自閉スペクトラム症(ASD)は、人とのコミュニケーションを取ることが苦手で、強いこだわりを持つという特徴がある発達障害です。この症状は小児期に現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。人によっては症状のタイプや重症度に多様性
があるため、「スペクトラム」(連続体)という名称が用いられています。また、自閉スペクトラム症(ASD)は、さまざまな睡眠障害を伴うことでも知られています。
自閉症は子どもに多い問題だという先入観がありますが、近年では大人になってから診断されるケースも増えています。本日の記事では、自閉スペクトラム症の方が抱える睡眠の問題について詳しくお伝えいたします。
自閉スペクトラム症(ASD)の原因について
- 自閉スペクトラム症(ASD)の発症原因は現在のところ明確ではありませんが、遺伝的に両親から子どもに受け継がれることがあるとされています。
- 2022年に発表された研究報告によると、自閉スペクトラム症と診断される方の多くに、脳内のドーパミンD2/3受容体の減少が認められました。ドーパミンは注意や喜びの感情に関係する神経伝達物質であり、この脳内の変化がコミュニケーション障害に関与していると指摘されています。
- 自閉スペクトラム症は「育て方」や「幼少期のしつけの問題」に起因するものではなく、生まれつきの脳機能の異常によって引き起こされると考えられています。
自閉スペクトラム症の症状について
対人関係(コミュニケーション)の障害
- 他人と目を合わせることが苦手で、会話が成り立たないことが多い。
- 視線が合わず、感情を共有することが難しい。
- 年齢に応じた人付き合いができない。
興味や行動への強いこだわり
- 同じ会話や動作を繰り返すことが多く、同一性に強くこだわる。
- 限られた対象に対して固執し、音や光の刺激に過敏、あるいは鈍感になる場合があります。
自閉スペクトラム症の症状は3歳前に現れることが多く、成人になっても持続しますが、時が経つにつれて症状が改善することもあります。
自閉スペクトラム症の診断方法
自閉スペクトラム症を適切に診断するためには、以下の項目を確認することが重要です。
- 社会的なコミュニケーションの障害
- 限定された興味の対象や反復する様式の行動
これらの症状が社会性に支障をきたしている場合、自閉スペクトラム障害と診断されることがあります。
合併しやすい睡眠障害の特徴
睡眠問題の症状としては、以下のような特徴があります。
- 就寝への抵抗…夜寝ようとしない。
- 入眠困難…寝つきが悪い。
- 中途覚醒…夜中に何度も目が覚める。
- 早朝覚醒…朝早くに目が覚める。
- 起床困難…朝起きることができない。
自閉スペクトラム症の眠りの問題
- 不眠や睡眠リズムの異常に伴う症状が見られます。これにより、日中に眠気が生じることがあります。
- 赤ちゃんの時から寝つきが悪く、幼児になってもベッドに行こうとしない傾向があります。
- 中学生や高校生になると、深夜までスマホやゲームに夢中になり、入眠困難が助長されることがあります。
自閉スペクトラム症と睡眠の相互関係
- 自閉スペクトラム症があると、睡眠と覚醒リズムが不規則になる傾向があります。
- 睡眠が安定しないことで、自閉スペクトラム症の症状が悪化する場合があります。
- 感覚過敏による症状が二次的に睡眠を妨げることもあります。
自閉スペクトラム症の睡眠障害が及ぼす影響
睡眠不足や睡眠の質の低下が原因で、睡眠リズムに異常が生じることがあります。
- これにより、認知機能や記憶、情緒面に問題が生じ、攻撃的な行動が増えてキレやすくなることもあります。
- 子どもの場合、朝起きることができないために遅刻や不登校になることがあり、大人の場合は遅刻や欠勤の問題が起こることがあります。
自閉スペクトラム症の睡眠問題への対処法
ASDの睡眠問題に対処すると
- 発達障害の症状が軽減し、情緒面に良い影響が期待できます。
家庭でできること
- 起床時に光を浴びる。
- 朝ごはんを食べることで体内時計を安定させる。
- 日中は体を動かし、夜は光刺激を避けるよう心がけることが有効です。
治療を考えている場合
- 同年齢の人と比較してコミュニケーションに問題があったり、こだわり行動が目立つ場合には、地域の発達障害者支援センターに相談することをお勧めします。
- また、地域の保健所に相談しても良いでしょう。
- 自閉スペクトラム症の診断を受けるには、医療機関を受診して医師の診察を受ける必要があります。
- 自閉スペクトラム症は生まれつきの特性であり、日常生活を支援するためには「人との関わり方を継続して学ぶ」ことが大切です。
- 根本的に治す薬は開発されていませんが、緊張や不安を和らげるために抗不安薬が処方されることがあります。また、興奮や攻撃性に対しては、非定型向精神薬を使用することがあります。
自閉スペクトラム症が家族やパートナーに及ぼす影響
アスペルガー症候群を持つ人の家族やパートナーなど、身近に接する人がコミュニケーションの難しさからストレスを感じ、二次的に身体や精神に症状が現れることがあります。このような状態は「カサンドラ症候群」と呼ばれます。
以上が、自閉スペクトラム症の方が抱える睡眠の問題についての内容でした。最後までお読みいただき、ありがとうございました。