発達障害をもつお子さんを育てている保護者の方、またはご自身が発達障害をお持ちで、子どもを持つことに不安を感じている方へ。この記事では、発達障害の基本的な理解から、子どもにしてあげられる支援、そして将来についての考え方まで、丁寧にお伝えしていきます。

まず、「発達障害」とは一体どのようなものなのでしょうか。
発達障害とは、生まれつき脳の一部の機能に偏りがあることによって、日常生活において困難を感じやすい状態を指します。代表的なものとして、注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)などが含まれます。これらは一人ひとり異なる特性を持っており、「障害」と一括りにすることはできません。発達障害の特性は目に見えにくく、そのため周囲に理解されにくいこともあります。

発達障害の原因には、「遺伝的要因」と「環境的要因」があると考えられています。現在の研究では、発達障害は一定の確率で遺伝する傾向があるとされています。たとえば、親のどちらかが発達障害を持っている場合、子どもにも同様の傾向が現れる可能性が高くなるというデータがあります。
ただし、遺伝だけがすべてではありません。妊娠中の喫煙や栄養状態、出産時の早産などの環境要因も影響するとされています。つまり、遺伝と環境が複雑に関係し合いながら発達障害が現れるということです。
重要なのは、発達障害の原因が「親の育て方」によるものではないという点です。現在の科学的見解では、発達障害はしつけや愛情の有無などによって引き起こされるものではないと明言されています。

ご自身が発達障害である方の中には、「遺伝の可能性があるなら子どもを持たない方がよいのでは」と悩む方も少なくありません。これは非常にデリケートで、正解のない問いだと思います。
発達障害があるからといって、必ずしも不幸になるわけではありません。実際に、発達障害を抱えながらも自分らしく、充実した人生を歩んでいる人はたくさんいます。逆に、定型発達の人であっても、必ずしも幸せになれるとは限らないのです。
「発達障害=不幸」という図式は成り立ちません。大切なのは、ご自身が今を幸せだと感じているかどうか。もし自分が幸せに生きていると感じることができるなら、それは自分が証明です。自分に発達障害があっても、幸せに生きているというその姿が、未来の子どもが幸せに生きる可能性を示しているのです。

発達障害を持つお子さんに対して、親として何ができるかを考えると、まず最も重要なのは「適切な支援をできるだけ早く受けさせること」です。これを「療育」といいます。
発達障害は「治る」ものではありません。しかし、療育を通じてその子の特性を理解し、周囲との関係の中で適応しやすくするスキルを育てることは可能です。これにより、将来的に不登校やいじめ、二次障害(うつ病や不安障害など)を予防できる可能性もあります。
親として、まずはお子さんの特性をしっかり理解し、受け入れること。そして、周囲の専門機関と連携して、無理のない範囲でその子に合った環境を整えてあげることがとても大切です。

お子さんの発達に違和感を覚えた際、すぐに受け入れるのは簡単なことではありません。ある保育園では、発達に気になる点が見られたお子さんの保護者に対して検査を提案したところ、「うちの子は絶対に違う」と否定され、受診には至りませんでした。
親として「我が子に障害がある」と受け止めることはとてもつらいことです。しかし、その感情の根底には「この子を守りたい」「傷つけたくない」という強い愛情があるのではないでしょうか。
それでも、もし早期に支援の必要性がわかっていれば、適切な療育を受けられる可能性が広がります。それにより、お子さんが将来苦しむリスクを少しでも軽減できるかもしれません。感情と理性の両方を大切にしながら、「今、何が子どものためになるのか」を軸に考えることが求められます。

「どうすればいいかわからない」「自分では手に負えない」と感じるときは、決して一人で悩まないでください。地域には支援をしてくれる専門機関が多数存在しています。
たとえば、「発達障害者支援センター」「保健センター」「子育て支援センター」などは、発達障害に関する相談や情報提供、療育に関するアドバイスなどを行っています。まずはお住まいの地域にどのような機関があるかを調べ、一度相談に行ってみることをおすすめします。
誰かに話すことで見える道もありますし、情報を得ることで不安が軽減することもあります。
発達障害について考えることは、自分自身や家族、そして子どもの人生について深く向き合う機会でもあります。正解はありませんが、少なくとも「幸せに生きる道は必ずある」ということは、忘れないでいてください。
そして、子どもと向き合い、寄り添い、できる限りのサポートをしてあげること。何よりそれが、お子さんにとっての最大の支えとなるはずです。