今回は「適応障害」という病気について、詳しく解説していきます。
この内容は、最近強いストレスを感じている方、「うつっぽいな」と感じることが増えた方、そして身近に職場や家庭でつらそうにしている人がいるという方に、ぜひ読んでいただきたいと思います。
この記事を読むことで、適応障害とはどのような病気なのかを正しく理解できるとともに、似た症状を持つ「うつ病」との違いについても知ることができます。ご自身や大切な人の不調に気づき、早期に適切な対処をとる手助けとなるでしょう。

適応障害という病気を理解するうえで、最も重要なキーワードは「ストレス」です。
誰でも日々の生活の中で何らかのストレスを感じるものですが、そのストレスに対する反応が過剰になり、社会生活や日常生活に支障をきたすのが「適応障害」です。
たとえば、仕事に行けなくなってしまったり、家事が手につかなくなったりといった状況が見られることがあります。
これは、通常のストレス反応を超えたもので、本人の努力ではどうにもならないレベルの苦しさを伴うものです。
適応障害の症状はうつ病と非常によく似ており、混同されやすいため、違いについては後ほど詳しく解説いたします。

適応障害の症状は大きく分けて、以下のような特徴があります。
気分の落ち込み、意欲の低下、不安感、イライラといった精神的な不調が見られます。
これらはうつ病でもよく見られる症状であり、日常生活の中で「以前の自分と違う」と感じるような変化が生じます。
不眠、食欲の低下または増加、全身の倦怠感や疲労感、頭痛や腹痛など、体の不調として現れることもあります。これも、うつ病の身体症状とほぼ共通しています。
遅刻や欠勤が増えたり、人付き合いを避けるようになったりと、仕事や家庭生活に影響を及ぼすこともあります。時間の管理が難しくなり、社会生活の維持が困難になるケースも少なくありません。
ストレスにより、暴飲暴食に走ったり、逆に食欲が全くなくなることもあります。これらの変化も、適応障害のサインとなり得ます。
このように、適応障害は心と体の両面に影響を及ぼす病気であり、放置すると状態が悪化するおそれがあるため、早期の対処が重要です。
繰り返しになりますが、適応障害の原因は「ストレス」です。
しかし、そのストレスの内容や感じ方は人によってさまざまであり、日常生活の中のさまざまな出来事が引き金となる可能性があります。
具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
つまり、誰にでも起こり得る「人生の変化」や「困難な出来事」が、適応障害の引き金となる可能性があるのです。
適応障害とうつ病は症状が非常に似ているため、違いを見分けるのは簡単ではありません。
しかし、両者には明確な違いが存在します。
一番大きな違いは、「ストレスから離れることで改善するかどうか」です。
アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)によると、適応障害は「ストレスとなる出来事が起きてから3ヶ月以内に症状が現れ、ストレスから解放されてから6ヶ月以内に改善する」とされています。
また、診断の上では、症状がより重く長期化し、うつ病の診断基準を満たしている場合は「うつ病」として診断されます。
そのため、適応障害の段階で適切な対応を取らないと、うつ病へと移行してしまうリスクもあります。

適応障害が疑われる場合には、なるべく早く専門機関を受診し、正しい治療を受けることが大切です。以下のステップを意識してみてください。
自己判断ではなく、専門医の診察を受けることが最優先です。必要であれば診断書や治療計画も得られます。
発症には必ずストレスとなる要因(トリガー)があります。仕事、家庭、人間関係など、何が原因かを整理することが大切です。
原因が特定できたら、可能な範囲でそのストレス源から距離をとることが必要です。たとえば、仕事が原因なら休職や部署異動、業務内容の見直しを検討するなどの対応が考えられます。
適応障害は、誰にでも起こり得る身近な心の病気です。
放っておくとうつ病に移行してしまうこともあるため、早期発見・早期対応が非常に重要です。
「ちょっとしんどいな」と思ったときに、無理にがんばりすぎず、まずは一度立ち止まって、心の状態に目を向けてみてください。
適切なサポートを受け、ストレスから距離をとることで、必ず快方に向かう病気です。
自分自身や周囲の大切な人の心の声に耳を傾け、必要なときには医療機関や専門家に相談することを忘れずにいてください。