【カサンドラ】自閉症スペクトラム(ASD)など発達障害がある人の身近な人が心身に不調をきたし不安障害やうつ病になることがある

カサンドラ症候群とは、家族やパートナーが発達障害を抱えているために、コミュニケーションがうまく取れず、心に大きなストレスがかかることで、不安障害や抑うつ状態といった症状が現れる状態を指します。今回は、カサンドラ症候群を抱える方の症状の特徴や治療法、対処法、そしてどのように向き合っていけば良いのかについてお話ししたいと思います。

カサンドラ症候群とは何か

近年、職場の同僚や上司、部下、または家族やパートナーとの関係の中で、特に発達障害の一つである自閉症スペクトラム(ASD)を取り巻く環境において、深刻なメンタルヘルスの問題である「カサンドラ症候群」が報告されています。

カサンドラ症候群は病気か障害か

カサンドラ症候群は、正式な診断名ではなく、病院での診断時に使用される精神疾患の診断基準「DSM-5」(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)にも記載されていません。

「カサンドラ」の由来

「カサンドラ」という言葉は、ギリシア神話に登場するトロイの王女の名前に由来しています。彼女は未来を予知する能力を持ちながら、その予言が誰にも信じてもらえなかったという悲劇的な運命を背負っていました。このことから、心理療法家シャピラが1980年代に「身近な人間関係で不条理な状況に置かれ、周囲から理解されない」という意味で「カサンドラ症候群」という言葉を名付けました。

カサンドラ症候群の具体的な原因

カサンドラ症候群が生じる大きな原因は、発達障害を持つ家族やパートナーとの間で、情緒的な交流が不足し、関係が悪化することにあります。また、その状況をパートナーや周囲が理解せず、本人が孤立し、不条理な状況に置かれることも問題です。発達障害の特徴には、①相互的なコミュニケーションや協力行動が苦手であること ②相手の気持ちに共感することや言葉の裏にある意味を想像するのが難しいこと ③特定の行動パターンや狭い興味に固執しやすく視点の切り替えが苦手であること ④感覚が過敏または鈍感であること などがあります。

カサンドラ症候群の症状

カサンドラ症候群の症状は、「身体的症状」「精神的症状」に分けられます。身体的症状には、不眠、頭痛、体重の変動、自律神経失調症などがあり、精神的症状には、孤独感、情緒不安定、抑うつ状態、パニック障害、自己評価の低下などが挙げられます。これらの症状は人によって異なる場合があります。

カサンドラ症候群になりやすい人の傾向

カサンドラ症候群になりやすい人は、真面目で完璧主義、我慢強く、几帳面で面倒見が良い人、責任感が強く、ストレスを発散するのが苦手な人、そして自分を責めがちな人です。発達障害のあるパートナーが不適切な発言をした場合でも、怒ったり指摘したりせずに我慢を続けると、精神的ストレスが溜まり、カサンドラ症候群の症状が現れることがあります。

カサンドラ症候群に苦悩する上司・同僚・家族(パートナー)が行う発達支援の在り方

カサンドラ症候群に苦しむ上司や同僚、家族に対しては、次のような発達支援が有効です。

1. 一度に複数の情報を提示しない

発達障害のある人は「同時処理」が苦手なので、視覚情報と聴覚情報を分けて、一つずつ提示することが望ましいです。

2. 知覚過敏性への配慮

刺激が強すぎると混乱しやすいため、大声で怒鳴ったり、急な予定変更を避けるようにしましょう。

3. 構造化された情報の提示

時系列での行動の予測が可能になるよう、具体的に仕事の内容を提示することが効果的です。

お互いに発達障害について理解を深める

発達障害のあるパートナーと良好な関係を築くためには、お互いが発達障害について理解を深めることが重要です。まずは、特性や困りごとについて話し合い、共有することから始めましょう。

生活上のルールを決める

お互いにストレスを感じないために、生活上のルールをあらかじめ決めておくと、トラブルを避け、精神的負担を減らすことができます。

自分自身だけで抱え込まない

一人で抱え込むと、症状が悪化する可能性があります。信頼できる人に相談し、気持ちを共有することで、精神的な負担を軽減することができます。

時には休むことも大切

辛い状況が続く場合は、一旦休んでみることも必要です。適切な距離を取り、今後の関わり方について考える時間を持つことが大切です。

カサンドラ症候群のまとめ

カサンドラ症候群の症状を和らげ、良好な関係を築くためには、お互いを理解し合うことが重要です。カサンドラ症候群を抱える方も、発達障害を持つ方も、それぞれが困難や辛さを抱えています。お互いに理解を深め、より良い関係を築いていくことが大切です。