〇〇がやめられない病気・ノイローゼ【強迫症】

私たちは、外出から戻ったときや食事の前、トイレの後などに手を洗う習慣があります。
これはウイルスや細菌、汚れを落とすためですが、どれだけ洗えば完全に清潔になったかを目に見て確認することはできません。
多くの場合、適当なところで手洗いを終えますが、そうできない人もいます。
彼らは汚れが手に残っていると感じ、手洗いを止められなくなり、納得するまで何十分も洗い続けてしまいます。その結果、水道代が高額になることもあります。
また、周りの人が止めようとすると不安に陥り、冷静に考えられなくなります。
もし手を洗わずに食事をしてしまった場合、細菌が体内に入ったのではないかと心配し、夜も眠れなくなることもあります。
このような、過度な潔癖によって日常生活や仕事に支障が出る状態を「強迫性障害」(強迫症)と呼びます。
今回はこの強迫症と、それに関連する病気について説明します。

強迫症と

強迫症とは

強迫症とは、自分でも必要以上に気にしなくていいと理解していながら、何かしらの不安にとらわれ、それを取り除こうと繰り返し確認行動をしてしまう病気です。
このような不安を「強迫観念」と言い、強迫観念が強まると妄想に近い状態に陥ることがあります。
例えば、ウイルスや細菌、発がん物質が手に残っているという恐怖から手を洗い続けたり、泥棒に入られる不安から何度も鍵を確認したり、火事が起こるのを恐れて火を消したかどうかを何度も確認するなどが典型的です。
さらに、確認行動が心の中で呪文を繰り返す形を取ることもあり、例えばコンビニに入ると自分が万引きをしてしまうのではないかと不安になり、それを打ち消すために「取っていない」と何度も繰り返す、といったケースです。
このような行動はまるで儀式のように続けられることがあります。

強迫症と似た病気

強迫症と似た病気

また、強迫症と似た病気として「身体醜形症」があり、これは自分の体の一部が醜いという強い不安にとらわれる病気です。
醜形恐怖」とも呼ばれ、顔の一部が気になり美容整形を繰り返したり筋肉の量や身長を気にして、トレーニングやホルモン治療を繰り返す人もいます。
次に「病気不安症」があり、体調の変化に対して癌や心臓病の疑いを強く持ち、何度も検査を受けても安心できない状態です。医師から問題ないと言われても納得せず、他の病院で再び同じ検査を受ける「ドクターショッピング」を繰り返します。

さらに「溜め込み症」もあります。
これはゴミが捨てられず、貴重なものだと感じて集め続ける病気です。
ニュースでゴミ屋敷が紹介されることがありますが、床が抜けるほどゴミが溜まっても捨てられない場合もあります。
そして「脱毛症」や「皮膚むしり症」では、イライラや不安から髪の毛を抜いたり皮膚を掻きむしる行動が見られ、自傷行為の一種とされています。

強迫症の傾向と原因

強迫症の傾向と原因

さらに、強迫症の人はアルコールや薬物に依存する傾向もあります。
アルコールや薬物で一時的に気分が良くなった体験が忘れられず、悪影響があるとわかっていても止められなくなります
これらの病気に対して「神経症」や「ノイローゼ」といった言葉の方が馴染みがあるかもしれませんが、精神医学ではこれらの用語は20年ほど前から使われなくなりました。
かつて神経症は、幼少期の心の葛藤が症状として現れるとされ、フロイトによって命名されましたが、動物にも同様の症状が見られることや、抗うつ薬が有効であることがわかり、神経症は脳の異常によるものと考えられるようになりました。

現在では、強迫症の原因は脳のセロトニン分泌の低下にあるとされ、うつ病に近い病気と考えられています。実際に、うつ病と強迫症を併発するケースが多いです。
軽度の強迫症であれば、森田療法認知行動療法マインドフルネスなどの心理療法が効果を発揮します。これらは、不安に対処し、冷静に受け流すための方法です。
日常生活に支障が出るほどの症状であれば、薬物療法が有効で、セロトニンを増やすSSRI選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が使用されます。
重症の場合、抗精神病薬も処方されることがあります。

強迫症は子どもにも見られ発達障害に関連していることもあります。
手洗いをやめられない子どもを無理に叱るのは逆効果です。
不安の原因を取り除き、必要以上にウイルスや汚れを怖がらないよう教えることが大切です
症状が重い場合は、子どもでも薬物療法が必要になることがあります。

今回は強迫症と関連する病気について説明しました。
これらは治療が可能な病気ですので、一人で悩まず、早めに専門医に相談することをお勧めします。