今回は、ASD(自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠陥多動症)について、特性が対人関係や生活全般に及ぼす影響、さらに両者が合併した際に生じる悩みや困難について、詳しくお話しさせていただきます。
まず、ASDの特性が対人関係に与える影響について考えてみましょう。ASDの方は、一般的に「人とのつき合い方」で困難を抱える傾向があります。これは、コミュニケーションの取り方が難しいため、周囲から誤解されやすかったり、孤立したりすることが多いためです。
ASDに共通する傾向や特性として、以下のようなものが挙げられます。
ASDの方々は、子どもの頃からコミュニケーションに苦手意識を持つことが多いですが、大人になると社会的な関わりが増え、その困難さがより顕著になることがあります。
仕事、親子関係、夫婦関係、恋人関係、子どもの学校関係、近所づきあいなど、さまざまな場面で相手や状況に合わせた対応が求められます。
特に、女性同士の会話では話題が頻繁に変わり、感情を扱うことが多いため、ASDの方にとって対応が難しい場面が多く見られます。
ASDには共通する特性がありますが、他者への態度や行動パターンに基づいて次の4つのタイプに分類されます。

1. 受動型
受動型の方は、他人から話しかけられたり、誘われたりすると応じることはありますが、自分から積極的に人と関わろうとはしません。内向的で内気なタイプであり、問題に直面しても周囲から気づかれないことがあります。同様に、いじわるをされてもその本人が気づかない場合もあります。
2. 積極奇異型
積極奇異型の方は、自分から積極的に人と関わり、主導的な立場を取ることが多いですが、相手の話を聞くことや空気を読むのが苦手です。興味がある分野には情熱的に取り組み、時にはリーダーシップを発揮しますが、そのやり方は強引であり、トラブルを引き起こしやすい傾向があります。
3. 孤立型
孤立型の方は、友だちや人づきあいを基本的に不要だと考えており、自発的に他者にアプローチすることは非常に稀です。必要最低限の関わりしか持たず、周囲に合わせようとすることもありますが、うまくいかないことが多いです。
4. 形式ばった大仰な型
このタイプは、他の3つのタイプ(受動型、積極奇異型、孤立型)が成長し、思春期以降に周囲に合わせようと努力していることが多いです。臨機応変な対応や微妙なニュアンスが理解できず、常にマニュアル通りに行動する傾向があり、時には大げさで堅苦しい表現を使うことがあり、自然さに欠ける場合があります。
次に、ADHDの特性が生活に与える影響について考えてみましょう。大人のADHDでは、子どもの頃よりも困り事が深刻になることがあります。日常生活でも連絡を忘れたり、お金の振り込みを忘れたりと、対外的な問題に直面しやすく、場合によっては信用を失うこともあります。

ADHDの特性として、現れ方や程度は人それぞれですが、以下のような困りごとが起こり得ます。
日常生活においては、掃除、洗濯、料理などの家事に苦労することが多く、特にルーティン作業が苦手な人はこれらの業務を管理するのが難しいです。また、近所づきあいにおいても、対外的な対応をうっかり怠ると、人間関係に悪影響を及ぼすことがあります。
家庭内では、以下のような問題が発生することがあります。
これらの困難が原因で家族との対立が増え、衝動買いが経済的な問題を引き起こすこともあります。また、家事や子育てのやり方をめぐって夫婦間で衝突することが多く、深刻な状況に発展することもあります。これらの理由から、落ち込みやすい気持ちが生じることがあります。
「過集中」という特性についても触れておきましょう。過集中とは、自分の好きなことや関心のあることに没頭し、過度に集中することで日常生活に支障を来す状態を指します。
ADHDの方には、集中力が続かず気が散りやすいという特性がある一方で、特定のことに過集中してしまうこともあります。これにより、今やらなくてもいいことや、やるべき程度を超えて集中してしまい、結果的に他の重要なことが疎かになることがあります。
最後に、ASDとADHDが合併した状態で生じる困りごとや悩みについてお話しします。ASDやADHDは、単独で存在する場合でもその特性が強く、生活に大きな困難をもたらしますが、合併した場合にはその困難がより複雑になることがあります。
合併している場合、表面に現れている特性だけでなく、慎重に観察する必要があります。例えば、不安が強く落ち着かない状態はASDの特徴のように見えますが、実際にはADHDによる多動性が影響している可能性も考えられます。このように、ASDとADHDの特性が互いに影響し合い、困難な状況が生じやすくなります。
また、ASDとADHDの合併では、どちらの特性が強く出ているのか見極めるのが難しい場合があります。同じ症状でも、どの特性が原因であるかによって対応方法が異なります。
例えば、ADHDではモチベーションが上がらずやる気が出ないことがある一方で、ASDでは考えすぎて混乱し、優先順位がつけられないことがあります。
このように、ASDとADHDが合併している場合、両者の特性が互いに影響し合い、長所を発揮しにくくなることがあります。例えば、ADHDの特性により素早いひらめきで優れた企画を思いついても、ASDの強いこだわりが進行を妨げ、柔軟な対応が難しくなることがあります。この結果、仕事が円滑に進まないことがあり、長所が活かせない状況が生じることもあります。
以上が、ASDとADHDの特性による困りごと、ASDの4つのタイプ、そしてASDとADHDの合併に関する説明でした。
お読みいただき、誠にありがとうございました。