日常生活や仕事の中で、「やることが多すぎて、どれから手をつけたらいいかわからない」と感じたことはありませんか?特にADHD(注意欠如・多動性障害)の傾向がある人にとっては、優先順位をつけることが難しく、それが原因で混乱したりストレスを感じたりすることも少なくありません。
この記事では、ADHDの特性を理解しながら、「優先順位のつけ方」に悩む方が少しでもスムーズにタスクをこなせるよう、具体的で実践的な方法を5つご紹介します。ADHDの診断を受けていない方でも、同じような困りごとを抱える人にはきっと役立つ内容です。
ADHDは発達障害の一種で、生まれつき脳の機能に偏りがあり、それによって「集中が続かない」「落ち着きがない」「思いついたらすぐ行動してしまう」といった特徴が見られます。
このような特性のひとつとして、「タスクの優先順位がつけられない」という課題があります。頭の中では「やるべきこと」がたくさんあるのに、それらを整理して計画的に進めることが難しく、結果として混乱や失敗、自己否定感につながってしまうこともあります。
では、具体的にどのようにすれば優先順位をうまくつけられるのでしょうか?

最初のステップとして、「いつまでに何を終わらせないといけないのか」「どのくらい時間がかかるのか」を明確にしましょう。
例えば、夕方6時に仕事を終えて帰宅し、そこから家事をするとします。6時~7時は夕食作り、7時~7時半は食事、7時半~8時は入浴、8時から洗濯、9時からはドラマを観る…といったように、時間と作業をセットで考えることで、頭の中が整理されていきます。
これは家事に限らず、仕事にも応用できます。タスクをすべて洗い出し、それぞれにかかる時間と締め切りを確認する。そして、それらを時系列で並べて「作業工程表」を作ってみましょう。
ある訓練の現場では、1週間分のタスクを提示された利用者が「仕事が多すぎて終わらない」と不安を訴えました。しかし、所要時間を一緒に確認してみると、実際には週10時間の作業時間に対して、タスクの合計所要時間は8時間程度。つまり、「終わる仕事量」だったのです。
仕事が多いと感じていても、それは見える形にしていないから。不安を減らすためにも、紙に書き出し、スケジュールを可視化することが第一歩です。
「家事」と言われても漠然としていて、どこから手をつけていいかわからないという人も多いのではないでしょうか。そういう時は、大きなタスクを細かく分解しましょう。
例えば「料理」なら、「買い物」「下ごしらえ」「調理」「後片付け」といったように、作業を細かいステップに分けて考えることが重要です。このように分解することで、自分が次に何をするべきかが明確になり、取り組みやすくなります。
仕事の中でも、たとえば「報告書作成」というタスクを、「資料収集」「内容の整理」「文章作成」「校正」といったステップに分けると、行動しやすくなります。
優先順位を管理するために、「タスクを見える化」する方法も効果的です。おすすめはタスク管理アプリの利用です。アプリなら、期限や優先度でタスクを自動的に並べ替えることができ、やるべきことが一目でわかります。
ただし、「スマホを見るのが面倒」という方には、アナログの方法、たとえば付箋もおすすめです。1日のタスクを1枚ずつ付箋に書いて、順番に並べて、終わったら剥がして捨てる。この方法なら物理的な達成感も得られます。
自分に合った方法で、日々のタスクを「見える形」で管理することが、優先順位をつける第一歩になります。

タスクの緊急度と重要度を掛け合わせて、4つのカテゴリに分けて考える「優先順位マトリックス」も非常に有効な考え方です。

Aから順番に優先的に取り組み、CやDはできる限り省く、もしくは他人に任せる工夫をしていくと、自分の時間とエネルギーを有効に使うことができます。

それでも優先順位がうまくつけられない場合は、周囲の人の力を借りましょう。
「この順番でやってね」とタスクの順序を決めてもらったり、仕事をひとつずつ指示してもらうだけでも、かなり動きやすくなります。上司や家族、支援者など、信頼できる人にサポートをお願いするのは、決して甘えではありません。
ADHDの人にとって、「優先順位をつける」というのはとても大きな課題かもしれません。しかし、いくつかの工夫を取り入れることで、少しずつでも前に進むことができます。
この5つの方法の中から、自分に合うものをまず1つでも取り入れてみてください。完璧を目指す必要はありません。「やってみる」ことこそが、優先順位の第一歩です。