【発達障害と知的障害の違い】2つが併発することはあるのか?

私たちが「発達障害」や「知的障害」という言葉を耳にする機会は増えましたが、その違いについて正しく理解している人は、まだ多くないかもしれません。両者は似ているようで異なる特性を持ち、また併発することもあります。この記事では、発達障害と知的障害の違いや共通点、併発の可能性、診断方法などについて、わかりやすく丁寧に解説します。


発達障害とは何か?

発達障害とは、生まれつき脳の機能に偏りがあることによって、社会生活や対人関係、学習などで困難を感じやすい特性の総称です。外見からはわかりにくいことも多く、その困りごとは一人ひとり異なります。

代表的な発達障害には、以下のようなものがあります:

  • 自閉スペクトラム症(ASD):対人関係の難しさ、こだわりの強さ、感覚過敏などが見られます。
  • 注意欠如・多動症(ADHD):注意が散りやすい、衝動的に行動してしまう、多動傾向などが特徴です。
  • 学習障害(LD):読む・書く・計算するといった特定の学習分野に困難を抱える障害です。

これらの障害は、単独で現れることもあれば、複数が同時に見られる場合もあります。

発達障害の診断はどう行われる?

発達障害は、知能検査(WAISなど)だけで判断されるものではなく、幼少期からの成育歴、行動の傾向、家庭や学校での様子など、さまざまな情報を総合的に考慮して診断されます。とくに重要なのは、「脳の発達の一部に偏りがあることによって、日常生活に困難が生じているかどうか」です。


知的障害とは何か?

知的障害とは、発達期(概ね18歳まで)に知的な発達が遅れ、日常生活に必要な能力が著しく制限される状態を指します。知能指数(IQ)が70未満であることが診断基準の一つであり、加えて、日常生活の適応能力(例:金銭管理、会話、社会的判断など)にも支障がある場合に診断されます。

多くの場合、小学校に入学してから「言葉の発達が遅れている」「集団行動が苦手」などの困りごとが明確になり、検査や支援が始まることが多いです。


発達障害と知的障害の違い

1. 診断基準と検査の違い

  • 発達障害は、知能検査に加えて、言語理解や感覚の偏り、行動の特性など、複数の視点から総合的に診断されます。知能指数(IQ)は診断の直接的な基準とはなりません。
  • 知的障害は、知能検査によってIQが70未満であることが一つの重要な基準です。また、発達期にその障害が始まっていることと、適応行動に著しい制限があることも必要条件です。

知能検査として用いられることが多いのが「WAIS(ウェイス)-Ⅳ」という検査です。この検査では、以下の4つの指標が示されます。

  • 言語理解指標(VCI)
  • 知覚推理指標(PRI)
  • ワーキングメモリ指標(WMI)
  • 処理速度指標(PSI)

発達障害のある人では、これら4つの指標の間に大きなばらつき(凸凹)があることが多く見られます。一方で、知的障害では全体的にすべての指標が低い傾向があります。

2. 手帳の違い

  • 発達障害のある人は「精神障害者保健福祉手帳」を取得することができます。
  • 知的障害のある人は「療育手帳(愛の手帳、みどりの手帳など地域によって名称が異なる)」が取得できます。

この手帳によって、福祉サービスや支援制度を利用しやすくなります。


発達障害と知的障害は併発するのか?

結論から言うと、発達障害と知的障害は併発することがあります。特に、自閉スペクトラム症(ASD)の人には、知的障害を併せ持つ人が一定数います。近年では、以前区別されていた「自閉症」と「アスペルガー症候群」が統一され、「自閉スペクトラム症」という診断名になっていますが、この中には知的障害の有無にかかわらず、多様な人が含まれています。

また、ADHDと知的障害が併発することもあり、その場合は、注意力の問題とともに、学習や生活スキルにも大きな支援が必要になることがあります。


誤解を避けるために知っておきたいこと

「発達障害=知的に遅れている」「知的障害=感情や感覚の問題がある」というような誤解がまだ根強くあります。しかし、両者はそれぞれ異なる特性と困難を抱えており、支援の方向性も異なることが多いのです。

  • 発達障害のある人は、知的能力が高くても対人関係で困難を感じることがあります。
  • 知的障害のある人は、穏やかな性格で人との関係が築けることも多く、知的な支援が主になります。

また、どちらの場合でも「早期の理解と支援」が非常に大切です。適切な支援が受けられれば、本人の持つ力を最大限に活かし、生活の質を大きく向上させることができます。


まとめ

発達障害と知的障害は、それぞれ異なる診断基準と特性を持ち、支援の方法や制度も異なります。しかし、一人ひとりの困りごとに目を向け、丁寧に理解しようとする姿勢が、最も大切です。また、両者が併発するケースもあるため、「どちらかだけ」と決めつけるのではなく、全体像を把握した上での支援が必要です。

私たちがこの違いを正しく理解し、互いに支え合える社会をつくっていくために、まずは「知ること」から始めてみませんか?