●自らを傷つける行為を「自傷行為」といいます。
例えば、リストカットをすることや、タトゥーやピアスを何度も入れること、またタバコの火を自分の肌に押し当てる「根性焼き」などが代表的なものです。
特にリストカットに関しては、女子中高生の約10%が経験したことがあるというデータがあり、決して珍しい行為ではありません。
●最近、新宿歌舞伎町に集まる「トー横キッズ」と呼ばれる子どもたちが、気分を高揚させるために市販薬を過剰に摂取していたことが話題となりました。
これは直接的に身体を傷つけているわけではありませんが、命の危険を顧みずに大量の薬を服用する行為は「自己破壊的行動」とされています。

自傷行為や自己破壊的行動は、実際には「死にたい」という思いからくる自殺の試みとは異なります。

しかし、第三者には「わがままな人が周囲の関心を引くためにやっている」と思われることもあります。
では、「死にたいわけではないのに、なぜ自分を傷つけるのでしょうか?」
今回はその理由について、詳しくご説明いたします。
“自傷行為をしてしまう5つの理由”
1. 我慢の限界に達したときに起こること
人は我慢を続けると、心の中にネガティブな感情が次第に溜まっていきます。
その感情を溜め込める容量には限界があり、無限に我慢することはできません。
溜まりすぎたネガティブな感情が、まるで火山が噴火するように突然爆発することがあります。
突然、抑えられない強い感情が押し寄せてきて、何かしら行動に移さないと気が済まない状態に陥ります。
これを「衝動」と呼びます。
例えば、怒りが爆発したり、やけ食いや衝動買いをしたりすることは、多くの人が経験するかもしれません。


この衝動は、我慢の限界を超えたときに、心が病気になったり、壊れてしまうのを防ぐために起こります。
衝動的な行動の後には、溜まっていた緊張が解消され、気持ちが楽になることもあるでしょう。
これは、自分が壊れないようにリセットするために必要な行動なのです。
ところが、人によってはこの衝動が原因で、自らを傷つけてしまうこともあります。
特に、溜まった怒りの感情が漠然としていたり、親や学校などの逆らえない存在に対して向けることができない場合、自分を攻撃するしかなくなってしまいます。

これが「自分を傷つける行為」の正体です。
自傷行為をする人たちは「死にたい」と思っているわけではありません。
耐え難い苦しい状況から逃れ、心の平安を取り戻したいだけなのです。
2. 自傷行為をする人の特徴
自分を傷つけてしまう人には、いくつかの共通した特徴があります。
まず、自尊心が低く、自分を大切にすることができません。
また、感情表現が苦手で、他人に自分の感情を伝えたり、助けを求めることが難しいと感じることが多いです。
このような状態に陥る背景には、親子関係や学校でのいじめなどが関係しています。


幼少期に虐待を受けたり、親に放任されるか、逆に厳格すぎる家庭で育ち、十分な愛情を受けられなかったことが原因となることがあります。

このような人たちは、生まれてから肯定的な経験をほとんど得られず、人生において自分を肯定することが難しいのです。
さらに、発達障害を持つ人は、ストレスに対処することが苦手なため、自分を責める傾向が強くなります。
例えば、自閉スペクトラム症(ASD)を持つ人は、自分の感情をうまく表現することが難しく、注意欠如・多動症(ADHD)を持つ人は、衝動をコントロールするのが苦手です。
そのため、ストレスが溜まると自傷行為や自己破壊的行動に繋がりやすいといわれています。
3. 自分を傷つけることで気分が改善される理由
皮膚を切ったり身体に痛みを与えると、脳内では「エンドルフィン」という物質が生成されます。
また、ドパミンという物質の濃度も上昇します。
エンドルフィンやドパミンは、いわゆる「快楽物質」と呼ばれ、心の中にある落ち込んだ気持ちを一時的に吹き飛ばしてくれる効果があります。

これは、痛みによる刺激がまるで麻薬のような効果を持ち、苦しさを軽減してくれるのです。
しかし、麻薬と同様に、この効果は一時的なものであり、習慣化しやすいという落とし穴があります。
自傷行為を繰り返すことで、痛みによる一時的な安らぎを得ると、それに依存してしまうことがあるのです。
4. 生きるために自分を傷つける理由
リストカットなどの自傷行為は、ほとんどの場合、他人に知られないように隠れて行われます。
決して、人の関心を惹こうとして行っているわけではありません。
自分を傷つける行為は、むしろ自分の心を守るために起こる現象です。
決して「死にたい」という思いからではなく、必死に生きようとして苦しんでいる姿なのです。
5. あなたが自分を傷つけたいと思ったとき
もしあなたが自分を傷つけたいと感じるとき、それはあなたが今、非常に辛い状況に置かれていて、それを乗り越える手段が見つからないということです。
その苦しさを誰かに理解してもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
話すことは非常に大切なことです。
しかし、身近な人に相談しても、「甘えている」と思われて説教されたり、無視されたり、否定されることがあるかもしれません。
また、そもそも人に話すこと自体が苦手な方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合は、国や都道府県の公的な相談窓口、カウンセラー、または精神科などの専門家に相談することをおすすめします。

これらの相談窓口の連絡先は、インターネットで簡単に検索することができます。
最近では、LINEを使った相談サービスを提供している施設もありますので、活用してみてください。
以上、「自傷行為をしてしまう5つの理由」についてご説明しました。
人の心にとって最も重要なのは「安らぎ」です。
安らぎのない生活が続くと、心が壊れてしまうことがあります。
自分を傷つけてしまうのは、安らぎのない生活が続いている中で、心が悲鳴を上げている状態なのです。

これが、自分を傷つけてしまう人の心情です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。