターンは、やがて「ネガティブな予測」に支配される原因になります。
対策:
発達障害(自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症)そのものがネガティブを直接引き起こすわけではありませんが、周囲との不適応から「二次障害」としてうつ症状や自尊心の低下が生じることがあります。
対策:
パーソナリティ障害は、感情や対人関係、行動パターンに強い偏りがある生涯にわたる特徴で、ネガティブな考え方が固定化されやすい状態でもあります。
「どうせ嫌われる」「他人は信用できない」といった思考のクセが長年にわたり根づいていることも少なくありません。
対策:

精神疾患によるものでも、性格的な癖によるものでも、共通して大切なのは「気づき」と「意識的な調整」です。
特に「癖」によるネガティブは、完全になくすことが難しいからこそ、「弱める・距離を取る」という柔軟な対応が有効です。
今回ご紹介した精神疾患5つ──適応障害、うつ病、不安障害、発達障害、パーソナリティ障害──はいずれも、ネガティブ思考と深く関わっています。
ですが大切なのは、「自分の今の状態はどこから来ているのか?」を冷静に見極めることです。
もし「つらい」と感じたときは、我慢せず、専門機関への相談も選択肢の一つです。ネガティブな気持ちには、必ず意味があります。そのサインを見逃さず、優しく自分と向き合っていきましょう。