「発達障害かもしれないと思って検査を受けたら、実は“境界知能”だった──」。最近、このような相談が増えています。発達障害に関する情報が広まり、特に大人になってから「自分はそうかもしれない」と気づく人が増えてきた中で、実際に検査を受けた結果、診断がつかず、代わりに“境界知能”という言葉を知るケースも少なくありません。
では、「発達障害」と「境界知能」はどのように違い、どのような関係があるのでしょうか?また、検査を受けることでわかること、そしてその後に取るべき対応について、詳しく解説していきます。
発達障害は「生まれつき脳の機能に偏りがある状態」と定義され、主に次の2つのタイプが成人期に見られます。
ADHDは「不注意」「多動性」「衝動性」が主な特徴です。具体的には、忘れ物が多い、話の途中で口をはさんでしまう、落ち着きがないといった行動が見られます。
ASDは「社会性の困難」「コミュニケーションのずれ」「こだわりの強さ」が特徴です。たとえば、相手の気持ちをくみ取るのが苦手で空気を読まない発言をしてしまったり、急な予定変更に強いストレスを感じたりします。
子どものうちに診断されず、大人になってから仕事や人間関係でつまずくことで受診に至ることもあります。また、インターネットなどで症状に心当たりを感じ、検査を受ける人も少なくありません。

発達障害の診断は、「病歴」と「心理検査」によって行われます。
WAISは全体のIQだけでなく、「言語理解」「処理速度」「作動記憶」「知覚推理」など細かい項目別のIQも測定できます。発達障害の人では、これらの得点に極端な凸凹(ばらつき)が出ることがよくあります。

WAISの結果として出てくる「IQ(知能指数)」は、脳の認知能力を数値で示したものです。平均は100で、95%の人がIQ70~130の範囲に入ります。
IQが70以下で、日常生活にも大きな支障をきたす場合に診断されます。多くは幼少期に発見され、福祉的な支援を受けながら育ちます。
IQ71〜85の範囲を指します。日常生活はある程度自立して送れるものの、複雑な課題や社会的な状況になると困難が生じます。知的障害ほど重くはないため「障害」には該当せず、原則として福祉的サポートは受けられません。
心理検査を受けた結果、発達障害ではなく「境界知能」と判定されるケースがあります。
こうした類似点があるため、専門的な診察や検査を経て、ようやく正しい理解に至ることがあります。
結論から言えば、合併することはあります。例えば、ADHDで不注意や衝動性の特性が見られつつも、IQが境界知能レベルであるというケースです。
このような場合、特性がより強く出ることがあり、サポートの必要性も高くなります。診断は慎重に行われ、単なる「発達障害かどうか」だけでなく、「その人にとって何が生きづらさの原因か」が丁寧に見極められる必要があります。
多くの人が「なぜ自分は頑張ってもできないのか」と苦しんできた背景に、認知機能の限界があったと知ることで、納得しやすくなる面もあります。
特に「IQ」という数値が一人歩きし、「自分はできない人間なんだ」と感じてしまう方もいます。診断を受けるときには、医師や心理士との信頼関係が重要です。
境界知能は障害ではありませんが、「日常生活や社会生活で困りごとが出やすい特性を持っている状態」です。そのため、以下のような対策が役立ちます。
「発達障害だと思っていたら、実は境界知能だった」というケースは、決して珍しくありません。生きづらさの背景には、見えにくい認知の特性が隠れていることがあります。重要なのは「診断名そのもの」ではなく、「その人がどのように理解され、どのように支援されるか」です。
検査や診断はあくまで第一歩。その結果を活かして、自分に合った生き方を探していくことこそが、最も大切なプロセスです。焦らず、少しずつ自分を理解していきましょう。