「自分はもしかして発達障害かもしれない…」
「社会生活や仕事がなぜかうまくいかない理由が知りたい」
そんな悩みを抱える大人の方にとって、発達障害の検査を受けることは、自分自身を理解するための大きな一歩です。
この記事では、発達障害の診断までの流れや検査内容、費用、検査を受けるメリットなどをわかりやすく解説していきます。ご自身のことを深く知りたい方、診断を検討中の方は、ぜひ最後までお読みください。
発達障害とは、生まれつき脳の機能に偏りがあることによって、人との関わり方や物事の進め方に困難を感じる状態を指します。周囲の環境とのミスマッチによって、生きづらさを感じることも少なくありません。
大人の発達障害には、主に次の3つのタイプがあります。

発達障害の診断は医療機関での診察と検査によって行われます。流れとしては次の3ステップです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
最初に医師による問診が行われます。この問診では以下のような情報を詳しく聞かれます。
子どもの頃から現在に至るまでの成長の様子を振り返ります。例えば、「落ち着きがなかった」「友達との関係に苦労した」といったエピソードが該当します。
現在の生活状況(仕事、家庭、対人関係など)についての情報です。社会生活における困りごとやストレスの有無が話題になります。
現在抱えている症状(うつ、睡眠障害、不安など)があるかを確認します。
過去に経験した精神疾患や身体疾患の有無を確認し、現在の状態との関連を探ります。
これらを丁寧に聞き取ることで、発達障害の特徴が過去から一貫してあるかどうかを医師が判断していきます。
問診の後は心理検査を受けます。代表的な検査のひとつが、WAIS-Ⅳ(ウェイス・フォー)です。
WAIS-Ⅳは、成人向け知能検査で、発達障害の有無や特性を数値として可視化できる信頼性の高い検査です。所要時間は約2時間程度で、主に以下の5つの指標が測定されます。
| 指標名 | 内容 | 特徴(低い場合) |
| ① 全検査IQ | 総合的な認知能力 | IQ70未満で知的障害の可能性 |
| ② 言語理解指標 | 言葉の理解力・推理力 | 口頭指示が苦手、会話が苦手 |
| ③ 知覚推理指標 | 視覚情報の処理力 | 空間認識が苦手、考えがまとまりにくい |
| ④ ワーキングメモリー指標 | 一時記憶や作業の同時進行力 | マルチタスクが苦手、集中力に課題 |
| ⑤ 処理速度指標 | 正確かつ迅速に作業を進める力 | 作業が遅い、話すスピードがゆっくり |
重要なのは、すべての指標が低い=発達障害ではないということです。
むしろ、指標ごとの数値のばらつきが大きいことが、発達障害の特徴とされています。
例としては次のような問題があります。
こういった問題を通して、脳のどの部分に得意・不得意があるのかを見極めるのです。
ただし、検査の前にあまり予備知識を詰め込みすぎると、本来の能力が反映されにくくなることもあるため、リラックスして臨むことが大切です。
問診と心理検査の結果をもとに、医師が総合的に判断して診断を行います。
検査結果はあくまでも「指標のひとつ」に過ぎず、診断はそれまでの生活歴や困りごとと照らし合わせながら慎重に行われます。

発達障害の検査を受けることで、以下のような大きなメリットがあります。
検査結果によって、自分の情報処理の仕方や、苦手な分野が明確になります。
例えば、言語理解が低いなら「口頭よりも視覚で伝える方が得意」といった、自分に合った情報の受け取り方がわかります。
これは自分だけでなく、周囲の人にとっても対応がしやすくなるという利点があります。
自分の特性に合わせた働き方ができるようになります。
たとえば「マルチタスクが苦手」という特性があれば、シングルタスク中心の業務を選ぶなど、職場でのミスやストレスを軽減する工夫が可能になります。
※すべての医療機関で検査を実施しているわけではないため、事前に確認をしましょう。
WAIS-Ⅳの場合、約2時間かかります。
発達障害の検査は、自分の特性を理解し、今後の生活や仕事に生かすための大きなヒントを与えてくれます。
診断を受けるかどうか迷っている方も、まずは信頼できる医師に相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。