統合失調症の「陰性症状」とは 〜4つの主な症状と生活への影響〜
統合失調症は、脳の働きに関連した精神疾患の一つで、世界中で多くの人が抱える病気です。
症状には、幻聴や妄想などの「陽性症状」と呼ばれるものと、意欲や感情の低下といった「陰性症状」があります。特に治療が進み、症状がある程度落ち着いた後に目立ってくるのが「陰性症状」であり、長期的な生活の質に大きな影響を与えることがあります。
本記事では、統合失調症の中でも見落とされがちだが非常に重要な「陰性症状」について詳しく解説し、主な4つの症状とその対処法を紹介します。

統合失調症は、幻聴、妄想、思考の混乱などを主な特徴とする精神疾患で、発症時には現実とのつながりが薄れ、生活に支障をきたすことがあります。
主に脳内の神経伝達物質「ドーパミン」の働きが過剰になることが症状の背景にあるとされています。
治療には抗精神病薬が使われ、陽性症状(幻聴や妄想など)は比較的早期に改善することが多いですが、その後に残る「陰性症状」が長期的に患者の生活を苦しめることがよくあります。

「陰性症状」とは、もともとあるべき能力や反応が低下したり失われたりする症状を指します。
たとえば、「感情の動きが鈍くなる」「やる気が出ない」「会話が続かない」「人との関わりを避ける」などが挙げられます。これらは一見してわかりにくく、周囲から「怠けているのでは」「やる気がないだけでは」と誤解されやすいものです。
陰性症状は、急性期(幻聴・妄想が強い時期)にも存在することがありますが、多くは治療や薬で症状が落ち着いた後に目立つようになります。
とくに発症してから治療を開始するまでの「未治療期間」が長い場合、陰性症状が重くなる傾向があるため、早期発見と早期治療が重要です。

ここからは、統合失調症における代表的な陰性症状を4つ紹介し、それぞれの具体的な特徴と生活への影響を見ていきましょう。
この症状では、物事に対して感情的な反応を示す力が低下します。
うれしいことがあっても笑顔にならない、悲しいニュースを聞いても反応が薄い、といった具合に外から見ると感情が乏しいように映ります。
具体的な見え方
このような変化は、周囲の人にとっては「無関心」や「冷たい」と誤解されやすく、対人関係に影響を及ぼします。
思考が浅くなったり、考えがまとまりにくくなったりする症状です。
話す内容が単調になったり、質問に対して短い返答しかできなくなったりすることが多く、会話が成り立ちにくくなることもあります。
具体的な見え方
この状態では、創造的な思考や問題解決が難しくなり、就労や学習に支障が出ることがあります。
日常のあらゆることへのやる気が低下する状態です。
趣味や仕事に取り組むことだけでなく、食事や入浴、掃除といった生活の基本的な活動さえも面倒に感じ、実行できなくなる場合があります。
具体的な見え方
このような変化は、生活リズムの乱れや体調の悪化にもつながりやすく、放置すると再発のリスクも高まります。
他者との関わりを避け、孤立する傾向が強まる症状です。
人付き合いが煩わしく感じられ、家に閉じこもりがちになるため、社会的な孤立状態に陥ることがあります。
具体的な見え方
社会との接点がなくなることで、支援を受ける機会も減り、病状の再燃や悪化のリスクが高まります。

陰性症状は、薬の効果が限定的であるため、周囲の支援や社会資源の活用が非常に重要です。以下のような支援方法が有効です。
日常生活の中で徐々に活動を再開していくことが大切です。
無理のない範囲で参加できるデイケアなどを活用し、生活リズムの安定と人との交流を少しずつ取り戻していきます。
家の中での生活が困難な場合は、看護師やヘルパーが自宅を訪問して支援します。
薬の管理、掃除や食事の援助などを通じて、安定した生活をサポートします。
統合失調症は長期的なサポートが必要な「障害」として認定されることがあります。
障害者手帳や障害年金、就労支援など、さまざまな福祉制度を活用することで、本人の自立と生活の安定につながります。
統合失調症では、治療によって陽性症状(幻聴・妄想など)が落ち着いた後に、「陰性症状」が目立つようになることがあります。
陰性症状は見た目ではわかりづらい一方で、本人の生活や社会参加に深刻な影響を及ぼします。
代表的な陰性症状は以下の4つです。
これらの症状には時間をかけたリハビリが必要であり、焦らずに「ゆっくり取り戻していく」姿勢が大切です。
本人の努力とともに、周囲の理解と支援があってこそ、長期的な回復と安定した生活が実現します。