発達障害の人が慢性的疲労で体調不良になりやすい理由と対策【ADHD/ASD/アスペルガー症候群】

【ADHD/ASD/アスペルガー症候群】

発達障害を持つ方のなかには、「とにかく毎日疲れてしまう」「休んでも疲れが取れない」「体調が優れず日常生活に支障が出ている」といった悩みを抱えている方が少なくありません。こうした慢性的な疲労は、決して「気の持ちよう」ではありません。脳の特性や環境とのミスマッチ、ストレスの蓄積が関係しており、適切な理解と対処が求められます。

この記事では、発達障害(特にADHDやASD=自閉スペクトラム症/アスペルガー症候群)のある方が疲れやすい理由や、疲労を軽減するための工夫や対策について丁寧に解説します。


発達障害とは?

発達障害とは、生まれつき脳の働きに偏りがあることにより、日常生活や人間関係、仕事や学業などに困難さを抱える障害です。代表的なタイプには、以下のようなものがあります。

  • ADHD(注意欠如・多動症):集中力の持続が難しい、不注意が多い、衝動的な行動が目立つ。
  • ASD(自閉スペクトラム症/アスペルガー症候群):人との関わりが苦手、強いこだわりや感覚過敏がある。
  • 学習障害(LD):知的な発達には問題がないものの、「読む・書く・計算する」などの特定の分野に著しい困難がある。

これらの特性が、日々の疲労の蓄積や慢性的な体調不良にもつながることがあります。


発達障害と「疲れやすさ」の関係

発達障害のある人は、疲れやすいと感じることが多くあります。とくに6か月以上続く強い疲労感がある場合は、「慢性疲労症候群(CFS)」という病気の可能性もあります。慢性疲労症候群には以下のような症状が伴うことがあります。

  • 頭痛や関節痛、筋肉痛
  • 集中力の低下や記憶力の障害
  • 睡眠をとっても回復しない疲労感
  • 腹痛や胃腸の不調

発達障害のある方は、これらの症状が日常的に現れることも多く、無理をし続けることで、うつ病などの二次的な精神疾患につながる危険性もあります。


疲れやすい理由とその対策

理由①「過集中」

ADHDやASDの人に共通して見られる特徴のひとつが「過集中」です。
これは、ある特定の作業や趣味に極端に集中してしまい、周囲が見えなくなる状態です。集中しすぎて時間を忘れ、自分の疲れや空腹にすら気づかないこともあります。その結果、エネルギーを使い果たしてしまい、あとでぐったりすることがあります。

対策:

  • アラームを設定して定期的な休憩を促す
  • 第三者に「そろそろ休もう」と声をかけてもらう
  • 休憩の時間を「作業の一部」として組み込む

過集中の自覚がない方も多いので、外的なサポートや仕組みづくりが重要です。


理由②「こだわりの強さ・完璧主義」

ASDの方に多く見られる特徴が、こだわりの強さです。
「こうしなければならない」「最後まで完璧にやらないと気が済まない」といった思考は、非常に強い集中とエネルギーを消耗します。

たとえば、「100個すべて完璧に仕上げる」ことにこだわりすぎて疲れ切ってしまうということもあります。

対策:

  • あらかじめ「ここまでやったら終わり」というルールを設定する
  • 完璧を求めすぎない意識づけをする
  • 必要に応じてルーティンを柔軟に見直す

「目標を具体的かつ適度な範囲に設定する」ことが、疲労軽減に役立ちます。


理由③「人間関係によるストレス」

発達障害のある方の中には、人付き合いに苦手意識を持つ人も少なくありません。「こうあるべき」と思い込んでしまったり、些細なやりとりにも過敏になってしまうため、気を使いすぎて心身ともに疲れてしまうことがあります。

対策:

  • 「同僚とは仲良くしなければならない」などの思い込みをゆるめる
  • 自分に合った人間関係の距離感を見つける
  • 人間関係が少ない仕事を選ぶことも一つの方法

必要以上に「良い関係を築かなければ」と気負いすぎず、自分の安心できる環境を大切にしましょう。


理由④「睡眠の質の問題」

特にADHDの方は、睡眠リズムの乱れや不眠を抱えやすい傾向があります。
眠りが浅かったり、夜中に何度も目が覚めたりすることで、十分な回復が得られず、疲労が蓄積します。

対策:

  • 寝る前のスマホ・ゲームは控える
  • 半身浴やアロマでリラックスする
  • 「めぐリズム」などの温熱アイテムを取り入れる
  • 毎朝同じ時間に起き、生活リズムを整える

良質な睡眠は、心身の回復に欠かせない要素です。睡眠環境の見直しはすぐにできる対策のひとつです。


理由⑤「感覚過敏」

ASDの人に多く見られる感覚過敏。
日常の光、音、匂いといった刺激を強く感じすぎてしまい、それだけで消耗してしまうことがあります。たとえば、蛍光灯の光やオフィスの雑音などが原因で、常に神経が緊張している状態になることも。

対策:

  • ノイズキャンセリング付きのイヤホンを使う
  • サングラスや帽子で光を遮る
  • 感覚的に疲れにくい空間を工夫する

感覚過敏への対応は、物理的な対策でかなり軽減できる場合があります。


慢性疲労が続く場合は医療機関へ

疲労が長期間続き、日常生活に支障をきたすようになった場合は、「慢性疲労症候群」や「うつ病」などの可能性も考えられます。

そのようなときには、心療内科や精神科を受診することが大切です。
「こんなことで病院に行っていいの?」と思わず、まずは気軽に相談してみましょう。疲労は、身体からの大切なサインです。


おわりに

発達障害のある方が慢性的に疲れやすいのは、性格や努力不足のせいではありません。脳の特性や社会的な負担によって、日々たくさんのエネルギーを消費しているからです。自分の特性を知り、無理のない工夫を重ねることが、少しずつ心身をラクにしていく第一歩となります。

疲れやすさに悩む方が、「自分はおかしい」と思わずに済むように、そして必要な支援につながっていけるように、社会全体での理解が求められています。