精神疾患にはさまざまな種類があり、その発症率や症状の現れ方には男女差が見られることがあります。特に女性に多く見られる精神疾患には、特有の要因が重なり合っている場合も多く、単なる「性格の問題」や「ストレス耐性の差」として片付けることはできません。この記事では、女性に多いとされる精神疾患5つを中心に、精神疾患における男女差について丁寧に解説していきます。
精神疾患は性別にかかわらず誰にでも起こりうるものですが、疾患の種類によっては男女差がはっきりと見られるものもあります。たとえば、うつ病や摂食障害などは女性に多く、逆にアルコール依存症やASD(自閉スペクトラム症)は男性に多いとされます。また、統合失調症や双極性障害などは男女差があまり目立たないとされています。
男女差を生む要因
精神疾患における男女差は、いくつかの要因が複雑に絡み合って生じています。
こうした要因が、発症率だけでなく「目立つ症状」や「医療機関の受診傾向」にも影響を与えています。

ここでは、特に女性に多いとされる代表的な精神疾患を5つご紹介します。それぞれに共通するのは、「ホルモンの変化」や「社会的ストレス」が深く関わっている点です。
① うつ病──不安を伴いやすい女性のうつ
うつ病は「脳の不調」ともいえる疾患で、強い落ち込みや気力の低下が続く状態を指します。一般的に、女性は男性の約2倍うつ病にかかりやすいとされています。
背景にある要因:
なお、女性のうつ病は「不安感」が強く出やすいという特徴があります。治療は抗うつ薬と心理療法が中心です。
② 不安障害──日常に支障をきたす過剰な心配
不安障害は、日常生活で感じる不安をはるかに超えて、慢性的な緊張や恐怖が続く状態を指します。種類は多岐にわたり、特に女性に多いのは以下の3つです。
不安障害の原因もまた、ホルモンの揺らぎや過剰な責任感・期待など、女性特有の環境と深く関係しています。
③ 境界性パーソナリティ障害──感情の波が激しい
境界性パーソナリティ障害は、自分自身や他者との関係において極端な感情の揺れが起こりやすい障害です。特に感情のコントロールが困難で、衝動的な行動や自己否定が目立ちます。
女性に多いとされ、その理由としては:
治療には薬物療法があまり効果的でなく、**感情調節のスキル訓練(DBTなど)**が中心となります。類似する障害として、「依存性パーソナリティ障害」や「演技性パーソナリティ障害」なども女性に多く見られます。
④ 摂食障害──見た目へのこだわりが過剰に
摂食障害は、食事の摂り方に大きな偏りが出てしまう精神疾患です。代表的なものに拒食症(神経性やせ症)や過食症があります。患者の多くは女性で、特に10〜20代に多く見られます。
背景にある要因:
摂食障害は重症化すると命に関わることもあり、早期の医療的介入が重要です。

⑤ PMS/PMDD──月経前に心が揺れる
月経前症候群(PMS)とは、生理の直前に起こる心身の不調です。身体症状だけでなく、情緒不安定・イライラ・抑うつなどが現れることがあります。
中でも、精神的症状が特に強く現れる場合を**PMDD(月経前不快気分障害)**と呼びます。
主な特徴:
PMS/PMDDは「気のせい」と片付けられがちですが、本人にとっては深刻な問題です。理解と適切な治療が必要です。
補足:女性特有のうつ病
女性に特有のホルモン変化と関連するうつ病には、以下のような種類もあります。
精神疾患の中には、女性に多く見られるものがいくつか存在します。そこには、ホルモンの変化や社会的・心理的背景が密接に関係しており、単に「気の持ちよう」では解決できない問題が含まれています。
特に女性に多い精神疾患は次の5つです:
これらの症状を理解することは、女性のメンタルヘルスを守る第一歩です。正しい知識と支援のあり方が広がることで、心の不調を抱える女性がより生きやすくなる社会がつくられていくことを願います。