ADHDを公表している芸能人

現代では、発達障害についての理解が少しずつ広まり、メディアや社会の中でも取り上げられる機会が増えてきました。特にADHD(注意欠如・多動症)を公表する著名人の存在は、同じ悩みを抱える人々にとって大きな励みとなっています。「有名人なのに障害があるなんて…」と思う方もいるかもしれません。しかし、彼らもまた私たちと同じように、日々の生活の中で困難を感じ、試行錯誤しながら前に進んできたのです。

この記事では、ADHDという障害の概要とともに、それを公表し、自身の言葉で語ってきた芸能人の姿をご紹介します。


ADHDとはどんな障害?

ADHDは「Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder」の略称で、日本語では「注意欠如・多動症」と呼ばれています。発達障害の一つであり、生まれつき脳の一部の機能に偏りがあることによって、注意を持続することが難しかったり、衝動を抑えられなかったり、多動的な行動がみられたりします。

主な特徴としては以下の3つが挙げられます。

  • 不注意:気が散りやすく、物事に集中することが難しい。忘れ物やミスが多い。
  • 衝動性:思いついたことをすぐに口にしてしまう、順番を待てないなど。
  • 多動性:じっとしていられず、落ち着きがない。体が常に動いてしまう。

こうした特性は、子どもの頃に目立つことが多いものの、大人になってから気づくケースも増えています。社会に出てから、「どうして周囲とうまくやれないのか」「なぜ同じミスを繰り返してしまうのか」と悩む中で、診断を受ける人も少なくありません。


自分の特性を知ったことで、前に進めた芸能人たち

芸能界でも、ADHDを公表することで自分らしく生きることを選んだ方たちがいます。彼らは決して“特別”なのではなく、私たちと同じように生きづらさを抱えながら、自分自身と向き合ってきました。

眞鍋かをりさん - 自己理解で仕事にも適応できた

タレント・エッセイストとして活躍する眞鍋かをりさんは、自身がADHDの傾向に当てはまることに気づいたと語っています。あるとき、ADHDの特性について知る機会があり、「自分にぴったり当てはまる」と感じたのだそうです。

例えば、「決められた場所に居続けるのが苦手」「忘れ物が多い」といった特性に長年悩まされていたとのこと。しかし、自分の特性を理解することで、「これは自分のダメなところではなく、脳の特性なんだ」と受け止められるようになったと言います。これによって、過度な自己否定が減り、自分に合った仕事のスタイルを見つけられるようになったと語っています。

大人になってから発達障害に気づく「大人の発達障害」の典型的なパターンでもあり、多くの人に共感を呼んでいます。


栗原類さん - 見落とされがちなADDに気づいた経験

モデルや俳優として活躍する栗原類さんは、ADHDの一種である「ADD(注意欠陥障害)」と診断されています。ADDは、多動性の症状が目立たず、注意欠陥が主な症状であるため、外からは分かりにくく、見逃されがちです。

栗原さんは、物忘れの多いアニメキャラクターを見たときに、「自分に似ている」と感じたことがきっかけで診断を受けました。注意散漫で、忘れ物が多く、記憶力にも不安があった彼は、小学校時代にいじめを受け、不登校になった過去もあると告白しています。

現在では、自分の障害について公表し、発達障害に対する理解を広める活動にも取り組んでいます。その率直な語り口は、同じようにADDに悩む若者たちにとって、大きな支えとなっています。


③ Fukaseさん(SEKAI NO OWARI)- パニック障害との闘いも経験

人気バンド「SEKAI NO OWARI」のボーカル・Fukaseさんも、ADHDであることを公表しています。それだけでなく、パニック障害も併発しており、過去には精神科の閉鎖病棟に入院していた経験もあると明かしています。

薬の副作用によって記憶が安定しなかった時期もあり、自殺のリスクが高いと判断されたため、しっかりとした監視の下で治療を受けていたとのことです。

しかし、そうした困難の中でもFukaseさんは音楽に救いを見出し、見事に再起を果たしました。現在の彼の成功の裏には、目に見えない努力と、自分の障害に真正面から向き合ってきた過去があります。


発達障害に対する理解が社会を変えていく

芸能人は華やかな舞台に立つ存在であり、私たちはつい「順風満帆な人生を送っている」と思いがちです。しかしその裏には、障害や病気、人間関係の葛藤といった、見えない苦しみが隠れていることもあります。

ADHDやその他の発達障害は、外見からは分かりにくく、周囲の理解が得られにくいことが多いのが現実です。そのため、自己否定に陥ったり、「努力が足りない」と誤解されたりすることも少なくありません。

それでも、自分の特性を知り、自分に合った生き方を模索し続けることは可能です。そして、著名人がその姿を見せてくれることは、社会全体の理解を深める大きな一歩となるでしょう。