うつ病は「ただの気分の落ち込み」ではありません。気持ちの面だけでなく、脳のさまざまな機能に影響が及び、日常生活にも多くの支障が出る病気です。以前は難なくできていたことが、うつ病の影響で困難になってしまうことも少なくありません。
この記事では、「うつ病になるとできなくなること」について、特に多く見られる5つの事柄に焦点を当てて解説していきます。

うつ病とは、気分の落ち込みや意欲の低下といった「こころの症状」に加え、脳の機能に幅広く不調が現れる病気です。集中力や判断力、記憶力などの低下が起き、日常生活や仕事、対人関係にまで深刻な影響を及ぼすことがあります。
・こころの症状:気分の落ち込み、やる気が出ない、集中力の低下など。
・身体の症状:倦怠感、吐き気、頭痛、めまいなど。
・行動の変化:人との接触を避ける、小声になる、表情が乏しくなるなど。
うつ病では、以下のような脳の機能に異常が現れることがあります。
・集中力の低下
物事に集中し続けることが困難になり、ミスが増えたり、途中で投げ出してしまうこともあります。
・判断力の低下
状況を分析して決断を下す力が弱まり、仕事や日常の選択にも支障が出ます。
・記憶力の低下
必要な情報を覚えておくことが難しくなり、会話や仕事、勉強に支障をきたすこともあります。
こうした脳機能の不調は、生活のさまざまな場面での「できなさ」へとつながっていきます。

うつ病の初期からよく見られるのが、仕事や勉強への集中力の低下です。これまで問題なくこなせていた業務や学習内容が理解しづらくなったり、同じ作業に倍以上の時間がかかるようになったりします。些細なミスが増え、自信を失ってしまう人も多くいます。
・集中力の低下:作業に集中し続けることが難しい。
・判断力の低下:業務の中での選択や判断に迷う。
・記憶力の低下:新しい情報が頭に入ってこない。
こうした困難を無理にカバーしようと残業をしたり、努力で乗り切ろうとすると、さらに状態が悪化してしまうこともあります。
うつ病では、毎日の家事すらも大きな負担に感じるようになります。入浴や洗濯、掃除といった「当たり前のこと」ができなくなり、生活環境の乱れにつながっていきます。
・入浴:体を洗う、髪を乾かすといった工程が重荷になる。
・片付け:部屋が散らかっていても手をつけられず、物が溜まっていく。
・食事の準備:料理をする気力がわかず、食生活が乱れてしまう。
・倦怠感、疲労感:体が重く、何をするにもエネルギーが出ない。
・集中力、意欲の低下:日常動作を完遂できない。
こうした状態が続くと、生活の質が下がり、精神状態のさらなる悪化にもつながることがあります。
うつ病では、「本を読んでも内容が頭に入らない」「テレビを見ても理解できない」といった状態になることがあります。気分転換や情報収集ができず、仕事や人間関係にも悪影響が出てくることがあります。
・読書や新聞:文字を追っても理解が追いつかない。
・テレビ、動画視聴:内容がぼんやりしてしまい、頭に残らない。
・会議や授業:聞いても内容が整理できず、記憶に残らない。
・記憶力の低下:得た情報を保存できない。
・集中力の低下:注意を持続させられない。
・思考力の低下:得た情報を処理・分析するのが困難。
うつ病では、他人との会話が負担になることもあります。話の内容を理解したり、適切な返答を考えるのが難しく、会話を避けがちになります。これが続くと、周囲との関係が希薄になり、孤立感が強まってしまう可能性があります。
・職場での会話や会議
・友人、家族との日常会話
・公共の場での対応(店員との会話など)
・集中力の低下:会話に意識を向け続けられない。
・記憶力の低下:話の内容をすぐに忘れてしまう。
・思考力の低下:自分の言いたいことがまとまらない。
うつ病が進行すると、出社や通学といった日常的な外出が難しくなることがあります。体が動かず起き上がれない、準備ができない、または強いストレスを感じて外に出られないといった状態に陥ることもあります。
・「行きたくない」気持ちが強くなる
・「行きたいのに体が動かない」
・体調不良(頭痛、吐き気など)で行けない
・抑うつ気分、意欲低下:精神的エネルギーの著しい減退。
・倦怠感、疲労感:外出に必要な体力がわかない。
・自律神経の不調:動悸や吐き気などの身体症状。

うつ病では、気分の落ち込みだけでなく、「脳の働き」の広範囲に不調が現れます。その結果、生活のあらゆる場面で「今までできていたことができない」という状態になるのです。
代表的な「できなくなること」は以下の5つです。
①仕事や勉強
②家事全般
③読書やテレビの理解
④会話
⑤出社・通学
これらはすべて、うつ病の症状に基づくものであり、本人の努力不足ではありません。もし、こうした状態に悩んでいるなら、無理をせず、早めに医療機関に相談し、休養を取ることが大切です。回復には時間がかかるかもしれませんが、適切な治療とサポートによって、再び日常を取り戻すことは可能です。