【アスペルガー】ASDのこだわり癖の例と対処法を解説

【アスペルガー】ASDのこだわり癖の例と対処法を解説

発達障害のひとつであるASD(自閉スペクトラム症・旧アスペルガー症候群)を持つ方は、生まれつき脳の機能に独自の特徴があり、周囲と比べて「ちょっと違う」感覚を持ちながら生活しています。その結果、対人関係や日常生活のなかで、周囲とのすれ違いや不便さを感じることがあります。

ASDの特徴の一つとして、「強いこだわり」がよく取り上げられます。これは、当事者本人にとっては安心や秩序を保つための大切な行動ですが、周囲には「頑固」「融通がきかない」と映ることもあります。

この記事では、ASDの方が持つこだわりの具体例と、それに対する理解ある対応や対処法について、丁寧に解説していきます。


■ ASDとは?基本的な理解

ASD(Autism Spectrum Disorder:自閉スペクトラム症)は、発達障害の一種です。生まれつき脳の働きに偏りがあり、情報の受け取り方や処理の仕方が独特であることから、日常生活に困難を感じやすいという特徴があります。

ASDの代表的な特徴には、以下のようなものがあります。

  • 対人関係でのすれ違いや誤解が起きやすい
  • 特定の物事ややり方に強くこだわる
  • 急な変化や予測不能な出来事に不安を感じやすい
  • 抽象的な表現や曖昧な言い方が理解しづらい

これらの特性は一人ひとり異なり、軽度から重度までさまざまなグラデーションがあるため、「スペクトラム(連続体)」と表現されています。


■ ASDに見られる「こだわり癖」とは?

ASDの方は、安心感を得るため、あるいは混乱を避けるために、特定の行動様式や思考パターンに強くこだわる傾向があります。ここでは、代表的なこだわりの例を2つ紹介します。

ルールや手順への強いこだわり

ASDの方は、一度決めたルールや手順を守ることに強い安心感を抱きます。たとえば、毎朝の支度の順番、食事を取る位置、資料を作成する手順などに強くこだわることがあります。

予定外の変更があったり、手順が一部省略されたりすると、大きな不安や混乱を感じてしまい、作業の手が止まってしまうこともあります。

細部へのこだわり

細かい部分に過度に注意を向ける傾向もあります。たとえば、資料の文字の大きさや配置、語尾の表現の揃え方など、自分の中で「正しい」と思う基準に達していないと納得できず、修正に時間をかけてしまうことがあります。

その結果、作業が遅れる、全体を見通すことが難しくなるなどの困りごとにつながることもあります。


なぜこだわるのか?こだわりの背景にあるもの

ASDの方の「こだわり」には、必ず理由があります。多くの場合、それは「不安」や「混乱を避けたい気持ち」から来ているのです。

ASDの方は、あいまいな表現や先の見えない状況が非常に苦手です。「この作業はどこまでやればいいの?」「正解がわからないまま進めていいの?」というように、基準が不明確だと、不安になりやすいのです。

そのため、ルールや手順、細かい形式など「わかりやすくて確実なもの」にこだわることで、自分自身の不安をやわらげようとしています。


■ ASDのこだわりに対する対処法

こだわりをただ否定するのではなく、本人の安心感を尊重しながら、少しずつ柔軟さを育むサポートが大切です。以下に、実際に活用できる対処法を紹介します。

対処法① 想定される変化を明確に伝える

突然の変更や予想外の事態に弱いASDの方にとって、事前に「こういうことがあるかもしれない」と知っておくだけで、心の準備がしやすくなります。

例:
「明日は会議の時間が変更になるかもしれません。その場合はメールで連絡しますね。」
→このように「かもしれない」という可能性と対応方法を伝えることで、不安が軽減されます。

対処法② 変更点やメリットを具体的に伝える

こだわりがある中で変更をお願いする際は、「なぜその変更が必要なのか」「どんなメリットがあるのか」を説明することが重要です。

例:
「この方法に変えると、全体の作業時間が短くなって、休憩の時間がしっかり取れるよ。」
→納得感のある理由を伝えると、こだわりを手放すハードルが下がります。

対処法③ 基準やゴールを明確にする

あいまいなゴール設定は不安を招きます。「どこまでやればOKか」「どの程度で合格ラインか」などの明確な基準を提示することで、安心して取り組むことができます。

例:
「この書類は5枚にまとめてくれればOKです。細かい表現は気にしなくて大丈夫です。」
→明確なゴール設定があると、安心して手を動かしやすくなります。


こだわりはずっと続くのか?

ASDの方のこだわりは、いつまでも変わらないものではありません。こだわる理由――つまり「不安」「混乱」「不明確さ」が解消されることで、自然とこだわりが弱まることもあります。

たとえば、職場でのルールや作業内容に慣れ、安心して取り組めるようになると、以前ほど手順に固執しなくなったというケースも多く見られます。

また、周囲の理解ある対応があることで、「違っても大丈夫なんだ」と少しずつ実感できるようになり、自分の枠から出ることができるようになる方もいます。


まずは「苦手」を知ることから

ASDの方にとって、社会の中で生きることは決して簡単なことではありません。特に、ことばのニュアンスや人間関係の機微、曖昧なルールが多い場面では、不安やストレスを強く感じやすいのです。

そのような中で、「なぜこの人はこだわっているのか」「どんなことが不安なのか」を周囲が理解し、適切にサポートすることは、当事者にとって大きな安心につながります。

こだわりは、本人が安心して生きるための大切な支えです。無理に取り除くものではなく、「どうしたら共に過ごしやすくなるか」を一緒に考えていく姿勢が、共生の第一歩になるのではないでしょうか。


まとめ

ASDの方の「こだわり」は、単なる「頑固さ」ではなく、不安や混乱を避けるための合理的な行動です。
その背景を理解し、対処法を工夫することで、より円滑なコミュニケーションや協力が可能になります。

誰にとっても過ごしやすい社会を目指すために、まずは「知ること」からはじめてみませんか?